Maserati Grecale

フロントマスクがよりシャープに

トップグレードのトロフェオ。新型はフロントに「シャークノーズ」と呼ばれるより鋭い造形が取り入れられ、全長は26mm延長。ホイールはシリーズを通して19~21インチ、全7種類から選ぶことができる。
トップグレードのトロフェオ。新型はフロントに「シャークノーズ」と呼ばれるより鋭い造形が取り入れられ、全長は26mm延長された。

マイナーチェンジを受けてブラッシュアップされた「マセラティ グレカーレ」にイタリアのトリエステ近郊で試乗した。

今回のモデルチェンジは、内外装のデザインとグレード体系の見直しが中心。例えばエクステリアデザインは、フロントグリルの上端に沿って水平に伸びるキャラクターラインを新たに設けてフロントまわりの精悍な印象を強調したほか、フロントグリルとその左右に配置されたエアインテーク部分を一体化することで、まとまりのいいデザインに改めた。この結果、ノーズ部分を真横から見ると先端がシャープに突き出た形状となり、それがサメの鼻先を連想させることから、マセラティはこのデザインをシャークノーズと命名。MCプーラやグラントゥーリズモ/グランカブリオにも採用することで、マセラティの新たな「ファミリーフェイス」に位置付けている。

洗練された造形で個性と美しさを表現するのは、マセラティの現チーフデザイナーであるクラウス・ブッセがもっとも得意とするところであり、今回のフェイスリフトでも彼の手腕は遺憾なく発揮されたとみていいだろう。

インテリアはステアリングがリニューアルされたほか、ダッシュボード中央に位置するデジタルクロックのシェイプが従来の真円から楕円へと改められたが、それらよりも実質的な改良といえるのがシフトセレクターの形状の見直し。センターディスプレイ内に設けられたシフトセレクターは、従来はパネル表面と同一の平面的なデザインだったが、新型ではディスプレイから突き出した3D的な意匠へと進化。クオリティ感が向上しただけでなく、慣れればブラインドタッチも可能な形状となった。

また、駐車時に前進と後退を繰り返すようなシーンでは、前述したシフトセレクターを使わずにシフトパドルでも切り替えが可能になった点も歓迎すべき改良点といえる。

F1由来の技術=プレチャンバー燃焼が導入された3.0リッターV6ツインターボ。これが新たにベースモデルや中堅グレード「モデナ」で選べるようになった。スぺックはトロフェオが530PS、それ以外は390PS。
F1由来の技術=プレチャンバー燃焼が導入された3.0リッターV6ツインターボ。これが新たにベースモデルや中堅グレード「モデナ」で選べるようになった。スぺックはトロフェオが530PS、それ以外は390PS。

エンジンラインナップの変更も大きな見どころだ。従来はベーシックグレードのグレカーレ、そしてモデナ、トロフェオという3グレード体制で、3.0リッターV6のネットゥーノエンジンを積むのは最上級のトロフェオだけ。それ以外はマイルドハイブリッドの2.0リッター直4エンジンを搭載していたのだが、新型はグレカーレとモデナでもV6エンジンが選べるようになった(最高出力はどちらも390PS)。

このうち日本には「モデナV6」が新たに導入され、ラインナップがグレカーレ(直4)、モデナ(直4およびV6)、トロフェオ(V6)という全4モデル構成になったことも嬉しいニュースだろう。

実にマセラティらしいハンドリング

マセラティのDセグメントSUV、グレカーレもマイナーチェンジ。グラントゥーリズモ/グランカブリオに倣うアップデートが施された。さらにこちらはエンジンラインナップの充実が図られ選ぶ楽しみが増えたこともトピックと言えるだろう。
ホイールはシリーズを通して19~21インチ、全7種類から選ぶことができる。

このうち、今回は最上級グレードのトロフェオに試乗した。同じネットゥーノエンジンでも唯一530PS仕様を積むトロフェオの足まわりはかなりソリッドな印象だが、ジョルジョ・プラットフォームが生み出す傑出したボディ剛性、そしてトロフェオのみ標準装備となるエアサスペンションのおかげで、日常遣いでも困らないギリギリの快適性が確保されている。

ただし、そのハンドリングにはマセラティの美点がぎっしりと詰まっていた。ハイウェイクルージングでは優れた高速直進性を発揮する一方、ワインディングロードではコーナー進入時にブレーキングすることでフロントの接地性が高まり、ステアリングの精度が劇的に向上。緻密で、それでいて胸のすくようなハンドリングが楽しめる。グランツーリズモとして欠かすことができない高速スタビリティが良好なだけでなく、中低速域でも軽快なコーナリングが楽しめる点こそ、マセラティの真骨頂といって間違いない。

そしてイタリアンラグジュアリーブランドらしい華やかさを備えながら、控えめで品のいい内外装の仕立てもマセラティならではの魅力。これまで様々なクルマを乗り継ぎ、酸いも甘いも知り尽くしたオトナのエンスージャストにこそ相応しい、唯一無二のラグジュアリーSUVがグレカーレである。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/Maserati S.p.A.
MAGAZINE/GENROQ 2026年10月号

SPECIFICATIONS

マセラティ・グレカーレ・トロフェオ

ボディサイズ:全長4876 全幅1979 全高1663mm
ホイールベース:2901mm
車両重量:2027kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2992cc
最高出力:390kW(530PS)/6500rpm
最大トルク:620Nm(63.3kgm)/3000-5500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前225/40R21 後295/35R21
最高速度:285km/h
0-100km/h加速:3.8秒
車両本体価格:1710万円

【問い合わせ】
マセラティコールセンター
TEL 0120-965-120
https://www.maserati.co.jp/

マセラティの主力3モデルが一気に新型に進化「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」「グレカーレ」

マセラティのラグジュアリースポーツクーペ「グラントゥーリズモ」そのコンバーチブル版「グランカブリオ」、そして人気SUVの「グレカーレ」という3モデルが新型へと生まれ変わった。よりアグレッシブなデザインと先進の機能を搭載、すべてにBEVも用意する充実のラインナップだ。