最上位の3モーター仕様は、最高出力860kW(1169ps)の可能性も
メルセデスAMGが開発を進めている、ブランド初のEV専用SUVがいよいよ姿を現す。
正式発表は10月17日の予定。それを目前に、これまでで最もカモフラージュの少ないプロトタイプが捉えられた。開発コード「X591」と呼ばれるこのモデルは、単なるメルセデス・ベンツ製SUVのAMG版ではない。AMG専用EVプラットフォームを使ってゼロから開発される、まったく新しいスーパーSUVである。
最大のライバルとして意識されるのが、ポルシェが投入する電動「カイエン」だ。

X591は、AMGが開発する次世代「AMG GT 4ドアクーペ」のSUV版ともいえる存在で、両車は多くの技術を共有するとみられている。
最新のプロトタイプでは偽装が大幅に減り、市販型のスタイリングもかなり見えてきた。
ボディは一般的なSUVより低く構え、ルーフは後方へ滑らかに下降する。クーペSUVのようにも、車高を上げたスポーツワゴンのようにも見える独特なプロポーションだ。
フロントにはY字型のLEDシグネチャーと巨大なグリルを採用。リアには丸型テールライトが配置される。足元には5本のダブルスポークを持つブラックホイール、その奥には巨大なブレーキディスクとイエローのキャリパーも確認できる。
しかし、このクルマの本当の見どころはボディの内側にある。

ベースとなるのは、AMGが高性能EV専用として開発した「AMG.EA」プラットフォームだ。駆動用モーターには、メルセデス・ベンツ傘下のYASAが開発するアキシャルフラックスモーターを採用する予定。一般的なラジアルフラックスモーターに対して、小型・軽量ながら高い出力密度を実現できることが特徴である。
バッテリーには、F1由来の技術に着想を得たセル直接冷却技術も投入されるという。
気になるのが、その性能だ。
現時点でX591の正式な出力値は発表されていない。ただし、技術を共有するAMG GT 4ドアクーペの情報をベースにすれば、最上位モデルには3モーター仕様が設定され、最高出力860kW(1169ps)、最大トルク2000Nm級に達する可能性がある。0-100km/h加速は約2.5秒という、スーパーカー並みの性能も予想されている。
さらに2モーター仕様では600kW(816ps)、最大トルク1800Nm級になる可能性がある。
1000psを大幅に超えるSUVが誕生する可能性があるわけだが、AMGは速さだけを追求しているわけではない。
EVで失われるエンジン車特有の感覚を再現するため、「AMGFORCE S+」と呼ばれるシステムの採用も見込まれている。車内外のスピーカーを使ってV8エンジンを思わせるサウンドを作り出し、さらに疑似的なギアチェンジまで演出するという。
そして、もうひとつ強烈なのが充電性能だ。
X591には106kWh級のバッテリーが搭載され、800Vシステムを採用するとみられている。最大600kWという超急速DC充電に対応すれば、わずか10分の充電で約460km分の航続距離を追加できる可能性がある。
ただし、これらは現段階ではX591の正式発表値ではなく、兄弟モデルの技術情報などをもとにした予測値である点には注意したい。
シャシーにもAMGらしい技術が投入される。「AMGアクティブ・ライド・コントロール」エアサスペンションにはセミアクティブ式のロール抑制機能を組み合わせ、プロトタイプからはリアアクスル・ステアリングの採用も確認できる。
つまりX591は、大容量バッテリーを積んだ大型SUVを力任せに速くするクルマではない。重量級EVをいかにAMGらしく曲げ、止め、ドライバーに刺激を与えるか。その答えを詰め込んだモデルとなりそうだ。
正式発表は10月17日。会場はドイツ・シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館で、カール・ベンツによる自動車特許取得から140周年という節目に合わせて披露される予定だ。
エンジン音も変速も本来は存在しないEVに、V8サウンドと疑似シフトを与え、1000psを大きく超える可能性まで秘めるAMG初の専用EV SUV。10月17日、その全貌が明らかになる。










