後席の広さは同等! 荷室はアコード! 最注目すべきは後席の乗降性




新型クラウンクロスオーバーの最も目立つ変更点はリヤデザインと言えるだろう。奇抜だったテールランプまわりの塗り分けがなくなり、保守的なリヤスタイルへと改められた。そのほか、フェンダーモールは無塗装素地から塗装処理へと変更されている。また、バイトーンカラーはルーフ面のみの塗装だった旧型に対し、改良型はピラーまで塗装されたことで重心が低くなったようにも見える。
対するアコードは、7月31日の改良でヘッドライト脇のガーニッシュがボディと同色化され、ヘキサゴングリルの形状が際立ったことで精悍な印象が強まった。同時に各部のロワガーニッシュも同色へと変わっている。
両車ともに改良でボディサイズは変わっておらず、全長と全幅はアコードの方が数十mm大きい程度でほぼ同等だ。全高はクラウンクロスオーバーの方が高いものの、後席の頭上空間に大きな差はない。膝まわりはどちらもサルーンとして十分な空間を確保しているが、スペースはアコードの方が拳一つ分ほど広く確保されている。
大きな差が出るのは荷室の使い勝手だ。後席背もたれを倒せないクラウンクロスオーバーの荷室構造はノッチバックセダンと変わらない。長尺物用のトランクスルーは備わるものの、トランク容量はアコードの573リットルに対して、クラウンクロスオーバーは450リットルと小さく、平均的なサイズのゴルフバッグ4つが横積みできるアコードに対して、クラウンクロスオーバーは3つまでとなる。
一方、純ノッチバックセダンとなるアコードは大きな荷室容量に加え、小さなトランクスルーとリヤシートを倒して使える大開口のトランクスルーの両方が使える。
もうひとつ両車の用途や性格の違いが色濃く現れる点は後席の乗降性だ。クラウンクロスオーバーは高いルーフラインと後席座面高の高さにより乗り降りしやすいが、リヤドア面積はアコードに比べてやや狭い。
そのため、男性が後席に乗り込むことが多い使い方にはアコードの方が向くだろう。反対に、狭い場所ではリヤドアが短いクラウンクロスオーバーの方が乗り降りがしやすい。クリーンサイドシルを採用するクラウンクロスオーバーは乗り降りに際して衣服を汚しにくい美点もある。
トヨタ クラウンクロスオーバー Z
ボディサイズ=全長4930mm×全幅1840mm×全高1540mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1810kg
タイヤサイズ=225/45R21(前後)
ホンダ アコード e:HEV
ボディサイズ=全長4975mm×全幅1860mm×全高1450mm
ホイールベース=2830mm
車両重量=1580kg
タイヤサイズ=235/45R18(前後)
第5世代THS搭載! 市街地燃費は悪化するも、高速燃費は大幅向上


新型クラウンクロスオーバーのパワートレインは第5世代ハイブリッドシステムに刷新された。エンジンスペックは一切変わっていないが、フロントモータースペックは最大トルクが202Nmから208Nmへ強化され、最高出力は129psから136psへと向上。リヤモーターは変わらず54.4ps/121Nmを維持しており、システム出力は234psから239psにアップしている。
一方、アコードはモーター走行を基本とし高速走行時のみエンジンの動力を直接伝えて走行する“e:HEV”だ。システム出力ではクラウンクロスオーバーに劣るものの、最高出力184ps/最大トルク335Nmの高出力モーターを用いた加速はクラウンクロスオーバー以上のパワーを感じさせる。またアコードはサルーンでありながら、純エンジン車のように疑似変速を伴ったスポーティな走りができる点も魅力だ。
両車のWLTCモード平均燃費は新型クラウンクロスオーバーの22.7km/L(Zグレード)に対し、アコードが23.8km/L(標準グレード)であり、燃費性能は依然としてアコードの方が優れる。
クラウンクロスオーバーは旧型よりも平均燃費値が向上しているものの、市街地燃費は20.9km/Lから18.3km/L(Zグレード)へ低下した。しかし、郊外および高速燃費は大幅に向上しており、とりわけ高速燃費はアコードに並ぶほどにまで高められている。
新型クラウンクロスオーバーはモーター作動範囲の拡大により、低中速はより力強い加速性能を発揮できるようになり、高速走行時の燃費効率も大幅に高められた。こうした傾向は、2.4L ターボエンジンを搭載するRSグレードも共通だ。また、新型クラウンクロスオーバーは“RS”のみの装備であったパドルシフトが、Z/Gグレードにも標準装備となった。
FFのみの設定であるアコードに対して、モーター駆動の4WDシステム“E-Four”と、後輪操舵システム“DRS”による高い安定性は悪天候時にも心強い。DRSは小回り性能の引き上げにも貢献しており、両車の最小回転半径はアコードの5.7mに対して、クラウンクロスオーバーは5.4mだ。
どちらもショーファーカーとしての性格を持ち合わせながらも、クラウンクロスオーバーはE-FourとDRSによって実用性と安心感を徹底的に高め、アコードはドライバーズカーとしての高揚感と操縦性を備えている。両車はそれぞれの企業の思想をそのまま体現したクルマと言ってもよいだろう。
トヨタ クラウンクロスオーバー Z
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=186ps/6000rpm
最大トルク=221Nm/3600〜5200rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=4WD
ホンダ アコード e:HEV
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=147ps/6100rpm
最大トルク=182Nm/4500rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
新型クラウンクロスオーバーは値上げを抑えつつも装備が充実


“クラウンクロスオーバー Z”の新車価格は599万9400円であり、改良による値上げは4万9400円に留まった。ほかのグレードも上げ幅は数万円程度だ。対する“アコード e:HEV”の価格はやや安い595万1000円となる。
乗り心地の面では、電子制御ダンパーが標準装備となるアコードが一歩リードする。クラウンクロスオーバーにもアコードと同じく静音ホイールやアクティブノイズコントロール(ANC)が備わるが、サスペンションは一般的な機械式ダンパーだ。
しかし、クラウンクロスオーバーの“Z”と“RS”には、アコードに設定されないシートベンチレーション機能が標準装備となるため、夏場の快適性に限ってはクラウンクロスオーバーの方が優れる。
そのほか改良では、“トヨタプレミアムサウンドシステム”が10スピーカー/8chアンプの構成はそのままに臨場感を中心とした音質向上が図られたほか、寒冷地仕様も全グレード標準化された。
加えて、“Z”および“RS”はスマホなどをキー代わりにできるデジタルキーも標準装備となっている。これだけ装備を充実させながら、わずか数万円の値上げに抑えられるのはトヨタの企業規模があってこそだ。
どちらのクルマもショーファーカー/プライベートカーとして高い性能を備えているのは間違いない。より幅広い用途や範囲に対応できるのはクラウンクロスオーバーの方と言える。後席や荷室空間、乗り心地などの+αを求めるならアコードを検討するのがよいだろう。
車両本体価格
トヨタ クラウンクロスオーバー Z:599万9400円
ホンダ アコード e:HEV:595万1000円
