インドネシアは、日系商用車メーカーが、大きなシェアを握っている重要市場のひとつ。ショー会場の商用車メーカーエリアには、日系4社が肩を並べるように展示を行なっていた。展示台数こそ多くはないが、大型車も含まれるため見ごたえは十分だ。

いすゞ自動車“楽しみ”を提供するカスタムトラックを展示

「GIIAS2026」のいすゞブース。ユーザーが安心できるアフターサービス体制強化に関する展示。

2025年インドネシア商用車市場で25%のシェアを獲得したいすゞは、新たな小型トラックの活用を提案した。
ひとつが「モバイルビューティサロン」だ。現地の老舗ヘアケアブランド「プトリ」とコラボした移動式ヘアケアサロンを制作した。

いすゞブースに展示された小型トラック「トラガ」のモバイルビューティサロン仕様車。

ベースとなったのは、現地仕様の小型トラック「トラガ」。実用的なサイズと扱いやすさを重視して開発された現地モデルで、D-MAXのフレームを活用しているのが特徴。荷台は快適なサロンに仕上げられており、幅広い地域でのヘアケアサービスの提供を可能としている。

いすゞ「トラガ」モバイルビューティサロン仕様車。
いすゞ「トラガ」モバイルビューティサロン仕様車の内部。

もうひとつの提案が、日本でも根強い人気を持つキャンピングカーだ。観光業界向けのアピールに作られたモデルで、総重量5トン以下のハイキャブ仕様の小型トラック「エルフNLR」をベースに製作されたもの。いわゆるキャブコンバージョンと呼ばれるタイプで、コクピットとキャビンが一体となったものだ。

いすゞ「エルフNLR」キャンピングカー。トラックのコクピットまわりを活かしつつ、キャンピングカー用のキャビンを架装したキャブコンだ。

広々としたキャビンはキャンピングトレーラー等にみられる拡張機能を備えており、標準荷台サイズよりも広い室内空間を確保。そのため、想像以上に広々としている。同車のPRのために、現地の旅系人気YouTuberとのコラボも実施された。

いすゞ「エルフNLR」キャンピングカーは、キャビンの拡張が可能な仕様なので、かなり広々している。

この他にも、カスタムされたピックアップトラック「D-MAX」やPPV(※)「MU-X」に加え、道路清掃車仕様の大型トラック「ギガFVR」も展示。この道路清掃車は、日本の架装メーカー「山口レッカー」の現地法人「YMGテックモビリティ」と手を組み、現地の販売に挑むもの。やはり、大型トラックベースなので、展示の迫力も満点だった。
※Pick-up Passenger Vehicle

カスタム仕様でワイルドさを増したいすゞD-MAXは、「SANA」とのコラボモデル。
いすゞD-MAXは、バイクを積載した大人の遊び仕様に。
カスタムが施されたいすゞMU-Xは「SANA」とのコラボモデル。プロテクションだけでなく、ライト周りもカスタムされている。
いすゞ「ギガFVR」道路清掃清掃車仕様
いすゞ「ギガFVR」道路清掃清掃車仕様

三菱ふそう:新型「キャンターバス」を初披露

「GIIAS2026」の三菱ふそうブース。車両の稼働率向上と運行効率の最大化を目指すカスタマーサービスの取り組み「ゼロダウンタイム」の展示。

三菱ふそうは、インドネシアで2025年は39.9%ものシャアを持ち、55年連続でトップを独走する人気メーカーだ。ショーの目玉として、新型バス「キャンター・エクストラロングバス」を初披露。その名が示すように、小型トラック「キャンター」をベースに開発されたもの。キャンターシリーズで、最も長い4.175mのロングホイールベースのフレームを採用。展示車の仕様は、日本の小型バスよりも少し大きいサイズとなる全長7500mmだが、全幅は取り回しの良い2035mmに抑えられているため、トールスタイルのスリムなボディデザインが特徴だ。

三菱ふそう「キャンター・エクストラロングバス」は、キャンターのフレームを活用した現地向け小型バスだ。

その他にも、商用車の電動化需要に応えるEV小型トラック「eキャンター」や日本人には、懐かしいデザインを受け継ぐ小型トラック「キャンターFE84G」、中型トラック「ファイターX」などを出品した。

三菱ふそう「eキャンター」、今後需要が期待されるEVトラックだ。
三菱ふそう「キャンターFE84G」は、車両総重量8.5トンクラスのモデル。
三菱ふそう「ファイターX」はASEAN市場向けの頑丈な中型及び大型トラック。
三菱ふそう「ファイターX」のウィングボディ仕様。

