全長約4450mmという扱いやすいサイズでありながら、3列シート・7人乗りを実現
スズキの海外専売モデルである「XL7」が大幅改良を受けた。

今回発表された改良型は、SUVらしさをさらに際立たせたデザインを採用するとともに、装備や質感も大きく向上。それでいて現地での価格は約220万円からという手頃さを維持しており、新興国市場では7人乗りSUVとして高い競争力を備えたモデルとなっている。

「XL7」は、かつて北米で「グランドビターラ」のロングホイールベース版として販売され、その後はGMとの共同開発によるクロスオーバーSUVへと生まれ変わった。しかし、スズキの北米撤退に伴い2012年に販売を終了し、その車名はいったん姿を消した。
その後、2020年に新興国市場向けモデルとして「XL7」が復活。現在はインドネシアで生産され、東南アジアや中南米、アフリカなどで販売されている。ベースとなるのは3列シートMPV「エルティガ」で、軽量プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。インドでは上質な6人乗り仕様「XL6」も展開されるなど、市場ごとのニーズに合わせたラインアップが用意されている。
改良型で最も印象が変わったのはフロントマスクだ。グリルは従来より大幅に大型化され、スキッドプレート付近まで伸びる力強いデザインを採用。縦型サイドインテークや新デザインのLEDフォグランプを組み合わせることで、SUVらしい存在感を一段と高めている。
ボディサイズに大きな変更はないものの、樹脂製クラッディングや高めの最低地上高によってクロスオーバーらしい雰囲気を強調。さらに、新デザインの16インチアルミホイールやダーク調テールランプ、ツートーンカラー、新デザインのシャークフィンアンテナなどを採用し、細部の質感も引き上げられた。
インテリアでは装備の充実が目立つ。インフォテインメントディスプレイは従来の8インチから9インチへ大型化され、ダッシュボードやドアトリムにはダークシルバー加飾を追加。最上級グレードでは360度カメラやドライブレコーダー、ESP、ヒルホールドアシスト、タイヤ空気圧監視システムなど、安全・快適装備も大幅に強化されている。
このモデル最大の魅力は、全長約4450mmという扱いやすいサイズでありながら、3列シート・7人乗りを実現している点である。全長は「カローラクロス」に近いコンパクトなサイズに収まり、大型SUVほど取り回しに気を遣うことなく、多人数乗車へ対応できるパッケージングは大きな武器と言える。
パワートレインは最高出力105PSを発生する1.5L直列4気筒ガソリンエンジンを継続採用。エントリーグレードはガソリン仕様のみだが、中間グレードと最上級グレードにはマイルドハイブリッドを設定し、スタータージェネレーターと小型リチウムイオンバッテリーの組み合わせによって燃費性能を向上させている。駆動方式はFFのみで、トランスミッションは5速MTまたは4速ATを組み合わせる。
改良型「XL7」はインドネシア国際オートショーで初公開され、すでに現地で受注を開始している。価格はエントリーグレード「Zeta」MTが2億7430万ルピア(約220万円)から、最上級の「Alpha Hybrid」ATでも3億2970万ルピア(約265万円)と、7人乗りSUVとしては非常に競争力の高い設定だ。現地では三菱「エクスパンダー クロス」やホンダ「BR-V」、ダイハツ「テリオス」などがライバルとなるが、その中でも「XL7」は価格と実用性のバランスに優れたモデルとして支持を集めている。
では、この「XL7」が日本市場にもし導入されたら通用するだろうか。
現在、日本で3列シートSUVを選ぼうとすると、「アウトランダー」や「CX-80」、「ランドクルーザー250」など比較的大型のモデルが中心となる。一方で、全長4.5m前後のコンパクトな3列SUVというカテゴリーは事実上の空白市場である。
その点、「XL7」は扱いやすいボディサイズと7人乗りを両立し、SUVらしいスタイルと十分な最低地上高も備えるなど、アウトドア志向のファミリー層にも十分訴求できる商品性を持っている。日本市場に導入されれば、既存SUVとは異なるポジションを築ける可能性は小さくない。
もっとも、日本導入には課題もある。国内の衝突安全基準や排出ガス・燃費規制への対応、「スズキ セーフティ サポート」の日本仕様への適合など、商品化には相応の開発コストが必要となる。また、日本ではコンパクトミニバンやスーパーハイトワゴンの人気が依然として高く、このクラスの3列SUVがどこまで受け入れられるかは慎重に見極める必要がある。
それでも、廉価な価格で7人乗りSUVを実現するモデルは、日本市場では極めて希少な存在である。国内導入のハードルは決して低くないが、「コンパクト3列SUV」という空白市場に挑戦すれば、日本のSUV市場へ新たな選択肢をもたらす1台となる可能性は十分にあるだろう。







