三菱「ディスティネーター」とは?
三菱自動車工業が、昨夏に発表した新型ミッドサイズSUV「ディスティネーター」は、ASEAN地域を中心の新興国市場向けに開発されたインドネシア製造の世界戦略車だ。2025年7月に開催されたGIIAS2025にて世界初披露され、販売を開始。インドネシア自動車工業会(GAIKINDO)の発表データの集計によると、2025年の販売台数は、年央過ぎの発売にもかかわらず、全体の19位となる1万415台を記録する好調なスタートに。

さらに2026年上半期でも、7474台を販売済みと昨年を上回るペースだ。因みに、ターミネーターを彷彿させる響きのディスティネーターという名称は、目的地(destination)からの造語で、ドライバーや一緒に過ごす大切な家族が新たな目的地へ踏み出す後押しをしたいという想いが込められているそうだ。

日本ではお目にかかれない新SUVの第一印象は、これが新型パジェロでも良いのではと思ったほど。ショー会場での実車確認の際は、まだ新型パジェロの発表前だったが、そのくらいの迫力を感じたのだ。ひょっとすると、ディスティネーターのデザインでは、パジェロの先行デザイン開発の役目もあったのかもしれない。大きくたくましい新型パジェロも魅力的だが、サイズ感や街乗りにも似合うデザインなど SUVとしてはディスティネーターの方が総合力では高いと感じた。
パジェロを先取りした最新デザインと優れた実用性

そのエクステリアの特徴は、最新世代のデザインアイコンであるダイナミックシールドマスクを進化させたもの。最も象徴的なのは、新型パジェロのデザインを先取りしたT字型ヘッドライトデザインだ。さらに新型パジェロの2種類のフロントグリルのひとつと同じハニカムグリルを搭載するが、ディスティネーターはアクリルパネルとの組み合わせで、スポーティさや先進感も演出しており、やや都会的なデザインに仕上げた。SUVらしさを演出するロアグリルやサイドスカートなどは、ボリューミーなデザインに仕上げることで、パワフルさを強調している。

リヤスタイルもT字型テールランプを採用するが、新型パジェロとは異なりセンターガーニッシュレス。ナンバー位置もリヤバンパー内とすることですっきりしたデザインとなっており、こちらもスポーティな印象を強めることで、走りの良さを予感させる。

ボディサイズは、全長4680mm×全幅1840mm×全高1780mm。アウトランダーより若干小ぶりだが、ミドルサイズSUVとしては十分な大きさを確保。しかもホイールベースでは、アウトランダーを上回る2815mmだ。そのロングホイールベースの秘密は、3列シートレイアウトを実現するため。インドネシアでは、ファミリーカーニーズが高いため、3列シート車が人気なのだ。

未舗装路も多い新興国市場向けなので、最低地上高も214mm確保しており、アンダーカバーを含めないと244mmまで拡大。さらにアプローチアングル、ランプブレークアングル、デパーチャーアングルなどクロスカントリー車に求められる要素も考慮。そして、最小回転半径も5.4mとアウトランダーよりも優秀なのだ。
| 車名 | ディスティネーター | 新型パジェロ |
| 最低地上高 | 214mm(244mm) | 230mm |
| アプローチアングル | 21.0度 | 30.4度 |
| ランプブレークオーバーアングル | 20.8度 | 22.6度 |
| デパーチャーアングル | 25.5度 | 25.8度 |
そのインテリアでは、全席でくつろげるゆとりある3列シート空間が目指されたという。着座してい見ると、後席は足元にゆとりがあり、3列目も実用的なサイズだ。

コクピットデザインは、コンパクトSUV「エクスフォース」や新型パジェロなどに採用されるメーターパネルとセンタータッチスクリーンを一体デザインとした先進感あふれるもの。コクピットデザインに関して、海外向けモデルの方が先を進んでいるといってよいだろう。


細かい機能では、2列目シート用の折り畳みテーブルを備え、後席エアコン調整も可能など、ファミリーカーとしての役目をしっかりと果たす。またラゲッジスペースは、2列目と3列目共に折り畳みが可能で、フルフラットになるので使い勝手に優れる。
エンジンは、エクリプスクロスなどで実績を積んだ1.5L直列4気筒直噴ターボエンジンにCVTの組み合わせで、最高出力120kW(約163ps)/5000rpm・最大トルク250Nm/2500~4500rpmというスペックだ。エクリプスクロスのものと比べ、10kW・10Nmのスペックアップが図られているが、これはハイオク仕様化だけではなく、水冷インタークーラーの採用やアトキンソンサイクル化の進化も挙げられる。

ポジションはエクスフォース以上パジェロ未満?
価格を抑えるべく駆動方式はFFのみ。しかし、そこに三菱独自の駆動制御のAYC(アクティブヨーコントロール)と5つのドライブモードを搭載することで、如何なる道にも対応でき、爽快な走りを実現させている。もちろん、グレードにより内容は異なるが、先進安全運転支援機能も採用。現在インドネシアではディスティネーターだけに、コネクテッド機能も搭載しているのだ。

グレード構成は「GLS」「エクシード」「アルティメット」の3タイプを設定。撮影車は最も豪華な「アルティメット」で、2トーンアルミホイール、レザーシート(合皮)、12インチのセンターディスプレイ、64色のアンビエントライト、先進の安全運転支援機能などを標準装備。さらにプレミアムパッケージが用意されており、ハンズフリー電動パワーテールゲート、パワーシート、ダイナミックサウンドヤマハプレミアム(8スピーカー)が装備される。
気になる価格だが、GLSが4億200万ルピア(約355万円)、最上位のオプション装着車「アルティメット プレミアム」が5億1700万ルピア(約457万円)となっている。

インドネシアでのポジションを尋ねると、小型SUV「エクスフォース」よりも高い上質感を求める顧客に向けたPremium Family SUVとのこと。主な顧客は40代前後の既婚・子育てファミリー層で、所得が比較的高いアップグレード志向の人たちだそうだ。

日本のミドルサイズSUVと似た価格帯であり、現地ではちょっと贅沢なファミリーカーのようだ。日本への導入を期待したいが、ASEAN向けのモデルとはニーズが異なることもあり、その辺は新生パジェロシリーズの兄弟車が埋めてくれるようだが、ぜひ新コンパクトパジェロはディスティネーターを参考にして欲しいと思う。
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