ショートオーバーハング&ロングホイールベースのプロポーションは先代譲り
A2の名は、2000年に発売された初代アウディA2に由来する。1999年のIAA(フランクフルト・モーターショー)で公開された初代は、アウディ・スペース・フレーム(ASF)によるオールアルミボディを採用したコンパクトカーだ。全長3830mm、全幅1670mm、全高1550mmの小さなボディに広い室内空間を確保していた。
エクステリアデザインはルーク・ドンカーヴォルケ、インテリアデザインはシュテファン・ジーラフが担当。開発では空力が重視され、Cd値は0.25を達成。100kmあたり2.99Lの燃費で世界初の4ドア「3リッターカー」となった。ただ、販売は期待に届かず、約5年間で17万6377台を生産して2005年に生産を終えている。

ゲルノート・デルナーCEOは発表の場で、このA2の考え方を新しい時代に復活させるなら、効率は数ある要件のひとつではなく最優先の原則でなければならないと語った。デザインもこの考え方に沿ってまとめられ、空力性能から室内空間の活かし方まで、効率を軸に造形を決めているという。

A2の名前を現代に復活させたコンパクトBEVのA2 e-tron。プロポーションの基本は、短い前後オーバーハングと2770mmのロングホイールベースだ。Aピラーは大きく弧を描くルーフラインへと滑らかにつながり、開放感のあるキャビンを形づくる。ルーフラインはリヤに向かって緩やかに下降し、精密に造形されたスポイラーで終わる。気流をきれいに剥離させるための処理だ。
面構成はシンプルで、パネルの隙間も最小限に抑えた。アンダーボディは大部分を覆い、フロントの冷却用エアインテークは必要なときだけ開く。こうした積み重ねが、アウディのコンパクトモデルで最良となるCd値0.24につながったというわけだ。

ホイールまわりも空力の要所で、ホイールアーチトリムに組み込んだギャップレデューサーとギャップブリーザーがホイールとホイールアーチの隙間を狭め、気流を整える。新しいエアロホイールは開口部を抑え、タイヤからリムへ滑らかにつながる形状。サイズは18~20インチで、最も効率が良いのは19インチ仕様だという。

フロントでは、運転支援システムのセンサーとメインヘッドライトを「ブラックパネル」の中に収め、その上にスリムなデイタイムランニングライトを配した。デイタイムランニングライトのシグネチャーは4種類。静的なもの3種類に加え、光が動くアクティブデジタルライトシグネチャーを1種類用意し、今回初めて夜間にも表示できるようになったという。
リヤは水平基調のLEDライトで車幅を強調する。オプションのLEDリヤライトプロはフロントのライトと調和したデザインで、ダイナミックターンシグナルはライトストリップ全体を流れるように点灯する。

エクステリアは2タイプ。ベースモデルは控えめなデザインのバンパーで、ボディ色はホライズンブルー、アローグレー、新色のピスタチオグリーンなどを用意する。S lineエクステリアは、力強いデザインのバンパー、ハイグロスブラック仕上げのサイドスカートとウインドウトリム、スポーティなディフューザー、フロントエアカーテンを備えたエアインテークで構成される。
操作系をステアリングまわりに集約。インストルメントパネルからリヤドアまで、ファブリック「ソフトラップ」で包む
コクピットには、11.9インチのアウディバーチャルコックピットプラスと、曲面デザインの12.8インチMMIタッチディスプレイを組み合わせた「MMIパノラマディスプレイ」を標準装備し、ドライバー中心のレイアウトとした。
セレクトレバーはステアリングコラムに移設。コラムの新しいスイッチモジュールには、センターコンソールにあった機能をまとめ、電動パーキングブレーキの操作も初めて統合した。ステアリングホイールのスイッチは、タッチセンサー式の操作面にセンターローラーと凹型グリップを組み合わせ、視線を路面から離さずに操作しやすくした。

セレクトレバーを移したことで、センターコンソールにはスマートフォン2台を同時にワイヤレス充電できるトレイを設けた。収納には、マグネットと機械式ロックを組み合わせたFidlock(フィドロック)の固定システムを採用し、アウディはプレミアムブランドで初めてこれを標準装備したという。

キャビン全体のデザインの軸となるのが「ソフトラップ」だ。柔らかなファブリック仕上げの面で、インストルメントパネルからドアパネルを経てリヤまで続き、窓下のトリムまで達する。室内側のドア開閉も電動ボタンとし、ドアトリムの面をすっきりとまとめた。


照明はホワイトのインテリアライティングが標準。ライトガイドが内装の造形ラインを際立たせ、ドアとディスプレイ下部の間接照明によって、センターコンソールが浮いているように見せる。オプションのアンビエントライトパッケージプラスではカラーが30色に広がり、室内幅いっぱいのLEDストリップ「ダイナミックインタラクションライト」が加わる。
荷室容量は396L。リヤシートのバックレストを倒すと1336Lに拡大する。


300点以上の部品に再生材を採用。リサイクルを見据えた素材選びも特徴
素材の面では、仕様によってはスチール、アルミニウム、樹脂などの再生材を含む部品が300点を超え、そのうち100点以上は使用済み車両などから回収したポストコンシューマー材を含む。
インテリアでは、オプションのソフトラップ素材とスポーツシート3種のファブリックに100%再生ポリエステルを採用。インストルメントパネルは素材構成を単純化し、使用後に分別しやすくした。アウディは今後、単一素材でつくる「モノマテリアル」の部品を増やしていく方針だという。

駆動方式は後輪駆動で、出力は125kWから240kWまで4段階、バッテリー容量は52kWh、61kWh、84kWhの3種類を用意する。最長の航続距離はWLTPモードで646km。バッテリーが占める高さ方向のスペースを抑えたことは、レッグルームと着座姿勢の改善にもつながったという。ドイツでの受注は9月10日に始まり、価格は3万8200ユーロから5万1200ユーロ。

なお、なお、A2 e-tronの装備や数値はいずれもドイツ仕様。現時点では、日本への導入は発表されていない。
