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SWM RS125Rファクトリーは足周りに妥協ナシ! 125ccとは思えない本格エンデューロだ。

  • 2020/02/15
  • MotorFan編集部 大屋雄一
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原付二種では希少なフロント21インチ、リヤ18インチのフルサイズエンデューロモデル。

2014年に中国のShineray(シナリー)グループと手を組んでブランドを復活させて以降、スーパーモトにおいてイタリア国内選手権やヨーロッパ選手権で大活躍しているのがSWMだ。そんなレースシーンで培われた技術をダイレクトにフィードバックしているのが、エンデューロモデルやそれをベースに作られたスーパーモタードである。今回試乗したのはシリーズの末弟である原付二種のオフロードマシン、RS125Rファクトリーだ。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
問い合わせ●SWM(https://www.swm-motorcycles.jp)
取材協力●BEAR SETAGAYA

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SWM RS125Rファクトリー……569,800円

シートにまたがるその瞬間からSWMの本気ぶりが伝わる

ディテール解説

RS125Rファクトリー 主要諸元

SWM RS125Rファクトリー……569,800円

 SWMは1971年にイタリアで創業した二輪メーカーで、オフロードモデルをメインに製造し、当時はモトクロスやトライアルで大活躍したという。2014年のブランド復活と同時にレースシーンに舞い戻ってきたのは、まさにDNAの為せる業と言えるだろう。

これをベースに前後ホイールを17インチのアルミキャストとしたスーパーモタードのSM125Rファクトリーもラインナップ。価格は¥579,700だ。

シートにまたがるその瞬間からSWMの本気ぶりが伝わる

 このRS125Rファクトリーについて生い立ちを説明しよう。まず、イタリア本国ではRS300Rという297.6ccのエンデューロモデルが販売されており、このシャシーに124.7ccの水冷シングルを搭載し、EUのA1ライセンスでも乗れるようにと誕生したのがRS125Rだ。さらに、これをベースに調整機構を持つフロントフォークやアロー製のエキゾースト、レジーナ製のドライブチェーンなど、装備を豪華にしたのがRS125Rファクトリーだ。なお、2020年2月現在、MVアグスタジャパンが輸入販売しているのは、この〝ファクトリー〟のみとなっている。

ピンクナンバーが似合わないほど車体サイズは非常に大きい。
シート高は950mmを公称。乗車1Gでそれなりに前後サスが沈み込むとはいえ、乗り降りだけでも一苦労だ。身長175cmの私でどうにか左右の拇指球が接地する程度である。

 ホイール径はフロント21インチ、リヤ18インチのいわゆるフルサイズで、RS300Rとシャシーを共有しているだけあって、原付二種とは思えないほど車体が大きい。とはいえ、車重は乾燥で117kgしかなく、サイズ感に慣れてさえしまえば取り回しは楽チンだ。

 エンジンは元ハスクバーナの技術者がゼロから開発したもので、1次バランサーはもちろん、CBR1000RR-Rなど近年のスーパースポーツが軒並み採用しているフィンガーフォロワーロッカーアームまで採用している。最高出力はEUのA1ライセンスで乗れる上限の11kW(15ps)となっているが、スペックから察するにこうした規制がなければもっとパワーは出せているだろう。

 この最新鋭の水冷シングル、スロットル操作に対するピックアップの鋭さは完全にコンペティティブマシンのそれだ。ファイナルの関係で1速では20km/hを超えたあたりですぐに吹けきってしまうものの、2速や3速でじっくりとフィーリングを観察すると、7,000rpm付近で加速感が一段と増し、そのままレブリミットの11,500rpmまで一気に伸び上がる。そして、そこまで回しても1次バランサーによって不快な微振動が抑えられているので、開ける快感と相まって自然と高回転域をキープした走り方になってしまうのだ。

 ハンドリングの印象については、フレーム剛性の高さが際立っていた。今回は基本的にオンロードのみの試乗で、なおかつ標準装着タイヤがケンダの本格的なブロックパターンであることから、しなりを感じられるほど高荷重をかけられなかった、というのも大きいだろう。とはいえ、エンジンのパワーに対してシャシーのポテンシャルが上回っている様子は十分に感じられ、RS300Rとフレームを共用しているのを知ったのは試乗後のことだ。

 ファーストエース製の前後ショックは動きが非常にスムーズで、加減速で発生する車体のピッチングはナチュラルであり、荷重移動が分かりやすい。昨今、コストダウンの矛先が足回りに向けられることが多く、粗雑な動きからそれを知ることができるほど。対してこのRS125Rファクトリーは、原付二種の中では頭一つ飛び抜けてサスの作動性が良く、ここからもSWMの本気ぶりが伝わってくるというものだ。

 唯一、気になったのはコンバインドブレーキだ。EUでは義務化されているので仕方ないのだが、フットペダルを踏むと強めにフロントキャリパーも作動してしまい、リヤブレーキで駆動力を調整したいシーンでどうしてもギクシャクしてしまう。特にオフロード走行では邪魔なだけなので、一部のオーナーは自己責任でキャンセルしているという。

 2020年2月現在、原付二種のフルサイズトレール車は国内4メーカーの正規ラインナップにはなく、直接のライバルとなりそうなのはアプリリアのRX125のみだ。ボア径58mmの水冷シングルなどスペック的にはかなり近く、ブレーキは前後連動ではなくボッシュ製のABSを導入している。しかも、価格はSWMよりも圧倒的に安い40万7000円なので、それだけでアプリリアを選ぶ人が多そうだ。しかし、RS125Rファクトリーの装備を細かくチェックすると、RX125との差額に納得できるだけの内容となっている。あとは試乗会などでその違いを身をもって体感してみてほしい。

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