マツダの人気SUVの最上級モデル、CX-8に2.5ℓのターボエンジン(SKYACTIV-G2.5T)が追加された。このG2.5Tを搭載したL Packageを800kmほどドライブしてみた。乗り味は、燃費はどうか? TEXT & PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)
CX-8 に2.5ℓ直4直噴ターボのSKYACTIV-G25Tが搭載されたのは、2018年11月。それまでは、全車2.2ℓ直4ディーゼルターボのSKYACTIV-D2.2を積んでいた。18年11月の改良で、2.5ℓ自然給気のSKYACTIV-G2.5とターボのG2.5Tが追加されたわけだ。 3列シートがほしい、でもミニバンはいや。もっとスタイリッシュなSUVがいい、と思っていたユーザーに向けて登場したCX-8だが、パワートレーンではディーゼルを選ぶしかなかったのだ。ここにガソリンエンジンが追加されたのは、選択肢が増えるということで歓迎だ。 ご存知の通り、現在の日本のディーゼル市場を牽引しているのは、マツダ、そして輸入車勢だ。そのマツダも、ここへきて、微妙に軌道修正しているのがみて取れる。ディーゼルからガソリンエンジン、マイルドハイブリッドへの緩やかな移行とでも言おうか。 さて、CX-8で国内初投入された2.5ℓ直4直噴ターボ(以下G25T)は、北米のCX-9に積まれてデビューした。元々は3.7ℓ自然給気V6エンジンの代替として開発された過給エンジンだ。

ダイナミック・プレッシャーターボ! CX-5に新たに搭載された2.5ℓ直4ターボ:SKYACTIV-G 2.5T 技術の詳細は、こちらをご覧ください。

全長×全幅×全高:4900mm×1840mm×1730mm ホイールベース:2930mm

車重:1890kg(試乗車) 前軸軸重1060kg 後軸軸重830kg
ダイナミック・プレッシャーターボと呼ぶ独自のターボを積む、マツダ流「ライトサイジング・ターボ」である。 さて、前置きが長くなったが、CX-8のG25T搭載モデル、「25T L Package(AWD 7人乗り)」に試乗した。約800km走行しての燃費や乗り心地などをレポートしよう。 CX-8をドライブするのは、2017年12月のデビュー当時以来だから、1年半ぶりだ。堂々した体格と相変わらず美しいデザインだ。ボディカラーのマシーングレープレミアムメタリックも高質だ。 全長×全幅×全高:4900mm×1840mm×1730mmというボディサイズは、やはり大きい。とはいえ、トヨタ・アルファードの4945×1850×1935mmや日産エルグランドなどと比べれば、「ちょっとだけ小さい」わけで、むやみにデカイわけではない。が、やはり気を遣う。コーナーで障害物が近づくと、車両の前後左右に備えた4つのカメラの映像がモニターに映る。上方かの俯瞰のトップビューも見られるのは、非常に有用だ。

内装の質感も高い。センターのディスプレイは、最近のトレンドからするとやや小さいか。

マツダコネクトのナビ。ナビ用のSDカードPLUS(16GB)が4万8600円と手頃なのは大変いいが、起動が遅い。
まずは、都内の市街地をドライブしてみよう。渋滞が続く首都高速、そして新宿近辺の平均速度が極めて低い道路を走る。G25Tのフィーリングは上質だ。ディーゼルも洗練されているが、音や振動はガソリンには敵わない。アイドリングも静かだし、下からトルクもあるから、乗っていてとても楽だ。 G25T:420Nm/2000rpm D2.2:450Nm/2000rpm だから、トルクでG25Tが劣っているなんて感じることはない。ダイナミックプレッシャーターボは、比較的低回転でターボが効く(ターボラグは小さい)エンジンだし、アイドリングからの踏み始めなら、ガソリンターボもディーゼルターボも、ターボは効かない=2.5ℓの直4NA、2.2ℓの直4NAなのだから、ここでの優劣は、純粋に音と振動だけだ。これは、G25Tの圧勝。どんなに静かになったとはいえ、ディーゼルはアイドルでも特有の音がするし、静かな住宅地の早朝・深夜ならどうしても気を遣う。それがG25Tなら、ない。 一方で燃費を考えると、市街地でも燃費はD2.2に軍配が上がる。 今回、市街地を107km走った時の燃費は 市街地107km:6.9km/ℓ だった。ほぼ8割はドライバーひとり、残りは2名、あるいは7名フル乗車(をテストした。別にレポートする予定)だった。 WLTCの市街地モードは、8.4km/ℓだから、達成率は82.1%。 CX-8のD2.2搭載モデル(同じグレードで)のWLTC市街地モードは12.5km/ℓだから、同じ達成率でも10.3km/ℓとなる。燃費ではやはりディーゼルには勝てない。

