12ps+8Lタンク! “余裕ある実用派”として登場したヴェクスター125

SUZUKI ヴェクスター125|1994年発売
1994年(平成6年)に登場したヴェクスター125は、新設計の124cc空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンを搭載。最高出力は12ps/7500rpm、最大トルクは1.2kgm/6500rpmを発揮し、低速から高速まで安定した力強さと高い経済性を両立させていた。
ポイントは、速さだけに振っていないこと。燃料タンクは8Lと大きく、車体も全長1910mm、全幅685mmと125ccらしい余裕のあるサイズ。大型シートを備え、街中だけでなく少し距離を走る使い方にも応えていた。
さらに収納は、フロントとシート下の2カ所に収納スペースを用意。給油口もシートを開けずにアクセスできる構造を採用するなど、毎日使う乗り物として実直に作り込まれている。
そして同年10月には149ccのヴェクスター150も追加。125ccモデルは原付二種として気軽に使え、150ccなら高速道路も走れる。使い方に合わせて排気量を選べるラインアップへ発展していった。
【SPECIFICATIONS|ヴェクスター125】
総排気量:124cc
エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
最高出力:12ps/7500rpm
最大トルク:1.2kgm/6500rpm
全長×全幅×全高:1910×685×1095mm
重量:99kg(乾)
タイヤ:3.50-10・3.50-10
発売当時価格:29万8000円
水冷から空冷へ! スペイシー125は“毎日使える125cc”をさらに磨いた

HONDA スペイシー125|1995年発売
いっぽうホンダは1995年(平成7年)、スペイシー125をフルモデルチェンジ。1987年型まで採用していた水冷4ストロークエンジンから、新設計の空冷4ストローク水平単気筒へ切り替えた。最高出力は11ps/7500rpm、最大トルクは1.1kgm/6500rpm。ワイドレシオのVマチックと組み合わせ、低・中速域での粘り強さや静粛性、耐久性を重視した設定。車重も115kg→111kgと4kg軽くなっている。
このモデルで大きく進化したのが収納性。シート下には先代モデルにはなかった20Lのメットイントランクを新設して、フルフェイスヘルメットと小物を収納可能にした。さらに新設計フレームによってシート高745mmを実現し、フロア幅も絞り込むことで足着き性を高めている。

足周りも実用派らしく抜かりなし。フロントにはアンチノーズダイブ機構付きボトムリンク式サスペンション、φ190mm油圧式ディスクブレーキを採用。前後には新たにアルミホイールとチューブレスタイヤが組み合わされた。

当時のホンダには、89cc・2ストロークエンジンの「リード90」も存在していた。こちらは8.4psの軽快な走りに加え、28Lの大容量センタートランクと7.2L燃料タンクを備えた実用派。対するスペイシー125は、4ストロークらしい扱いやすさや経済性、ゆったりした車格を重視していた。2ストの90と4ストの125を並べて選べたあたりにも、当時のスクーター市場の厚みが感じられる。
【SPECIFICATIONS|スペイシー125】
総排気量:124cc
エンジン:空冷4ストロークOHC単気筒
最高出力:11ps/7500rpm
最大トルク:1.1kgm/6500rpm
全長×全幅×全高:1790×685×1095mm
重量:111kg
タイヤ:90/100-10・90/100-10
発売当時価格:32万3420円(税込)
125ccは“日常の余裕”を磨いていた
ヴェクスター125は12psと8Lタンク、スペイシー125は20L収納と扱いやすい空冷4スト。方向性は少し違うけれど、どちらも狙っていたのは「50ccより余裕があって、もっと実用性の高いスクーター」だった。
二人乗りもできて、速度にも余裕がある。しかも荷物も積める。125ccスクーターが“実用車”として存在感を増していったのは、こうした地道な進化があったからこそだろう。
派手なスペック競争とは少し離れたところで、毎日乗る人に必要なものを着実に詰め込んでいく。ヴェクスター125とスペイシー125は、そんな1990年代半ばの125ccスクーターらしさをよく表した2台だ。
※この記事は月刊モトチャンプ2025年12月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】