80周年を象徴するフラッグシップとして投入される可能性
フェラーリが昨年発表した新世代ハイパーカー「F80」に、早くもオープンモデルが加わる可能性が高まってきた。

イタリア・マラネロ周辺で開発車両が目撃され、ブランド創立80周年を記念する限定モデル「F80 アペルタ」の登場が現実味を帯びている。

フェラーリは2023年、「F80 Aperta」の名称を商標登録しており、今回のプロトタイプはその市販モデルにつながる車両とみられる。現時点で正式発表はないものの、歴代スペチアーレと同様の展開を考えれば、クーペに続いてオープンモデルが投入される流れは十分に考えられる。
今回目撃されたプロトタイプは、一見すると通常のF80と大きな違いは見られない。しかし、ルーフ周辺には厳重なカモフラージュが施されており、この部分に市販仕様へ向けた大きな変更が加えられていることをうかがわせる。

注目したいのは、フロントウインドウ後方に設けられたフライングバットレス形状のサイドウイングが、そのまま残されている点だ。このレイアウトを見る限り、ルーフはキャビン全体を覆う構造ではなく、中央部分のみを取り外すタルガトップ、あるいは着脱式ルーフパネルとなる可能性が高い。これは単なるデザイン上の演出ではなく、高速域での空力性能とボディ剛性を両立するためのフェラーリらしい選択と言えるだろう。
最も参考になりそうなのが、2016年に登場した「ラ・フェラーリ アペルタ」だ。
同車はブランド創立70周年を記念する特別モデルとして誕生し、取り外し可能なカーボンファイバー製ハードトップに加え、ソフトトップも用意された。オープン化による重量増加やボディ剛性の低下を最小限に抑えながら、クーペとほぼ同等のパフォーマンスを実現したことでも知られている。
F80 アペルタも、この思想を受け継ぐことになりそうだ。オープンモデル専用の補強を加えながらも、車体構造やエアロダイナミクスを最適化し、フェラーリが掲げる究極のドライビング性能を維持することが開発目標になるとみられる。単なる屋根のないF80ではなく、専用チューニングを施したもう一つのフラッグシップとして仕上げられる可能性が高い。
パワートレーンはクーペから大きな変更はないとみられる。
F80は最高出力900psを発生する3.0L V6ツインターボエンジンに、前後へ配置した3基の電気モーターと2.28kWhのバッテリーを組み合わせるハイブリッドシステムを採用。システム最高出力は1200psに達し、0-100km/h加速は2.15秒、最高速度は350km/hという圧倒的なパフォーマンスを実現している。アペルタでも、このシステムがそのまま受け継がれる可能性が高い。
近年のフェラーリは、オープンモデルを単なる派生車種ではなく、ブランドを象徴する特別な存在として位置付けている。ラ・フェラーリ アペルタをはじめ、限定生産のスペシャルモデルはいずれも高い希少価値を持ち、新車販売後も世界中のコレクターから注目を集め続けてきた。
F80 アペルタも同じ道を歩むことになりそうだ。
現時点では正式な発表はないものの、生産台数は399台に限定されるとの見方が有力だ。これは799台限定となるF80クーペの約半数にあたり、さらに希少性を高めたコレクターズアイテムとなる可能性がある。価格もクーペを大きく上回ることが予想され、発表前に完売することはほぼ確実だろう。
また、登場時期にも特別な意味がある。
フェラーリは2027年に創立80周年という節目を迎える。ラ・フェラーリ アペルタが創立70周年を記念して登場したように、F80 アペルタも80周年を象徴するフラッグシップとして投入される可能性が高い。ブランドの歴史を彩る記念モデルとして、技術力とデザイン、そして希少性のすべてを凝縮した1台になるはずだ。
V12自然吸気エンジンを象徴としてきたフェラーリが、新世代ではV6ハイブリッドを最高峰モデルに採用したことは、自動車業界の電動化時代を象徴する出来事でもある。その究極形ともいえるF80が、オープンボディという新たな魅力を手に入れる日も、そう遠くはないのかもしれない。










