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GTS300ツーリング試乗|ツーリングに使える! 豪快加速のベスパがこれ

  • 2019/10/19
  • MotorFan編集部 隅本辰哉
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現行ベスパ・ラージレンジのモデル名に"ツーリング"を加え、ネーミングに相応しい装備によって魅力が数段UPしたGTS。パワーユニットにはシリーズ最大排気量となるクォーサー300を搭載するため、走りのキレは健在だ!
REPORT●隅本辰哉(SUMIMOTO Tatsuya)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ベスパ・GTS300ツーリング……72万6000円

性能面でスポーティなベスパのイメージを牽引

ロングランを意識したショートスクリーンを標準装備することで、快適なツーリングを演出。スクリーンの整流効果は高速走行で確実に体感できる。
 "2ストエンジン×ハンドチェンジ"というパッケージはある意味でベスパらしさの象徴とも言えたのだが、排ガス問題など時代の要求に応えていく必要から、ベスパは1995年頃に"4ストエンジン×オートマチック"へと方向転換を始めている。この改革はまずスモールレンジから始まり、2000年代に入るとベスパとして初の水冷エンジンを搭載し、リヤ側を2本サス化したラージレンジのGTシリーズが登場。このGTが現行のGTSシリーズのルーツである。

 話は変わるが、ベスパの70年を超える歴史の中でかつて"スポーツ"をネーミングに冠したモデルが存在した。GS(グランスポルト)とSS(スーパースポルト)がそうで、1950年代〜1960年代に登場している。以来、ベスパ・ラージレンジに"スポーツ"のネーミングは存在していないという背景がある中、オートマチックラインのGTS登場というニュースにファンは色めき立った。そう、GTS=グランツーリスモスポーツといったイメージを膨らませ、久しぶりのスポーツモデルと沸き立ったのだ。

 ところが発売段階でメーカーであるピアッジオからはGTSのネーミングに関する説明がなく、ファンたちの想いは結果的に空振りとなってしまった。しかし水冷250cc/クォーサーエンジンはパワフルで速く、そんな古くからのファンの想いとは裏腹に、オートマチックラインからの新規ユーザーたちを巻き込みヒットモデルへと成長していった。

 その後クォーサーエンジンに300ccバージョン(実質278cc)が追加され、トップスピードよりもダッシュ力優先で味付けされた特性がファンの支持を集めてさらなる人気を呼ぶ。しかも歴代スポーツモデルとして君臨するGSやSSよろしく、スリット入りの右サイドパネルを採用していたことで古くからのファンをも惹きつけていった。ちなみにこの右サイドスリットは通常の250ccバージョンにはないのだが、コスト削減のためか250ccバージョンの末期モデルだけは300ccバージョンと共用と思われるスリットあり仕様となっていた。

 そして2011年、300ccバージョンにとっておきのトピックが追加されている。なんとGTS300SuperSportがデビューしたことで、ファン待望のSS(=SuperSport)というネーミングが復活したのである。ただGTSベースのSuperSportは専用デカールなどによるルックス中心の特別仕様車的なニュアンスが強いモデルであり、今回試乗したGTS300ツーリングとスペック的な差はない。

俊敏なフットワークで普段使いもツーリングも軽快そのもの

 GTSシリーズの登場は、新型の水冷4ストエンジンなくして語れない。前項で触れているようにピアッジオからネーミングの由来などは一切説明のなかったGTSだが、やはり走りをイメージさせるものであることは誰の目にも明らかだ。そうなるとパワーユニットに注目が集まるのは必然で、GTS搭載のクォーサーと名付けられた新型250ccユニットは、その期待を裏切ることのないとてもパワフルなものだった。

 ベスパにおけるラージレンジとはいえ、250ccのGTSは車重が148kg(最終的にはデバイス類の増加などにより151kgとなった)しかなかったことも功を奏した。180kg〜210kgという車重かつ大柄でラグジュアリー傾向を強めた国産ビッグスクーターより、走りもハンドリングも確実に軽快さを実感できるとファンを歓喜させた。

 そして鳴り物入りで登場した300ccクォーサーである。300ccを謳ってはいるが、ボアとストロークをともに250ccのものから3mm拡大させた実質278ccの排気量。最高出力よりもトルクを重視したセッティングが施され、最大トルクは約10%ほど向上。その発生回転数も250ccが6500pmからなのに対して、1500rpmも低い5000rpmで発生するというものだった。そのためスタートでは気を抜いているSSクラスを置き去りにしてしまうほどのダッシュ力を見せつけ、中間速度域でも胸のすく加速感が味わえた。

 さらにベスパらしい軽快なハンドリングは300ccとなっても健在。むしろアクセルオフできっかけを作って旋回を開始したら、パーシャル気味で旋回時の安定性を確保なんて芸当も容易だ。つまりアクセルのオンオフを使い分けることで、軽快さと安定性を思うように引き出すことだって可能なのである。