日野自動車安全性と快適性を高めた新仕様のバスを発表

「GIIAS2026」の日野ブース。展示車は小型トラック日野「300シリーズ」。以前は「300デュトロ」であったが、名称がシンプル化された。

2025年商用車販売では3位に位置し、約21%のシェアを持つ日野自動車の目玉は、新型バス「RM 280 ABS Retarder」だ。最新のエンジンに加え、電磁式リターダーを装備することで、特に下り坂走行中での安全性を高めているのが特徴。観光に適した高床式のバスで、乗客の視界が良いだけでなく、床下に巨大な荷室が確保されている快適性の高いもので、エアサスが標準。トイレも備わる。

日野「RM 280 ABS Retarder」は、日野バスシリーズの大型バスに安全機能を追加した新タイプ。
日野「RM 280 ABS Retarder」の客室。
日野「RM 280 ABS Retarder」の客室。最前席は、足を延ばして座る仕様に!

日本の観光バスと異なるのは、前後に乗降用ドアが装備されていること。そして、フロントガラスの傾斜が大きいことから、最前列のシートは、足を延ばして座る特別仕様となっていた。イベント中、現地のバス会社「Bagong Transport」が1台の導入を発表し、初顧客となることも明かされた。会場では、車内を見学することもでき、リターダー装着部が確認できるように床面の一部がスケルトン仕様となっていた。

日野「RM 280 ABS Retarder」のリヤスタイル。
日野「RM 280 ABS Retarder」のリターダー。

またバス同様に目立つ存在だったのが、消防車仕様の「HINO 500シリーズFM 280JD」。ベースとなるのは、6×4の駆動システムに、280psの7.7Lディーゼルエンジンを組み合わせた仕様で、消防車両を手掛ける現地企業「AYAXX Fire Figjting Technology」社が製造したものだ。同車両は、現地消防署に寄贈されることなった。

日野「HINO 500シリーズFM 280JD」消防車仕様。その姿は、迫力満点で見惚れるほど。
日野「HINO 500シリーズFM 280JD」消防車仕様のリヤスタイル。
キッズの記念撮影用消防服も用意されていた。

UDトラックス:「クエスター」の26年度モデルを発表

UDトラックスの海外市場向け大型トラックである「クエスター」の2026年モデルをショーで発表。燃費や環境性能の向上に加え、ESCやEBS、エアバックなどの安全装備にも改良を加えている特徴だ。

UDトラックス「クエスター」は海外専用モデルなので、日本の「クオン」などとも内外装デザインは異なる。

同社では、現地にて小型トラックの「クーザー」も展開中。同モデルは、いすゞからのOEMであり、海外向けエルフがベースとなる。現地では、活躍の場が全く異なる大型と小型のトラックのみを展開している。

UDトラックス「クーザー」は、いすゞからのOEMなので馴染みある顔立ちだ。

乗用車メーカー各社の商用モデルにも注目……商用EV導入の動きも

また小型の商用車としては、トヨタのピックアップトラック「ハイラックスランガ」や小型バスやバンの「ハイエース」、小型トラック「ダイナ」などを導入。
ダイハツは、日本でもお馴染みの小型トラック及びバン「グランマックス」シリーズを展開する。

トヨタ「ハイラックスランガ」は、タイなどでは「ハイラックスチャンプ」と呼ばれるものだ。
ダイハツ「グランマックス」のバンのみが展示されていた。現地では3列シートのミニバス仕様も。

三菱自動車では、ピックアップトラック「トライトン」に加え、懐かしいデリカデザインの小型トラック「L300」も活躍中。
スズキは、軽自動車ではない小型トラックの「キャリイ」が活躍中だ。

三菱「L300」PHOTO:MITSUBISHI
スズキ「キャリイ」PHOTO:SUZUKI

また日本市場でも活躍するBEV商用車の導入も開始されており、三菱ミニキャブEVが「L100 EV」として導入済みだ。現地では、多くの日本車が働く現場で活躍中だ。今後は、商用車も電動化のニーズが拡大する可能性があり、中国メーカーが商用車の売り込みにも力を入れているため、日本車大国を守るべく、各社の頑張りに大いに期待したい。

三菱は2023年12月より「ミニキャブEV」を「L100EV」としてインドネシアで現地生産している。PHOTO:MITSUBISHI