Cadillac Lyriq

アメリカン・ラグジュアリーといえばやはりV8?

この日は早朝に新宿副都心で撮影を済ませてから、バッテリー残量98%、航続距離501kmの状態で京都へと向かった。なお、リリックの最大航続距離はWLTPモードで510kmだ。
この日は早朝に新宿副都心で撮影を済ませてから、バッテリー残量98%、航続距離501kmの状態で京都へと向かった。なお、リリックの最大航続距離はWLTPモードで510kmだ。

ガレージに余裕があるなら、実用車として使ってみたい。キャデラック・リリックは、最近仕事で試した新型車の中でそう思わせた数少ない1台だ。

実を言うと、自分でも少し意外だった。キャデラックは好きなブランドのひとつだけれど、アメリカン・ラグジュアリーといえばV8だろう、という気持ちもいまだに強い。ところが乗ってみれば、これが妙にウマが合った。東京~京都間、往復1000kmの往復を終えても、まだ付き合っていたいと思った。まさかフル電動のキャデラックに、ここまでそそられるとは思ってもみなかった。

趣味のスーパーカーやクラシックカーをリリックに入れ替えたいわけじゃない。デイリーカー選びの話だ。趣味のクルマにこだわる僕らが実用車を選ぶとき、案外とあっさり妥協する人は多い。使いやすければいい。無難であればいい。確かにそれも大事だけれど、頻繁に乗るクルマこそ、自分の好みを通したい。リリックに乗りながら、そんなことを考えた。

なぜここまでリリックに惹かれたのか。まず、スタイルが気に入っている。大好物のエスカレードを今風のクーペ仕立てにしたようなルックスで、サイズは全長4995mm、全幅1985mmと、決して小さくはないけれど扱いづらいほどじゃない。それよりも幅広で背が高いのに数値よりもずっと低く見える。佇まいがスポーティなのだ。

顔つきはまさにモダンキャデラック。そしてリヤエンドがユニークだ。そんなクセの強いディティールを持つのに、全体が破綻することなくまとまっている。誰からも好かれることを目指したような、無難な姿ではない。だからこそ積極的に選びたくなる。趣味のクルマを眺めるのが好きな人なら、毎日使う1台にもそんな楽しみがあっていい。

デザインと素材の調和で魅了してくる

さらに気に入ったのがインテリアだ。光り物の使い方が上手い。抑制が効いているのだ。レザーの見栄えや質感、色味もいい。何か際立った素材や装備で目を引かせるのではなく、デザインとマテリアルの調和で魅了してくる。モダンさ、クールさ、ラグジュアリー感のツボをちゃんと押さえている。だから用事を済ませるために乗り込んだだけなのに、室内を見渡してちょっと嬉しくなる。目的地に向かう時間までが自分の好きな時間になる。なんだかワケもなくウキウキする。僕が実用車にも求めるのは、そういう魅力だ。

そして走らせて、さらに気に入った。リリックは前後にモーターを持つAWDで、最高出力は522PS。文句のないスペックというのはもちろんだが、好感を抱いたのは、街乗りから高速クルーズまで、気分よく付き合えたこと。加速の凄さだけを取り出してスーパーカーと比べるなんて意味がない。そうではなく、加速の質感で違いを語りたい。リリックはそう思わせるほど、全域にわたってスムーズなのだ。

さて、趣味のクルマなら多少の不自由も“アバタもエクボ”。だが、毎日乗るクルマには暮らしを受け止める余裕が必要だ。その点、リリックの荷室は通常時で793リットルと十二分。旅の荷物を積む場面を想像すれば、SUVを選ぶ理由も増す。そして自宅で充電できる環境を整えられるなら、日々の使い勝手はさらに広がるだろう。そうした実用の条件を自分の暮らしと照らし合わせたうえで、最後に購入の決め手になるのは、やはりそのクルマに「乗りたい」と思えるかどうかだ。

途中、バッテリー残量に余裕はあったが、東名高速・浜名湖SAにてランチをとる際に充電。EVは休憩ついでにプラグインすればいいのだ。リリックは普通充電と急速CHAdeMOに対応。
途中、バッテリー残量に余裕はあったが、東名高速・浜名湖SAにてランチをとる際に充電。EVは休憩ついでにプラグインすればいいのだ。リリックは普通充電と急速CHAdeMOに対応。

その点、東京と京都を往復した今回の旅では、道中ずっと運転が楽しかった。リリックの一充電走行距離はWLTPモードで510kmだが、実際は走り方や道路環境によって変わる。今回の往路では一度、浜名湖SAでランチのついでに充電したが、チャージする姿さえまわりにちょっと見せつけてやりたい。自分のクルマでもないのに、そんなことまで考えてしまった。

