中古車平均338万円超! 新車価格を約16%上回る異例の相場
2025年4月の発売直後から注文が殺到したスズキ・ジムニーノマド。一時は400万円を超える中古車も話題となったが、発売から約1年半が経過した現在も、その人気を背景に中古車市場では高値が続いている。

ところが、中古車の販売価格と売却時の相場を比較すると、意外な実態が浮かび上がる。新車価格を大幅に上回る中古車が流通する一方、売却予想額は新車価格を下回る水準にあるのだ。
ジムニーノマドは、2025年4月に発売されたジムニーシリーズ初の5ドアモデルだ。
従来の3ドアモデルが持つ本格的な悪路走破性能を継承しながら、ホイールベースの延長によって後席の居住性や乗降性を改善。アウトドア用途だけでなく、日常的な使い勝手を重視するユーザーからも注目を集めた。

発売直後には注文が殺到し、短期間で受注を停止。その後、日本向けの生産体制が強化され、2026年には注文受付が再開された。
しかし、供給体制の改善が進むなかでも、中古車市場のプレミアム価格は解消されていない。
2026年10月20日時点のcarview中古車情報によると、ジムニーノマドの平均車両本体価格は338万9000円だった。
一方、2026年7月発売の一部改良モデルの新車価格は292万6000円。中古車の平均価格が新車を46万3000円、率にして約15.8%上回っている計算だ。
さらに、同年6月時点の中古車平均価格は334万2000円だったため、約4カ月で4万7000円上昇したことになる。
もっとも、中古車の平均価格は掲載車両の年式や走行距離、グレード、装備、車両状態などによって変動する。したがって、この数字だけで個々の車両価格が上昇したと判断することはできない。
それでも、新車価格を上回る水準が続いていることは、ジムニーノマドの中古車市場における特徴といえるだろう。
売却予想額は265万円台! 9月中旬から約10万円下落
一方、売却側のデータを見ると、異なる動きが確認できる。
IDOMのリセールバリュー総合研究所が2026年10月20日に公表したデータによると、ジムニーノマドの平均売却予想額は、9月13〜19日の約276万4000円から、10月4〜10日には約264万9000円へと低下した。
その後、10月11〜17日には約265万9000円となり、直近ではほぼ横ばいで推移している。それでも9月中旬と比較すれば、約10万5000円低い水準だ。
年式別では、2026年式の平均売却予想額が約270万6000円、2025年式が約262万7000円となっている。
ここで注意したいのが、「売却予想額」という数字の意味だ。
今回のデータは、査定車両がオートオークションなどで売却される際の予測金額を示したものであり、一般ユーザーが買取店に売却した際に受け取る金額とは異なる。
また、発売当初の新車価格は5MTが265万1000円、4ATが275万円だった。
売却予想額と新車価格を比較する際には、年式やトランスミッション、車両状態などの違いも考慮する必要がある。したがって、現在の売却予想額が新車価格を下回っているからといって、すべての所有者が購入時より安く手放すことになるとは限らない。
なぜ中古車は高いのに、売却側の相場は下がるのか?
中古車販売価格と売却予想額に差が生じる背景には、新車の供給状況と中古車流通の仕組みがある。
まず、中古車価格を支える大きな要因が、新車の納車待ちだ。ジムニーノマドは、ラダーフレーム構造やパートタイム4WDを採用する本格的なクロスカントリー車である。従来の3ドアモデルでは後席へのアクセスや居住性が購入の障壁となっていたユーザーにとって、5ドア化は大きな魅力となった。
こうした需要の広がりに対し、発売当初の供給が追いつかなかったことが、中古車価格の高騰につながったと考えられる。
新車の納車まで長期間待つ必要がある場合、すぐに乗り始められる中古車には一定の価格上乗せが生じやすい。
一方、スズキは2025年7月から日本向け生産台数を月間約3300台へ増やすなど、供給体制の強化を進めてきた。
今後、新車の供給が安定し、納車待ちの期間が短縮されれば、中古車が持つ「即納」という優位性は徐々に薄れる可能性がある。
その場合、中古車販売価格にも下押し圧力がかかることが予想される。ただし、供給増加が必ずしも中古車価格の急落につながるわけではない。
新車需要が引き続き旺盛であれば、一定のプレミアム価格が維持される可能性もある。
また、中古車の平均販売価格338万9000円と平均売却予想額265万9000円の差は73万円に達するが、これをそのまま中古車販売店の利益とみなすこともできない。
そもそも両者は同一車両の仕入れ価格と販売価格を比較したものではなく、算出対象や条件が異なる。
さらに、中古車販売には車両の整備、商品化、在庫管理、販売経費などのコストも発生するためだ。
プレミアム価格はいつまで続く? 購入・売却で異なる判断
今回のデータから見えてくるのは、ジムニーノマドの中古車市場において、販売価格の高止まりと売却側の相場変動が同時に起きているという実態だ。
2026年10月時点では、中古車の平均販売価格が新車価格を約46万円上回る一方、平均売却予想額は9月中旬から約10万円低下している。
中古車の購入を検討する場合は、車両本体価格だけでなく、諸費用を含む支払総額と新車の納期を比較することが重要となる。
一方、売却を考えているオーナーは、中古車サイトに掲載された販売価格をそのまま自分のクルマの価値と考えるべきではない。
実際の買取査定では、年式や走行距離、修復歴、装備、車両状態などによって金額が大きく変わるためだ。
ジムニーノマドのプレミアム相場は、今後の生産・供給状況によって転換点を迎える可能性がある。新車より高い中古車が並ぶ状況が続いていても、それが所有者の売却益を保証するわけではない。
購入する側と売却する側では、同じジムニーノマドでも見えてくる相場の姿が異なるのである。