悪天候だったが、走りは安定していてリラックスしたドライブができた。ドライブしていて最も気持ちのいいのは、100-110km/hあたり。
今回のドライブの目的地は「人とくるまのテクノロジー展」が開催されていたポートメッセなごやである。2名乗車で名古屋へ向かう。 カラーのヘッドアップディスプレイは、フロントガラス照射タイプ。これは非常にいい。マツダのSUVの最上級モデルにふさわしい。 全車速追従のACCは、渋滞の首都高でも役立ったが、早朝の東名道でもありがたい機能だった。LKS(レーンキープアシストシステム)は、60km/h以上で車線逸脱を防止するために、ステアリングをアシストする機能で、試乗車には搭載されていたが、これは正直言ってあまり恩恵を感じなかった。ステアリングはあくまでもドライバーが操作するもの、というマツダの考え方なのか、単に機能的に車線の中央をキープし続けることができないのかは、不明だ。試乗中、LASが付いていると意識したことはなかった。

CX-8のメーターは、相変わらず非常に美しい。フォントといい、表示の仕方といい、大変気に入った。
100km/h巡航時のエンジン回転数は2000rpmだった。最新のモデルにしては回転数がやや高い。これが燃費にも影響を及ぼしていると思う。 マツダは自社製の6速ATを使うが、レシオカバレッジは5.812。現代の基準から言えば、あまりワイドとは言えない。CX-8の最終ギヤレシオは、4.411だ。 新東名の120km/h制限の区間では、ACCを120km/hにセットする。エンジン回転数は2350rpmあたりだ。 視界もいいし、インテリアは上質。BOSEサウンドシステムの音もいい。ただ、乗り心地は、やや疑問が残った。常に上下に揺れている感じが気になった。もっとビシッと安定して走ってほしい。いまのマツダならそういう乗り味なんじゃないか、と思うのではないだろうか。 走行モードにはノーマルとスポーツがあるので、試しにスポーツに切り替えてみた。すると、6速で走っていたものが、いきなり4速に変速、タコメーターの針は跳ね上がる。これって、必要? それよりも、1-2名乗車と4名以上のフル乗車のサスペンション(ダンパーのセッティング)を変えられるモードがあったほうが役に立つように感じた。2名乗車での高速走行よりも、きっと4、5名乗車での乗り心地のほうがしっくりくるのだろうと思うが、今回は試せなかった。 ポートメッセなごやと東京の往復で走った距離は、644.7kmだった。燃費は11.9km/ℓだった。これもモード燃費と比較してみよう。 WLTC高速道路モード:13.8km/ℓ 今回の高速道路試乗:11.9km/ℓ 達成率は86.2%だった。 渋滞もほぼなく、快適なドライブだった。がそれ故、燃費は物足りない。 総走行距離は794.9kmで総合燃費は10.4km/ℓだった。これもモード燃費と比較すると WLTCモード:11.6km/ℓ 今回の高速道路市場:10.4km/ℓ 達成率は89.7%だった。高速道路の比率が高かったおかげで、高い達成率となった。 筆者の運転が燃費に優しくない、という可能性もあるが、同じエンジンと搭載したCX-5の試乗では、650km走って11.5km/ℓだから、CX-8の10.4km/ℓというのは、実力通りなのではないだろうか。

