より便利で快適、そして安全な軽自動車にしたい。フロントウインドウ投影式のHUDをはじめ、惜しみなく投入された軽自動車初採用の機能と装備はそんな開発陣のこだわりだ。後席折り畳み操作などの進化も見逃せない。 レポート●工藤貴宏(KUDO Takahiro) アシスタント●住吉史衣(身長155㎝)(SUMIYOSHI Fumie) フォト●中野幸次(NAKANO Koji)

軽自動車初採用の安全装備と先進機能が盛りだくさん


快適性を高めるために、空調で整えられた前席の空気を後席へ送るアイテム。ライバル車でも採用されているが、より小さく頭上に圧迫感を与えないのが美点だ。秘密は流速の高い空気を吹き出すことで周囲の空気も巻き込んで送る仕組み。

カラー表示のHUD


「HUD」とはヘッドアップディスプレイの略称。メーターよりも高い位置に情報を映すことで、前方からわずかな視線変化で情報を確認できるのだ。フロントガラスに映すタイプは軽自動車初。

スーツケースをモチーフに


内外装ともにデザインモチーフはスーツケース。それを最も象徴するのが助手席アッパーボックスのリッドで、雰囲気はまるでドイツブランドのスーツケースのよう。この雰囲気は新鮮だ。

〈運転席まわり〉遊びゴコロと機能性を両立したレイアウト


上面を低く、そしてアッパー部の張り出しを抑えて乗員から離すことで、広い視界と開放感をもたらす設計。一方でナビはかなり高い位置(メーターよりも上にある!)として見やすく、手が届きやすいから操作性にも優れるのが美点である。空調パネルも手が届きやすいように高い位置にレイアウトされたのも新型のポイントだ。


標準車のメーターは大きな速度計に液晶を組み合わせたシンプルなデザイン。文字盤の中央は照明の色で走行状況を示す「ステータスインフォメーションランプ」で、燃費のいい状態ではブルーからグリーンへ変化。減速エネルギー回生時はホワイトとなる。

注目は新採用の「PWR」ボタン。エンジンとCVTの制御変更に加えてモーターアシストを強めることで加速力が高まる。左はオーディオ操作&液晶表示切り替え。


ヘッドアップディスプレイの明るさと上下位置は調整可能。明るさが合計21段階、高さは60段階と細かく刻んでいる。


全車ともボタンを押してエンジンを掛けるプッシュ式スターター。運転席の右側、ステアリングコラムの脇に組み込む。


電動スライドドアの開閉ボタンやアイドリングストップのオフスイッチは運転席右側に。左側には安全支援機能系のオフスイッチ。


前進は「D」とエンジン回転数を高くして強いエンジンブレーキが掛かる「L」のみ。セレクトレバーにはエンジン回転を高めにする「Sモード」ボタンも備わる。


アクセルペダルは小さめだが、軽自動車としては一般的。左端は足踏み式の駐車ブレーキで、その下がフットレストとなっている。

カスタムのコックピット


速度計の左にタコメーター、右にアナログ燃料計が加わる。液晶ディスプレイは位置が変わるだけでなく、カラーがブラック(&ホワイト文字)になって引き締まった印象だ。


「XS」系はステアリングとシフトノブが革巻きに。パドルシフト装着車はマニュアルモードになる「M」が「L」の代わりに備わる。


指先を動かすだけでギヤ比を固定してのシフトアップ/ダウンが行なえるパドルシフトをターボ車に装着。エンジンブレーキにも便利。


ターボ車には高速道路走行時にアクセルを踏まなくても速度を一定に保つクル ーズコントロールを装備。疲労を減らし燃費も向上。

軽自動車初のフロントガラス投影式HUD

直接フロントガラスに映すHUDは表示がカラーとなりサイズも大きいので、ワゴンRのプレート表示よりも格段に見やすくなった。視線移動の少なさもガラス投影式の美点だ。表示できる情報の種類も多い。

〈車両情報〉速度計&シフトポジションのほか、回転計、エネルギーの流れ、瞬間燃費(バーグラフ)、そしてクルーズコントロール設定やナビの簡易案内も表示。

〈エアコン〉割り込み表示として、エアコンの設定を動かしたあとは操作後の状況を示す。他にも、半ドアや燃料残量警告、進入禁止、路面凍結注意なども用意。


〈オープニング〉イグニッションをONにするとアニメでドライバーを迎える。エンジンを切るとエコ運転を点数化して示す。

〈空調・ナビ・オーディオ〉スズキ初のサーキュレーターですべての乗員を快適に


全車でマニュアル式ではなくオートエアコンを標準装備しているのがうれしい。室内側空調ユニットの蓄冷材を凍らせる「エコクール」によってアイドリングストップ中も一定時間は冷風が出るのもポイントだ。パネルはボタンではなくシーソースイッチ式とした温度調整と風量切り替えで操作性が良好。


