いすゞの決断と短かったスバルといすゞの蜜月
自動車に限らず、他社の製品を自社ブランドで販売を行うOEM(original equipment manufacturing)生産や販売を行うメーカーも多い。メリットとしてはコストを抑えて製品を供給できるため、とくに莫大な製造コストのかかる自動車業界では多くのメーカーが業務提携などでこのOEMを採用している。
現代ではトラックやバスといった商用車メーカーとして知られるいすゞも、過去には乗用車やSUVを生産していた。117クーペやジェミニ、ピアッツァ、ビッグホーンといった名車も数多くラインアップしていた。

一方メーカーとしては、当時の対米輸出の自主規制や円高に対処するべく、富士重工(現SUBARU)と業務提携し、米国インディアナ州ラファイエットに両社の合弁会社「SUBARU-ISUZU Automotive Inc」を設立。現地で両メーカーの生産拠点となった。ちなみに現在はSUBARU Indiana Automotiveへと名前を変え、スバル車の現地生産拠点となっているが、略称は変わらずSIAと呼ばれている。
提携を強化したいすゞとスバルだが、お互いのラインナップの弱点を補う形で国内のOEM提携も開始。いすゞのライトバンとしてAP型レオーネを提供し、いすゞジェミネットIIとして販売。一方のスバルへはクロスカントリー4WDであるビッグホーンを供給した。

さらに1990年には初代レガシィセダンをいすゞアスカCXとして販売を開始した。
いすゞの乗用車ラインアップの中でも1983年に登場した初代アスカは、いすゞの世界戦略車としてセンセーショナルにデビュー。

1.8Lと2.0Lのガソリンエンジンの他、2.0Lディーゼルが設定されたほか、いすゞオリジナルの5速ATである「NAVI5」を初搭載するなど、最先端技術を惜しみなく投入した意欲作であった。
2代目で経営資源の集中という理由からアスカはOEMへ切り替え、商用車や当時人気のRVへと集中することとなる。
いすゞアスカは2代目で早くもOEM車に……ベースは初代レガシィ
アスカCXは登場時レガシィのVZをベースとした2.0にAWD(E-BCM型)とFF(E-BCL型)、4ATと5MTを設定したほか、レガシィViをベースとした1.8にFF(E-BCK型)の4ATと5MTをラインアップした。

1990年に登場したアスカCXはレガシィのマイナーチェンジに合わせるように発売からわずか1年となる1991年にマイナーチェンジ。
レガシィ同様エクステリアの刷新などが行なわれたほか、グレード体系も見直し、2.0L FF(E-BCL型)から5速MTを廃止。名称も「VZ」をベースとした2.0L DOHC車を「タイプZ」、新たにブライトンをベースとしたマイナーチェンジで追加された2.0L SOHC/FF/4速AT車に「タイプG」、ベースモデルを2.0Lの「Vi」から1.8Lの「Ti」へと変更したモデルに「タイプT」という名称が与えられた。

今回紹介するのはわずか1年間しか生産されなかったいすゞアスカCXの前期型、グレードは2.0のFF/4速AT(E-BCL型)だ。前述のとおり、ベースは初代レガシィセダンの「VZ」FFとなる。
パワーユニットは2.0L水平対向4気筒DOHCのEJ20D型。最高出力150ps・最大トルク171.6Nmを発生。FFモデルということもあり、車重が1240kgと軽量なため、さほど非力さを感じることはない。

エンジンもレガシィとスペックは変わらないものの、インテークマニホールド上にISUZUのプレートが付くなどOEMながらISUZU車であることがエンジンルームからもわかる。

エンブレムだけじゃない?アスカとレガシィはここが違う!
エクステリアはフロントグリルやトランクに添えられるISUZUエンブレムのほか、車名やグレード名の入るリヤガーニッシュ、リヤクオーターウインドウ下のエンブレム、ホイールキャップ、さらにマニアックなポイントとしてはウインドウまわりのメッキガーニッシュがブラックアウトされている点がレガシィと異なる。とはいえ、ロゴやマークが異なるだけであり、ホイールキャップのデザインなどはレガシィVZ用そのままである。
インテリアもステアリングのISUZUマークを除けばレガシィVZそのもの。レガシィはセダンRSかツーリングワゴンGTといったスポーツモデルの人気が高く、ラグジュアリーモデルとして設定されたVZ系は、サポートもゆるく、クッション性の高いシートやライトグレー系の内装色は逆に新鮮に感じる。

アスカも初代モデルにはスポーツバージョンが設定されていたことを考えるとRSとまでいかずともGTをベースにしたモデルがあっても面白かったかもしれない。

ラグジュアリーグレードということもあり、装備関連はレガシィGT系にも負けず劣らずの充実装備で、赤外線リモコンドアロック、車速検知式集中ドアロック、照明付き助手席バニティミラー、フルオートエアコンといった当時としては豪華絢爛な装備は満足度が高い。
レガシィOEMは1世代限り……3代目からはホンダ・アコードに
OEMモデルとして登場した2代目アスカはCXというサブネームを与えられ、レガシィセダンをベースとしたが、登場から4年、1994年のフルモデルチェンジのタイミングでベースモデルを5代目ホンダアコードへスイッチ。CXというサブネームもなくなり、97年登場の4代目も6代目アコードをベースとしたモデルで販売し、2002年まで販売された。
初代のいすゞオリジナルのアスカはディーゼルターボやNavi5を搭載し、2代目ではEJ20水平対向エンジンを搭載。さらに4代目ではVTECエンジンを採用するなど、世代ごとに各社のいいとこどりをした異端児といえるだろう。

フォトギャラリー:いすゞアスカCX
ここまでの画像や、本文にはない画像はページトップの「この記事の画像をもっと見る(62枚)」で見ることができる。いすゞアスカCXのディティールを写真でさらにチェックしてみてほしい。おそらく、今、見ることができる一番詳しい内容になっているはずだ。



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