数値で明確となった
カーブスリットの優位性

ディクセルでは、実走テストで得にくいデータ収集や性能検証などが可能となるブレーキダイナモメーターを活用した開発体制を敷き、ハイパフォーマンスなブレーキパッドやディスクローターを多彩に展開している。
ここでディクセルが提案するのは、カーボン含有量を20%増やして、独自の熱処理を施し、耐歪み性能・耐クラック性能を大幅に高めたFシリーズローターだ。

「理想の制動フィールを引き出すためは、ブレーキパッドだけでなく、ブレーキローターとセットで考えていくことが重要です。
純正ローターが摩耗してから交換を検討される人が多いのですが、ブレーキローターも制動力を高めるチューニングパーツで、摩耗が進むほどに熱容量は低下します。とくにサーキット走行は温度域も高くなりますので、こちらをオススメする次第です」
と、技術開発部の木村真生さん。

ここで注目したいのは、ブレーキダイナモを使ったFシリーズの計測データだ。ローターに刻まれたスリットが制動力アップや摩材面のクリーニングなどに貢献することは何となく理解していても、どれにすべきかわからないという読者も多いはず。
とくにFシリーズはストレートスリットのFS、カーブスリットのFCとスリットモデルがふたつ設定されているので、いずれを選べばよいのか悩ましい。
しかし、同社が独自のサーキットモードで計測したブレーキダイナモデータを見ると、それも簡単に解決できる。下の比較グラフを見ればわかるように、スリット本数の多いFCが少ない踏力で高い制動力を安定して発揮していることは明白で、FPよりFS、FSよりFCといった性能差が読み取れる。
SAE J2522 Ave.μ比較

FP/FS/FCローター+SタイプによるSAE J2522テスト結果
160 →130km/h 200 →170km/h 制動や180→100km/hといった高速度域からの急制動でスリット入りは効果を発揮。その中でも平均摩擦係数はFS<FCとなっていることが注目点。街乗りシーンや80km/h以下の制動ではFPとの差はほぼない。高速域からの制動でスリットは威力を発揮。
Circuit Mode 各コーナーAve.μ比較

FP/FS/FCローター+SタイプによるCircuit Modeテスト結果
各コーナーにおける平均摩擦はFP<<FS&FCとなっている。スリットの効果はCircuitMode のような高負荷制動で大いに威力を発揮。その中でもFS<FCとなっていることから、8 本カーブスリットがより高い制動力を生み出していることが読み取れる。
Circuit Mode 各コーナー最大bar比較

FP/FS/FCローター+SタイプによるCircuit Modeテスト結果
各コーナーの平均摩擦はFP<<FS&FCとなっていて、スリット入りローター使用時は反比例して液圧を抑えることができる。最も制動負荷の高いヘアピンコーナーにおける最大液圧はFS>FC。FCのほうがラクに止まることができている。
Circuit Mode 10LAP目ローター温度比較

この順位で制動力が高いが、パッド摩擦材とローター摺動面のスリットが摩擦することで噛み込みが生じ、その部分から高温になっていると推測。⇒サーモグラフィックカメラで検証へ。
カーブスリットはストレートスリットよりもスリットの長さが稼げるため、クーリング的に有利となり、摺動面の温度もほかのモデルと比べて低温となっている。
摩材面のクリーニング作用でパッド消耗が早くなるというスリットローター特有のデメリットは多少あるものの、サーキット走行時のパフォーマンス優先でアップグレードを図るなら、ブレーキローターはFCタイプを選びたい。
■ディクセル
TEL06-6340-0121