後席に空調が効きにくいというハイトワゴンの悩みを解決するのが、天井設置のサーキュレーター。流速を高めて周辺の空気も誘引して送るのがポイントで、小型化を実現した。

女性のリクエストで生まれたエアコン吹き出し口は、つまみを回すだけで風量と風の拡散具合まで調整できる軽自動車初の装備だ。


ナビはディーラーオプション設定。7インチ画面モデルとひとまわり大きな8インチ画面モデルをそれぞれ4タイプずつ用意していて、撮影車両に搭載しているのは7インチのパナソニック製(14万7258円)だ。


大きなイラストのメニュー画面が分かりやすい。リアルタイム情報に基づき通過時間の短い道を誘導する「VICS WIDE」にも対応。


地上デジタルチューナーはすべてのナビに標準搭載。パナソニック製ナビは対話型の音声入力で目的地を設定できる機能も備わる。

オプションの全方位カメラは軽乗用車初の3Dビュー表示も可能


エンジン始動時は3Dビューがまず表示され、車両周囲をグルッと一周する。これは単なるデモではなく、クルマの周囲に子供や障害物がないかを確認して安全性を高める機能でもある。


車体を透かしたのと同じ状態で前後左右の様子を表示可能。俯瞰画像もそうだが、目視では死角となる車両直近を可視化して障害物の確認ができることは安全に大きく貢献する。


全方位カメラに表示対応するナビはパナソニック製のみ。真上から見下ろす映像で自車の周囲が一目瞭然となり、安全性も高まる。ハンドル操作に応じた進路予測線も表示。


停止時や微低速時に、自車に向かってくる移動物(車両、人、自転車)を検知して音と画面上の黄色い点灯で警告する機能を搭載。前進/後退いずれも作動し、不注意による事故を防ぐ。

注目装備①


〈単眼カメラ+赤外線センター〉先進安全支援システムの“目”となるのはセンサー&カメラ。衝突回避可能速度上限も向上し、歩行者にも対応するようになった。


〈後退時ブレーキサポート〉バンパーに組み込んだ超音波センサーにより警告音だけでなく、障害物に近づくとブレーキを掛けて接触を回避する軽初の機能。


〈後方視界支援ミラー〉スズキ車で初めてテールゲート上部に鏡を設置。リヤビューモニター非装着車でも、鏡越しに死角となる車両後方直近を確認できる。


〈サイドアンダーミラー〉目視できない助手席側側面周辺を確認するための鏡を左側Aピラーに装着。サンバイザーを下げても邪魔にならない位置が絶妙だ。

〈居住性&乗降性〉スライドドアの開口高と開口幅をアップ

圧倒的な開放感はさすが。窓の大きさと頭上の広さ、そしてフロントガラスを立てて空間を広げるなど複数の要素による相乗効果がそれを実現する。地面に対しての着座位置は先代比30㎜高くなって見晴らしがさらによくなった。軽自動車最大級の室内幅が生む左右のゆとりも見所だ。

先代でも呆れるほど広かった後席は、新型になり足元がさらに10㎜増してゆったり。乗車している写真(右)はスライドが最前部だが、足元は狭過ぎない。左の写真はスライド最後端だ。薄い座面なのに良好な座り心地の秘密は、ウレタン密度を高めた座面だ。リクライニングは5段階。


サーフボードなど長尺物を積む際は、助手席をほぼフラットまで倒して荷室長を拡大できる。このように倒せば最大2m程の荷物を積載可能だ。


ダッシュボード下部は張り出しを抑える設計とし、足元空間を広く確保。いかに空間を広げるかは新型スペーシアの大きなテーマで、車内を見るとその配慮が随所に感じられる。


リヤシートのスライドは先代比40㎜増しの210㎜とかなりの量。最も前に出した状態(写真奥)でも、普通に座れるだけの足元空間が残るのだから凄い。最後部なら楽に足が組める。