 今回試乗したのはそのGTS300のツーリング仕様である。これは小ぶりながら走行風からライダーを護ってくれるショートスクリーン、いざという時の積載力を高めてくれる折りたたみ式リヤキャリアを標準装備したモデルだ。試乗車はこれにオプションのフロントキャリアも追加装備していたので、さしづめツーリングスペシャルといったところだろう。

 乗車すると、背筋がピンと伸びるアップライトなポジションとなる。これはGTSの登場以来、基本的に変わらないので妙な安心感を覚える。そこからスッと息を吸って止め、少し前傾のポジションを取りながら右手を必要なだけ捻る。ここで気をつけたいのは、右手(=アクセル)の開け過ぎ注意という点だ。できることなら300ccクォーサーの加速性能に慣れるまでの間、ゆっくりと優しく操作することをお勧めする。不用意にアクセルをガバッと全開にしようものなら、スクーターらしからぬ強烈な加速Gを体感することになるからだ。やはり300ccクラスのゆとりの排気量と160kgのライトなボディとの相性は相当に良いのである。

 GTS300のおもしろさは、なにもスタートダッシュだけではない。低回転域からズ太いトルクが立ち上がるので、街中でアクセルワークによる緩急自在なハイアベレージランが可能という点が真骨頂だと言える。アクセル操作でフロントタイヤの接地感を変化させながら、思い通りのラインをトレースしていく気持ちよさが味わえるのだ。

 また、高速走行ではショートスクリーンが良い仕事をしてくれ、ABSとトラクションコントロールも標準装備とまさに言うことなし。少々足周りに硬さを覚えるかも知れないが、決して不快と感じるほどのものではない。なので市街地〜高速、そして通勤〜ツーリングまで、シーンを選ばずに使い倒せる相棒として検討の価値ある一台だろう。

ベスパ・GTS300ツーリング ディテール解説

新デザインのLEDヘッドランプとショートスクリーンが精悍なフェイス周りを形成。スクリーンは小ぶりでも効果絶大。フロントキャリアはオプションなので、本来なら未装着。
センターに配した見やすく大きなスピードメーターは140km/hまで目盛られている。手前中央に液晶、左右にインジケーター類が埋め込まれたインパネ。
上からヘッドライトHi/Lo切り替え、ウインカー、ホーンの各スイッチを配置した左グリップ部。ベスパのロゴ入りグリップの外側はハンドリングを安定させるバーエンドウエイト。
右グリップ部のスイッチは上からASR、キル、スターター、モードが並ぶ。グリップを握った印象は少し太めだが、握り難いほどではない。
フロントトランク内には左にヒューズBOXとUSB電源ポート、右上に工具BOXを備える。フロントトランク上部中央に荷かけフックとシートオープンボタンを配置。
専用表皮を用いた新形状シートを採用することで、シックかつエレガントな外観を実現。折りたたみ式のリヤキャリアはGTS300ツーリングでは標準装備となる。
シート下ラゲッジスペースは幅の狭さがネックとなり、ヘルメットを収納するには形状を選ぶ。ただし前端部にヘルメットホルダーを2つ備えているので問題はない。
シート下ラゲッジスペースはボックス構造となっていて、容易に脱着が可能。なので外せばご覧の通りエンジンに直接アクセスでき、整備性はすこぶる良い。
折りたたみ式リヤキャリアを標準装備。スプリングが強くてキャリア部分がすぐにたたまれてしまうので、使用時はタイラップなどで固定すると使いやすい。
台座部分にメッキをあしらった大型のテールランプは高い被視認性を誇る。ナンバープレートの緑枠が自動二輪車であることを主張。
φ220mmディスク×ABSに、ベスパ伝統の片持ちリンクアーム油圧式サスペンションが組み合わされたフロントセクション。レッドスプリングがスポーティな雰囲気だ。
ピアッジオの傑作ユニットであるクォーサーエンジンの最大排気量バージョンとなる278cc版を搭載。吸排気効率を見直してフリクションも徹底的に低減されている。

主要諸元◼️

全長/全幅/全高:1,950mm/755mm/ーーmm
軸間距離/最低地上高:1,375mm/ーーmm
シート高:790mm
車両重量:160kg
エンジン:4ストローク・水冷単気筒/SOHC・4バルブ
総排気量:278㎤
最高出力:15.6kW〈21.2PS〉/7,750rpm
最大トルク:22N・m〈2.2kgf・m〉/5,000rpm
燃料供給装置:電子制御燃料噴射システム
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:8.5L
トランスミッション:自動無段階変速(CVT)
クラッチ形式:自動遠心クラッチ
フレーム形式:スチールモノコック
ブレーキ形式(前/後):油圧式220mmシングルディスクABS/油圧式220mmシングルディスクABS
タイヤサイズ(前/後):120/70 - 12"、130/70 - 12"
乗車定員:2名

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