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【207馬力】街で不要の超絶スペック、BMW・S1000RRで市街地&郊外をインプレッション。

  • 2020/05/20
  • 佐藤恭央
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11年前にセンセーショナルなデビューを飾ったBMW・S1000RR。熟成に熟成を重ねて2019年にフルモデルチェンジを決行。5代目となった当モデルは多方面からの評判がすこぶる高い。そのスーパースポーツを長年BMWに親しんできたライダーが満を持して試乗レポート! とは言っても公道オンリーなので普段使いでの情報としてお役立てくださいませ!!

REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)

BMW・S1000RR……2,313,000円〜

試乗車は上級版のMパッケージ(+40万7000円)。カーボンホイールなどを採用し、通常版よりも約3.5kg軽量化されている。カラバリはレーシングレッドとホッケンハイム・シルバー・メタリック(+2万円)の計3色展開。

国産スーパースポーツに一瞬で追いついた化け物!

 BMW初のスーパースポーツ、S1000RRは、2009年にレース(WSB)で好成績を収めた後に、2010年に市販されるという経歴を持つ異色の一台で、発売当時はひどく衝撃を受けたものだ。当時、筆者はバイク雑誌の企画でスーパースポーツ(以下、SS)対決と称し、国内4メーカーのフラッグシップSSとS1000RRを比較試乗したことがある。私的に「サーキットでの速さは、もはやライダーの腕次第である」という結論にいたった。

初代S1000RR(2009年)
 というのも、レースにおいては車両の〝力”というのは大きなウェイトを占めるが、このS1000RRのスゴイところは、日本の4メーカーが長年かけて培ってきた領域に、発売されたばかりのマシンがいきなり肩を並べてしまったことにある。それまでフラットツインエンジン最速のR1200SSも速いマシンだったが、レースなどでは国産4気筒SSに対して絶対的なパワーとフレームワークで後塵を拝していたことは否めなかった。

 一方、S1000RRはアルミツインスパーフレームに直4エンジンを搭載し、サスペンションはフロントにテレスコピック、リヤにリンク式モノサスを採用。湾曲したスイングアームやチェーンドライブなど、国産SSと同等の仕様で登場したのだが、パワー、軽さ、操安性など、全ての面で国産SSを凌駕するパフォーマンスを持っていたのだ!
 国産SSは試行錯誤を繰り返して熟成を重ねて「国産の敵は国産でしかありえない」と言われる性能を獲得してきた。それだけに、BMWの本気(マジ)は恐ろしいと実感したのである。

最高峰の“スポーツ”を提供! フルチェンで先進技術てんこ盛り!

 そのS1000RRも発売から10年を経過し、エンジンや電子制御サスペンションなど、各部の熟成をはかり5代目を迎えた。先代は排ガス規制の適合などでカタログスペックの変更はなかったが、今回試乗する5代目は初のフルモデルチェンジとなっている。
 フロントマスクが左右対称となったエクステリアをはじめ、大きな変更点としてはエンジンに可変バルブ機構「BMW Shift Cam(シフトカム)」を採用し、最高出力は207psにアップ。もちろん、フレームも完全新設計だ。試乗したMパッケージはカーボンホイールや軽量リチウムイオンバッテリーを採用し、車重は196.5kgに抑えられている。この仕様を聞いてワクワクしないライダーがいるだろうか!?
 さらに、試乗車はオプションの「HPモータースポーツ」という、Mパッケージ専用カラーを纏っており、BMWのワークスレーサーを思わせるこのスタイルはプレミアム度も満点!

誰でも乗れる、けれど奥底に眠るパワーに手に汗握る!

 エンジンをスタートさせると、ハイパワーマシンらしい迫力の重低音が響く。このサウンドを聞いただけでは、数々のバイクを乗りこなしてきたベテランライダーであってもBMWとは思わないほど自然なもの。またがってみると、シートがほとんど沈み込まず、身長182cmの筆者でさえしっかりと両足が着かないが、SSの中では標準的と言える。発進はアイドリングでゆっくりとクラッチをつなぐ。すると、スロットル操作は必要ないくらいスルスルゥ~っと加速していく。筆者が普段乗っているのは、旧型フラットツインエンジンを積んだR1150GSなので、S1000RRの低回転から溢れる怒涛のトルクに緊張が隠せない。
 回転計のメモリは1万6000rpmまで刻まれ、レッドゾーンは1万4000rpmに設定。しかし、街中では6000rpmも回せば十分。シフトカム機構の高速カムシャフトに切り替わる9000rpm以上の回転数を使う機会は、公道ではほぼないだろう。

攻めたいなら期待に応えてくれるポテンシャル!

 コーナリングは、立ち気味のキャスター角により非常に旋回性能が高いのだが、慣れないうちはシート高824mmの高い位置から倒し込んでいくことに勇気が必要。しかし、乗り込んでいくうちに、前後タイヤの接地感が高く、限界が極めて高いことを肌で感じられる。そうなれば、相当に攻め込んでいけるだろう。身体を伏せると、フロントフォークの延長戦上に頭が置けるので前輪に荷重が掛けやすく、ブレーキタッチがダイレクトなのでフロントのグリップをコントロールしやすいのも特筆点だ。
 数時間乗っていると、先代モデルより乗りやすいと思えるようになった。もちろん、トラクションコントロールや電子サスなどで、ライダーが気付かないうちにマシンがカバーしてくれる面も大きく影響しているのだろう。
 秀逸だったのが「shiftアシストコントロール機構」だ。先代から装備された機構ではあるが、パーツ自体が刷新されてギアのつながりが各段にスムーズになっていた。クラッチは発進時と停止時以外に使うことがなく普通に走ることが可能。それほど自然なシフトアップ&ダウンをバイクが行ってくれているのだ。限界スピードで試したわけではないが、この機構はコンマ1秒を争うサーキットでも有効なのではないだろうか。

性能を引き出して楽しみたいならサーキットへ迷わずGO!

 そして、最高出力が207psとなったエンジンだが、カタログ公表値の最高時速305km/hという数値は決して大げさではないはず。アイドリング発進からシフトカムが切り替わる9000rpm以上までスムーズに回り、溢れんばかりのトルクを発揮するが、1万rpmから上の回転数がもっとパワフルになる。その回転数で6速に入れられるステージは、ストレートが長く視界の広いサーキットでしかありえない。とにかく恐ろしく速いはずで、常人の目と身体では怒涛の加速についていけないかもしれない。
 もっとも、仮にサーキットを走ったとしても、筆者の腕ではS1000RRのポテンシャルの全てを引きだすことはさすがに難しいため、真相は憶測で申し訳ない。腕に自信のあるライダーはこのスーパースポーツの本領はぜひサーキットで体験してほしい!などと、昔のゲーム攻略本みたいな締めでお茶をにごすとしよう(笑)。

●足つきチェック(ライダー身長182cm)

 ブーツを履いているから見た目は不安なさそうだが、身長182cm体重70kgの筆者で、かかとが大きく浮いてしまう。先代モデルよりハンドルがライダー側に近付いたようで自然に前傾姿勢がとれるため、ポジションはコンパクトに感じる。一旦走り出してしまえば、スポーツ走行をするのにベストポジションと言えるだろう。
 今回の試乗では試していないが、スイングアームのピボット位置を変更できるMシャシーキットを装備しており、リヤサスペンションの車高調整機構と合わせて、自分に合ったポジションや乗り味を探る楽しみもある。

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