シート高:720㎜ ステップ高:345㎜


シート高:720㎜ ステップ高:345㎜

低いステップと高い開口高、そして地面に立った状態から腰掛けやすい座面高のおかげで乗降性は抜群にいい。フロントドアは3段階に開き、一番手前は開く角度が浅く設定されているのは隣のクルマにドアをぶつけにくくするためだ。後席はライバル勢より床面が低いのが自慢で、開口幅は先代比20㎜増しの600㎜。開口高は1250㎜だ。


このクラスでは定番となった後席ドアガラスのロールサンシェード。眩しいだけでなくジリジリと照り付ける暑さの原因になる直射日光を和らげるほか、外から車内を見えにくくする効果もある。ドアに内蔵だから、閉じた際はスッキリ。


電動スライドドアに予約ロック機能をスズキ車初採用。閉じている途中にリモコンで施錠すると、完全に閉じた後にロックされるから全閉するまで待たずに済む。


後席ドア開口部脇のBピラーには乗降グリップを用意。これが助かるのは小さな子供や足腰の弱った年配の人だが、どちらにも手が届きやすい高さとしている。


フロントガラスの面積が広いだけに、サンバイザーも大型サイズ。先代よりも天井が高くなったことを受けて、サンバイザーもいちだんと大型化している。

〈室内の収納スペース〉インパネアッパーボックスはスーツケース風

使うほどワクワク、スズキ・スペーシア、収納スペースを総チェック!! 容量は?使い心地は? ※写真をクリックまたはタップすれば、当該記事にアクセスできます。


助手席座面下にある収納部分は、車外へ取り外し可能で取っ手まで付いている。洗車などにバケツとして使うこともできる。

シートバックテーブルはカスタム「XS」系専用


テーブルを立てた状態では、下にあるフックも利用できる。左右2ヵ所にあるから、状況に応じて使い分けられる。


テーブルには2本分のドリンクホルダーを用意。下には底を受け止める“支え”があるので、ボトルも置けて安定感も良好だ。


折り畳んだ状態でも使えるフックを用意。子育てファミリーなら子供用のアイテムを入れた袋を吊ると便利そう。

〈ラゲッジルーム〉荷室高と開口高を拡大し27インチ自転車も載せやすい


通常時:高さ1110㎜ 通常奥行き305㎜

このクラスのライバルと同様に、後席を最後部までスライドした状態でのラゲッジスペースはあまり広くない。しかしアルトなどのセダン系やワゴンRなどワゴン系に比べると天地高に余裕があり、それらにはできない大型スーツケースの積載もできる。


後席格納時:最小幅855㎜ 奥行き1410㎜

後席を格納すると27インチの自転車も楽に収まる広い空間に変身。この大空間もハイトワゴンならではだ。後席は従来同様に低く収まり、わずかに生じる倒した後席と床との段差はスロープで解消する(先代は段差が残った)。


開口部床面の地上高は580㎜と低い。開いたテールゲートの後方への張り出しは大きいが、先代同様にヒンジの位置を工夫してなるべく張り出しを抑えている。操作感は先代よりも軽い。


従来型や多くのライバルにはできない、車両後方からのスライド操作も実現。床面にあるヒモを引っ張ればロックが解除され、前後に動く。


背もたれを前に倒すだけのワンアクションで後席を倒せる機能が便利。実は、これができるのはスペーシアとN-BOXだけだ。

シートはスライドも格納も左右独立で行なえる。スライド量は210㎜で、先代と違ってシートを前に出しても床面にレールが残らないのは実用性を大きく高める進化だ。


荷室床下にはパンク修理キットが収まるほか、三角停止板などちょっとした車載アイテムを置けるスペースが用意されている。


開口部にある自転車を積み下ろししやすくする溝(ガイド)はうれしい気配り。後ろ側が低いスロープ状になっている。

注目装備②


〈ルーフレール〉クラスでははじめてルーフレールを設定。ファッション的要素も強いが、スキー、サーフィンのキャリアに発展できる実用品だ。

〈アクセサリーソケット〉ダッシュボードに加え、後席脇にもDC12Vアウトレットを備えるのは珍しい。ここにUSBソケットを接続すればスマホの充電もできる。


〈ユーティリティナット〉荷室壁面左右それぞ2ヵ所にある穴は、荷室左右にバーを通したり、ネットを張ったり、フックを付けられる。

〈携帯リモコン〉キーは全車ともに携帯するだけでアンロックやエンジン始動ができる非接触式。ドアロック/アンロックボタンのほか電動スライドドア装着車はその作動スイッチも内蔵する。

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