PS+ジンクグリーンが新たな定番の組み合わせに

マツダは2026年6月26日に行なった「マツダ ロードスター」の商品改良で、「走りの魅力をさらに深化」させた特別仕様車「PS」を新設定した。1.5L直列4気筒自然吸気エンジンを積むソフトトップ車に設定されるカタログモデルで、ベースはSスペシャルパッケージ(以下SSP)。PSはPure Sport(ピュアスポーツ)に由来する。

PSの特別装備は以下のとおりだ。

・ガラス製リヤウインドウ付きソフトトップ(インシュレーター付き。クロス:グレー)
・レイズ社製16インチアルミホイール(ブラック塗装)
・ブレンボ社製ベンチレーテッドディスク&ブレンボ社製対向4ピストンキャリパー(シルバー塗装)
・ビルシュタイン社製ダンパー
・エアコンルーバー加飾(外側:ブラック/内側:シルバー)
・エアコンダイヤル、エンジンスターターリング(ブラック)

新型ロードスターPS(ボディカラーはジンクグリーン)

新色のジンクグリーンメタリックは商品改良版ロードスター全車で選択が可能だが、新設されたPSに限っては、65%のオーナーが選択しているそう。PS+ジンクグリーンは新たな定番の組み合わせになりそうだ。

ガラス製リヤウインドウ付きソフトトップ(インシュレーター付き。クロス:グレー)
レイズ社製16インチアルミホイール(ブラック塗装)
ブレンボ社製ベンチレーテッドディスク&ブレンボ社製対向4ピストンキャリパー(シルバー塗装)
ビルシュタイン社製ダンパー
エアコンルーバー加飾(外側:ブラック/内側:シルバー)
エアコンダイヤル、エンジンスターターリング(ブラック)

旋回性能の向上と乗り心地の両立

ボディカラーはディープクリスタルブルー 車両価格:366万3000円

PSは装備が他のグレードと異なるだけでなく、走りも専用に仕立てられている(ビルシュタイン製ダンパーを標準装備するRSも同様)。開発に携わる技術者はPS開発の狙いを次のように説明する。

「PSのターゲットは日常生活で運転を楽しんでいただくこと。サーキット(で楽しむモデル)はNR-AやMAZDA SPIRIT RACING(以下MSR)があるのでそちらに任せています。とはいいつつもMSRの開発を通じていろいろなことが見えてきたので、その知見をPSにフィードバックしていこうということで開発しました」

MSRの開発で得た知見は、「旋回性能の向上と乗り心地の両立」だ。加えて、「ロードスターらしい軽快さをさらに向上」させるため、操舵フィールの向上を狙って電動パワーステアリング(デュアルピニオン式EPS)の特性を見直した。

旋回性能の向上については、スプリングレートとダンパー減衰力の機能配分を見直した。ごく大ざっぱに表現すれば、スプリングレートを上げ、ダンパー減衰力(縮み側のみ)を落としてバランスさせたことになる。

開発に携わる技術者はスプリングレートの高低を示すグラフを見せてくれた。横軸がフロント、縦軸がリヤである。横軸が右、縦軸は上にいくほどレートが高いことを示している。商品改良前のRSは左下のかなり低いところにプロットされている。対照的にMSRは右上の高い位置にあり、前後ともかなりスプリングレートが高いことを示している。

NR-Aは商品改良前RSとMSRの中間、新設定されたPSはNR-AとMSRの中間に位置している。SSPのリヤスプリングレートは商品改良前RSとほぼ同等で、フロントのスプリングレートがやや高めの位置にある。

走りを意識したグレードに的を絞って関係を整理すると、スプリングレートはNR-A>PS>MSRの順に高くなっている。PSのスプリングレートは商品改良前RSよりだいぶ高い。前後のバランスでいうとリヤのほうを上げ気味にしており、リヤのロール剛性配分を上げて(相対的にリヤに仕事をさせる考え)、旋回性能を向上させようとしている。

エンジン形式:直列4気筒DOHC
エンジン型式:P5-VP[RS]型
総排気量:1496cc
ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm
圧縮比:13.0
最高出力:100kW(136ps)/7000rpm
最大トルク:152Nm/4500rpm
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)

いっぽうで、スプリングレートを上げると乗り心地に懸念が生じる。そこでスプリングとダンパーの機能配分を見直し、ダンパー縮み側減衰力を若干落としてバランスさせた。スプリングの仕事量を増やしたぶん、ダンパーの仕事量を減らした格好だ。このようにバランスさせることで、ばね上ボディのフラット化と旋回性能、および乗り心地の両立を図った。伸び側の減衰力は落としていない。伸び側も落とせば跳ねる感じを減らせるのはわかっているが、引き換えに旋回内輪側の浮きロールが大きくなってしまうため、これを嫌って手は付けなかったという。

走りに振った仕様感が絶妙

シートカラーはブラック シート素材はクロス/レガーヌ(合成皮革)

EPSの特性はPSやRS専用チューニングではなく、商品改良版ロードスター全車に適用している。狙いは「自然でダイレクトな操舵フィールの実現」だ。微小な操舵のときはタイヤが発生する力が小さいので、EPSの余分のアシストは要らない。いっぽうで、ステアリングの切れ角が大きなところではタイヤが発生する力が大きいので、しっかりしたアシストが必要。この考え方に基づいてチューニングしている。

切り込んだステアリングを戻す際、大きな舵角のときはタイヤのセルフアライニングトルク(SAT:タイヤが自ら直進状態に戻ろうとする力)が大きいので、アシストに頼らずSATを活かす考え。ただしセンター付近に近づくにしたがってSATは弱くなるため、この領域ではEPSのアシストでサポートする考えだ。

PSのトランスミッションは6MTのみ。車両重量はSがもっとも軽い 1010kg。PSは1030kg

今回の商品改良では最新の車外騒音規制に適合させるためタイヤの溝深さやコンパウンド、構造を見直したり、コイルスプリング、ダンパーの機能配分を見直したりしている。こうした変化点も織り込んだうえでEPSの特性をチューニングして最適化し、「理想の操舵特性」を実現した。

まずPSの乗り味だが、車速や路面の条件がピタッと合ってしまうとヒョコヒョコとした細かな揺れを感じるシーンがあった。ただ、眼球が上下に激しく揺れて運転に支障をきたすとか、内臓に響いて不快といったレベルではない。走りに振った副作用としては許容範囲だし、特別な仕様であることを情報として感じさせる意味として筆者は好意的に受け取った。総じて言えば終始快適だけれども、走りに振った仕様感が絶妙に感じられる味つけになっている。

ステアリングはスッキリ感が印象に残った。人工的なアシストが介入している様子は感じさせない。手と足の違いはあるが、靴を履いていることを意識させないフィット感に似た感覚がステアリングの操舵感にあり、実に気持ちいい。商品改良版ロードスター全車に適用されたEPSの再チューニングは、実は新旧の違いを最も直感的に感じ取れる大きな変換点だ。

マツダ・ロードスター PS
全長×全幅×全高:3915mm×1735mm×1235mm
ホイールベース:2310mm
車両重量:1030kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
エンジン型式:P5-VP[RS]型
総排気量:1496cc
ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm
圧縮比:13.0
最高出力:100kW(136ps)/7000rpm
最大トルク:152Nm/4500rpm
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:195/50R16 84V
乗車定員:2名
WLTCモード燃費:16.9km/L
市街地モード燃費:12.3km/L
郊外モード燃費:17.4km/L
高速道路モード燃費:19.7km/L
車両価格:366万3000円