日本とは違う歴史を歩んだ“タイカブ”

タイカブの代名詞、WAVE125i(ウェーブ125i)をがっつりカスタムしたのは、凄腕プライベーターとして知られるツボイラトラトリーさん。モトチャンプでも後付けのターボ搭載車両やビッグスクーターエンジンのスワップマシン、近未来風にアレンジしたスペイシー、カフェレーサー風のカブなど、数々の車両を紹介してきた。

写真は2003年式のWAVE125i。

さてWAVE125と言われても国内(日本)ではピンとこないと人もいるのでは? タイホンダで製造されるモデルで東南アジアを中心に庶民の足、そしてレジャー用として親しまれている。

歴史は意外と古くデビューは29年前(1997年)。大きく100cc、110cc、125ccの3種が存在し、一部モデルは日本でも並行輸入されて流通している。カブの名が示す通りアンダーボーンフレームだが、スクーターのDio110のようなカウルを採用してスポーティな装いなのだ。年式などによってはレーシーなグラフィックが施されていて、素朴なジャパニーズカブとは似て非なる存在だ。

MACHINE:HONDA WAVE125i
OWNER&BUILDER:ツボイラトラトリー

WAVEシリーズは二人乗り前提だからスーパーカブなどとは異なるロングシートだ。シート加工の老舗「丸直マルナオ」に依頼してアンコの形状を変更し、バーガンディ色の表皮に張り替え。縦タックロールがエレガント!

ライト&ハンドル周りをごっそり変更

現車を見ていくと外装はLiB designによってオールペンされ、丸直にオーダーした特製シートでカラーチェンジ。注目なのは“顔周り”だろう。ステム部分から上側をまるっと作り直しており、ハーレー純正の丸目ライトにスクリーン、そしてワールドウォーク製ハンドガードを備えたラリーレイドなスタイルを獲得している。フォグランプも追加してベースマシンWAVE125iとは見た目も激変!クロスカブやハンターカブのようなSUVのテイストを取り入れているのだ。

自身で設計・製作しているためメーターなど各パーツの配置は自由自在だが、逆に言えばバランスを整えるのが非常に難しい。操作性を司るハンドルも含めているため素人がおいそれと手を付けられるものではないけれど、熟練のノウハウを持つオーナーによってうまくまとまっている。 

ACEWELLの中でも大型の液晶メーター(ACE-7652)をチョイス。手前のバッグはフィッシングブランドとのコラボも人気のソニッククラフティ製だ。

シート下収納+パニアケースで積載力UP!

車体後方に目を向けると、ワンオフのパニアケース用ステー、そして釣りが趣味というオーナーゆえにロッドホルダーを装着。左右のパニアステーはテール後方でパイプを2本連結させて剛性を高めているのがポイントだ。「WAVEシリーズはシート下にメットインがあるのでトップケースがなくてもそこまで不便はありません。パニアケースのみでツアラー風に仕上げました」。

スクーターのようにシート下に収納スペースを有しているWAVE。インナーにはaRacer製フルコン(RCスーパーX)をセット。レブリミットは11000rpmに設定。

アルミ板から切り出した自作のフロントフェンダー。これにリヤフェンダー用の汎用マッドガード(泥除け)を追加してビンテージMX風にアレンジしている。

ハイエンドな足周りで走行性もバッチリ!

WAVEシリーズはカブ同様にスポークホイールが主だったが、スーパーカブがそうであるように近年はキャストホイールが主流に。このマシンは本来リム&スポークを組んでいたが、インドネシアのVNDレーシング製アルミ鍛造ホイールに履きかえて剛性アップとバネ下重量を軽量化。

リヤショックはオーリンズ製を奢り、ソニッククラフティ製サスペンションカバーで保護しながらカジュアルにドレスアップ。

フロントブレーキはKN企画製PCX用のφ220ディスクに入れ替え、キャリパーサポートを加工してモンキー125(JB02)用の純正キャリパーを装着している。さらに、リヤブレーキはドラム仕様からディスク化しており、こちらもモンキー125用ブレーキユニットを移植している。ドラムからディスク仕様への変更では当然マスターシリンダーやブレーキホースも必要となり、ペダル部分から見直す必要があるため苦労したという。

前後ハブ付近に付けられている黒い筒はマスダンパー。「試しに付けてみたら衝撃をしっかり吸収して乗りやすくなりました!」とオーナーはご機嫌!

リヤ側のマスダンパーは、スイングアーム後端にセット。特徴的なリヤショックのカバーはソニッククラフティ製だ。

グロムのエンジンを移植して徹底強化!

エンジンはノーマル(125cc)からグロム用(JC61)に載せ替えられている。WAVEのエンジンと基礎設計こそ同じだが、互換性はなくハーネス類もグロム用に引き直してチューニング。SP武川製181㏄スーパーヘッド4V-Rを投入し、5速ミッションやスリッパークラッチもSP武川製で統一。これにφ37mmのビッグスロットルボディやワンオフマフラー(サイレンサーのみヨシムラ製トライコーンを流用)、そしてaRacer製フルコンでセッティング。「先日、長野県まで600km走りました」と、ロングランも非常に快適だったそうだ。

 “タイカブ”と聞くと「たくさん人が乗って走ってる」、または「たくさん荷物を積んでる」という情景が浮かんでしまうほど現地の人の下駄として酷使されているイメージなのだが、この車両はスマートにレジャーを楽しむ“ジェントル”な一台に仕上げられている。

長距離走行を見越してSP武川製オイルクーラーを備える。エキパイにはバンテージを巻き、その上からエンボスのステンレス板を溶接してヒートシールドとして使用。遮熱することで排気効率が高められることからレースシーンでも取り入れられているアイデアだ。

撮影したのはこのイベント

Mini Motorcycle Nuts Meeting

横浜市のホットドッグショップ「Green Nuts」の敷地内で定期的に開催されている、ミニバイク限定のミーティングイベント。アメリカンな空間にはチョッパーやホットロッド系カスタムをはじめ、王道の4MINI改やUSDMなスクーター、昭和時代のコミューターまでジャンルレスのマシンが集う。隔月開催なので興味がある人はショップのWEBサイトをチェックしてみよう。

■グリーンナッツ https://greennuts-yokohama.com/

【モトチャンプ編集部】