超高圧縮NAをフルコンで操る。
USDMの空気感と、現代タイムアタックスタイルを両立
USDM仕様の180SXから乗り換え、中山さんがZ31フェアレディZの製作をスタートしたのは約2年前。もともとリトラクタブルヘッドライトを備えたクルマが好きだったこともあり、「次に乗るなら絶対にZ31」と決めていたという。

ベースとなったのは、非常に希少な300ZXの左ハンドル仕様。ワイドボディならではの存在感も相まって、どこかカリフォルニアの空気を感じさせるスタイリングが印象的だ。しかし、このZ31の魅力は単なるUSDMテイストに留まらない。

エクステリアは純正エアロをベースに、フォグランプの撤去やフロントバンパー横フィンの延長加工などで細部をブラッシュアップ。さらに、主張し過ぎない絶妙なサイズのワンオフリヤスポイラーによって、全体のバランスを整えている。

最大の見どころは、フルスムージングとワイヤータックによって作り込まれたエンジンルームだ。本来搭載されるVG30ETを降ろし、そこへ収まるのはL28改3.3Lユニット。N42ブロック、通称“マニアブロック”をベースに、PAMS×JMC製ヘッドやカムホルダー、専用バルブを組み合わせ、さらにアメリカ製の6連バレルスロットルを装着する。
しかも、このエンジンは単なる旧車メカチューンに留まらない。目標圧縮比14.7:1という超高圧縮仕様としながら、LINK G4Xによるフルコン制御を導入。点火系もダイレクトイグニッション化されており、現代の技術を積極的に取り入れている。結果として、自然吸気ながら400ps近い出力を発揮するハードスペックへ到達した。

また、ワイヤータックされた配線や、徹底したスムージング処理によって余計な凹凸を排除し、エンジンそのものの存在感を際立たせているのも特徴だ。まさに“魅せるL型”を現代的な解釈で表現したエンジンルームと言えるだろう。

ホイールは、以前装着していたロティフォームDSCから仕様変更し、現在はニスモLM-GT2をリバレル加工して装着。17インチながら圧倒的な深リム感を実現し、ワイドボディの迫力をさらに引き立てている。

足回りは326パワー製ワンオフ車高調をベースに、リヤのコイルオーバー化やイケヤフォーミュラ製フルアームを導入。その内容は「ほぼS15シルビア」と言えるレベルで、旧車らしい挙動を感じさせない現代的なハンドリング性能を追求している。
さらに、ブレーキにはAPレーシング製キャリパーを前後に投入。フロント6ポット、リヤ4ポットという贅沢な構成によって、400ps級NAエンジンに見合う制動力を確保した。


インテリアにも抜かりはない。OMPヴェロチータのブラックスエードステアリングを装着し、センターコンソールはスムージング加工を実施。将来的なiPad埋め込みまで見据えた先進的なデザインへ仕上げられている。

さらに室内にはワンオフのダッシュ貫通ロールケージをレイアウト。リヤにはラジウムエンジニアリング製フューエルタンクを搭載し、アルミ配管による燃料ラインの取り回しまで美しく演出している。

そして、このZ31はまだ完成形ではない。現在はスタンス色の強いセットアップとなっているが、中山さんは「来年から本格的に筑波アタックへ挑戦したい」と語る。

USDM、スタンス、旧車メカチューン、そしてタイムアタック。その一見相反する要素を高次元で融合させたZ31フェアレディZは、今まさに次なるステージへ向けて進化を続けているのだ。
●取材イベント:Red Bull Tokyo Drift 2026