ボンネットフードにはダンパーがつかない。最上級モデルだから、ダンパー付きであってほしい。

エンジンSKYACTIV-G2.5T 形式:2.5ℓ直列4気筒DOHCターボ 型式:PY-VPTS型 排気量:2488cc ボア×ストローク:89.0mm×100.0mm 圧縮比:10.5 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 給気方式:ターボチャージャー 最高出力:230ps(169kW)/4250rpm 最大トルク:420Nm/2000rpm 燃料:レギュラー

毎度ですが、これがエンジンカバー。

裏側はこうなっている。

マツダCX-5 25T 燃費は?:650km走って2.5ℓガソリンターボの実力を考えた。SKYACTIV-D2.2と比べてどう?

最小回転半径:5.8m

燃料はレギュラー。ハイオク指定でなくてよかった。
CX-8を選ぶ際、迷うのは、2.2ℓディーゼル(SKYACTIV-D2.2)か2.5ℓガソリンターボ(SKYACTIV-G2.5T)か、だろう。 まずは、価格差だ。 25T L package:7人乗り 424万4400円 XD L Package:7人乗り 446万400円 価格差は21万6000円である。 次に燃費だ。 モード燃費は 25T L package:7人乗り WLTCモード燃費:11.6km/ℓ 市街地モード:8.4km/ℓ 郊外モード:11.7km/ℓ 高速道路モード:13.8km/ℓ XD L Package:7人乗り WLTC:15,4km/ℓ 市街地12.5km/ℓ 郊外:15.3km/ℓ 高速道路:17.5km/ℓ である。今回の試乗を当てはめて、実燃費の達成率を89.7%とすると 25T L package:10.4km/ℓ XD L Package:13.8km/ℓ となる。

レギュラーガソリン:140円/ℓ 経由:122円/ℓ として考えてみよう。 1km走るために必要な燃料代は、 25T:13.7円/km D2.2:8.8円/km という計算になる。 1km走るごととに4.9円、25Tの方が燃料費がかかるわけだ。 車両価格の差額は21万6000円だから約4万4000km走った時点で、車両代+燃料代はイコールになる。5年間乗るなら年間約8600km、3年間なら約1万4700kmがボーダーラインとなる。年間8600kmというのは、現在の日本の年間平均総距離が約7000kmほどだと考えると、「ちょっとだけ長く走る使い方」だ。 もちろん、燃費・燃料代だけで決めるわけではない。G25Tには、ガソリンエンジンらしい伸びやかさがある。ディーゼルにはない洗練された、小さい粒が綺麗に揃ったかのような精緻な燃焼をアクセルペダルを踏む足から、ステアリングホイールを握る指から感じられる。これは燃料代とは別の価値基準である。 筆者の年間の走行距離はおおよそ1万3000km。取材で往復600〜900kmのロングドライブもある。となれば、選ぶのはディーゼルだ。しかし、そうでのない人は、G25Tを選んでまったく後悔はしないと思う。月々の燃料代がディーゼル搭載車より高くても、車両を保有している期間にかかる費用はディーゼルより安い、ということを給油のたびに思い出せばいいのだ。

マツダCX-8 25T L Package 全長×全幅×全高:4900mm×1840mm×1730mm ホイールベース:2930mm 車重:1890kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rマルチリンク式 駆動方式:AWD エンジン 形式:2.5ℓ直列4気筒DOHCターボ 型式:PY-VPTS型 排気量:2488cc ボア×ストローク:89.0mm×100.0mm 圧縮比:10.5 最高出力:230ps(169kW)/4250rpm 最大トルク:420Nm/2000rpm 燃料:レギュラー 燃料タンク:74ℓ トランスミッション:6速AT WLTCモード燃費:11.6km/ℓ 市街地モード:8.4km/ℓ 郊外モード:11.7km/ℓ 高速道路モード:13.8km/ℓ 車両本体価格: 429万8400円 試乗車は、オプション(BOSEサウンドシステム、CD/DVDプレーヤー+地上波デジタルTVチューナー)込みで441万1800円