趣味のクルマの隣に、リリック

京都市内を行く。エクステリアのハイライトはCピラーの造形で、なだらかに下降するルーフラインにL字型のリヤコンビランプを組み合わせ、SUVながらセダンのようにもクーペのようにも見える斬新なデザインを持つ。
京都市内を行く。エクステリアのハイライトはCピラーの造形で、なだらかに下降するルーフラインにL字型のリヤコンビランプを組み合わせ、SUVながらセダンのようにもクーペのようにも見える斬新なデザインを持つ。

V8のアメリカ車が好きなことと、リリックに惹かれることは別に矛盾しないのだろう。デザインやインテリアの設え、走らせているときのフィーリング。大排気量のパワートレインとは別のところにも、キャデラックというブランドを好きになる理由があったということだ。だからリリックがフル電動だから惹かれたということでもなく、リリックに乗ったら好きなキャデラックがまた1台増えた、ということ。僕の実感としてはそんな感じだ。

平日の細かな用事にも、食事に出かける夜にも、少し遠くまで走りたい週末にも、リリックを選ぶというライフスタイルを想像すると、ちょっと気分が昂ってくる。だからといって今持っているスーパーカーやクラシックカーの出番が減るとは思わない。その日の気分と行き先に合わせて、乗りたいクルマを選ぶ楽しみがより増えるということだ。

そもそも、ガレージのクルマを同じ価値観で揃える必要なんてないのだ。イタリアのスーパーカーがあって、英国のクラシックカーがあって、その隣に電気で走るアメリカのキャデラックがある。そんな取り合わせは、想像するだけでも楽しい。国も時代も、走る仕組みも違うけれど、どれも自分が気に入って選んだクルマ。取っ替え引っ替え乗るのに、楽しくないわけがない。

リリックのモダンな内装に親しんだあとに、古いクルマの運転席へ潜り込む。日常のシーンが劇的に転換する。毎日の1台まで趣味のクルマと同じ物差しで選ぶより、違う魅力を持つクルマを加えたほうが、ガレージは決定的に面白くなる。

ガレージの主役になって欲しいわけじゃない。日常で堂々と主役を張ってくれたらそれでいい。クルマ好きとして趣味を諦めず、日常にも拘る。リリックを欲しいと思った理由はそこにある。

あとは、京都のガレージをもう1台分なんとかしなくてはいけないという難題があるのだけれど……。

比叡山ドライブウェイにて、琵琶湖と大津市街を望む。ワインディングでは前後重量配分50対50というバランスのよさを活かし、車重を意識させない身のこなしを披露した。EVなのに慣れ親しんだエンジン車のような運転感覚で接することができる。それがリリックだ。
比叡山ドライブウェイにて、琵琶湖と大津市街を望む。ワインディングでは前後重量配分50対50というバランスのよさを活かし、車重を意識させない身のこなしを披露した。EVなのに慣れ親しんだエンジン車のような運転感覚で接することができる。それがリリックだ。

Lyriq Flat Plan

いまだけのお得なリースプログラム
「リリック・フラットプラン」とは?

安心の残価保証型リースプログラムで、頭金は0円、月9万3610円で4年間、月9万9220円で3年間、リリックを体感できる。新車登録にかかる諸費用や自動車税、自賠責保険料、延長保証やメンテナンスケアまでが料金に含まれており、さらに4年プランの場合は車両の処分制限期間=4年を満たすことで、CEV補助金103万2000円を受け取ることができる。リース終了後は原則として車を返却するだけだ。申込受付は2026年12月31日まで。詳細は公式HPにてご確認を。


REPORT/西川 淳(Jun NISHIKAWA)
PHOTO/郡大二郎(Daijiro KORI)
MAGAZINE/GENROQ 2026年12月号

SPECIFICATIONS

キャデラック・リリック・スポーツ

ボディサイズ:全長4995mm 全幅1985mm 全高1640mm
ホイールベース:3085mm
車両重量:2650kg
フロントモーター
最高出力:170kW(231PS)/15500rpm
最大トルク:309Nm(31.5kgm)/0-1000rpm
リヤモーター
最高出力:241kW(328PS)/15500rpm
最大トルク:415Nm(42.3kgm)/0-1000rpm
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ディスク
タイヤサイズ:前後275/45R21
最高速度:210km/h
0-100km/h加速:5.3秒
メーカー希望小売価格:1100万円

【問い合わせ】
GMジャパン・カスタマーセンター
TEL 0120-711-276
https://www.gmjapan.co.jp/

デザインスタディ「キャデラック V-ONE コンセプト」のエクステリア。

WECマシンをイメージしたシングルシーター「キャデラックV-ONEコンセプト」がデビュー【動画】

キャデラックはは、2026年8月14日にカリフォルニアで開催された「ザ・クエイル」において、ワンオフのデザインスタディ「V-ONE コンセプト」を公開した。「V-ONE コンセプト」は、現時点で販売の予定はないとアナウンスされている。