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ビークルファン・REVERSE TRIKER(リバーストライカー)3.0……55万円(10%消費税込)
大手家電量販店のヨドバシカメラで発売中の電動三輪車「EV-TUKTUK(トゥクトゥク)」。ヨドバシカメラのECサイト「ヨドバシ・ドット・コム」でも注文・購入できる話題の車両は、様々なEVモデルを展開する「ビークルファン(本社:東京都江戸川区)」が販売元となっている。。
写真はビークルファンが発売する、ヨドバシカメラでも発売中の電動スポーツ三輪車「REVERSE TRIKER(リバーストライカー)3.0」。こちらもヨドバシカメラのECサイト「ヨドバシ・ドット・コム」で注文・購入できる。
リアホイールに大容量で超パワフルな3000Wのハブモーター(ホイールに直接モーターを設置したタイプ)を組み込み、アクティブでスポーティな走りを実現した、フロント2輪・リア1輪の電動三輪車。個性的な外観は、一見レジャー志向が強いイメージ。しかしその走りは、大容量ハブモーター採用モデルならではの非常に過激で攻撃的なもの。
前後ホイールは小回りの効く小径の12インチを採用。フロントサスペンションはスポーツカーにも繁用されるダブルウッシュボーンタイプとし、前後に制動性の高いディスクブレーキを組み合わせ。超パワフルなモーターに対応すべく、贅沢かつハイポテンシャルな足周りを与えている。
フロント2輪バイク 「ヤマハ トリシティ」とは免許が違う
コンパクトサイズのフロント2輪・リア1輪といえば、ヤマハ トリシティ125が人気。トリシティ125のホイール径は、フロント14インチ・リア13インチを採用。両者とも運転席をバンクさせて(傾けて)コーナーを曲がる、いわゆる2輪スタイルを導入している。
トリシティ125(トリシティシリーズすべて)は、左右のサスペンションが独立して機能するLMW機構を採用。一般的なバイクと同じように車体をバンクさせて曲がる等の理由から、バイク免許が必要(トリシティ125の場合、普通自動二輪・小型AT限定以上)で、ヘルメットの着用義務もあり。※トリシティの前左右輪のトレッド幅は390mm
一方のリバーストライカー3.0も、バイクのようにバンクする構造ではあるが、前輪のトレッド幅(右ホイールと左ホイールの中心部の距離)が、トリシティよりも幅広な610mmに設定。トレッド幅が460mm以上の車両は側車付軽二輪となるため、普通自動車免許で運転可能となる。ヘルメットの着用義務もない(ただし安全確保のために被ることが推奨される)。
リバーストライカー3.0の最高速度は80km/hに設定され、高速道路の走行も可能。乗車定員は2名で、タンデム走行もできる。充電は家庭用100Vコンセントで行う。フル充電の時間は6~8時間で、航続距離は70km(使用状況により異なる)。ビークルファン代表の松原達郎氏は、「今後はバッテリーの容量を増やすなど、航続距離を増やしたい」と話す。
リバーストライカー3.0は251cc以上のバイクに必要な車検が不要。重量税は4900円で、自賠責保険は3年間で1万1960円と維持費も非常にリーズナブルだ。
高速道路も走行可能な、超パワフルな300Wインホイールモーターを採用
電動バイクには、リバーストライカー3.0のようなインホイールモーター式のほか、モーターの動力を、ドライブチェーンやVベルトなどを介してリアホイールに伝える伝達式がある。伝達式の特徴は、
・インホイールモーター式よりもバネ下重量(ホイール周り等の重量)を減らすことで、コーナリング特性が向上
・インホイールモーター式に比べ、一般的に小型の高回転型のモーターを使用。このタイプのモーターの価格はインホイールモーターよりも安価なため(一般的に~1/10程度)、コスト安となる
一方、リバーストライカー3.0に採用のインホイールモーター式の特徴は、
・ホイールとモーターが直結しているため、伝達式よりもダイレクト感が高く、スロットルレスポンスが良好
・ドライブチェーンやVベルトが不要なため、動力の伝達力が高い(伝達力は100%)。そのため、消費電力を低減でき、航続距離が伸びやすい
・一般的にインホイール式のモーターは、タイヤの回転数しか回らない低回転型のモーターを使用。最高回転数は、800~1000rpmくらい。
リバーストライカー3.0に採用のインホイールモーター式は、市街地走行に向いた俊敏性に利のあるシステムだといえよう。
車体を任意の角度で固定できる「パーキングロック」も装備
身長173cmの筆者がまたがってみると、適度なハンドルとシートの高さにより、ポジションは長距離走行も苦にならない、極めてナチュラルなもの。停車時は2輪と同じく、片足を地面に着くことになるが、足着き性は申し分はない。車体がコンパクトかつ軽量(車重97.5kg/バッテリー含む)なこと。また前後に小径の12インチホイールを採用しているため、取り回し性もGOOD。
パーキングロック(車体の左右の傾きを固定する機構)は、キーシリンダー部&パーキングロックノブにて操作するシステムを採用し(メインキーを左にひねりながら、パーキングロックノブを解除するしくみ)。操作もスムーズで、直立はもちろん、ホンダ ジャイロ系と同様(ジャイロ系はパーキングロックレバー式を採用)、任意の角度にて傾けた状態で固定することができる。
ヤマハ トリシティ125に比べ、前輪のトレッド幅(右ホイールと左ホイールの中心部の距離)が広いせいか、リバーストライカー3.0のほうが、停止時&走行時とも直立感が高いイメージ。トリシティ125の方がフロントサスペンションのストローク量がたっぷりでギャップを踏んだ時もしっかりと吸収し、“バイクに乗っている感覚”が極めて高かった。一方のリバーストライカー3.0はギャップをガタッ、ガタッと音を立てて踏み越えるような印象だった。
走行モードはR→後退(バック走行)、L→ロースピード、H→ハイスピード、そして怒涛の加速を発揮するSモード
走行モードはハンドル右側ホルダーのスイッチで切り替えOK。走行モードは「バッテリー」と「スロットル」を“コントローラー(コンピュータ)”によって集約し、電動モーターへ指定の動力を伝えるシステム。
モードはR→後退(バック走行)、L→ロースピード、H→ハイスピードの3つ。リバーストライカー3.0の車体重量は100kg以下と軽量で、しかも小径の12インチホイールを採用しているため、取り回しも非常にラクだが、スイッチ&スロットルでバック走行が可能なRモードは、とっても嬉しいシステム。
まずはLモード(ロースピード)で走ってみると……。ビギナーにも乗りやすい、万人向けの乗り味。スロットルレスポンスも大人しく、年齢性別を問わず、安全に取り扱える乗り味にセッティングで、一般公道でも扱いやすい。
Hモード(ハイスピード)に切り替えてみると、走りは一変! Lモードとは2ランク上の走りを発揮する。スタート時、スロットルをLモード時の間隔で捻ると、一気に背中を押される(大排気量のエンジン車のように)……というよりも、スルスルと前からグイグイと引っ張られるような、電気モーターならではのスムーズな感覚。トルクの谷などとは一切無縁で、一直線にグングンと加速。あっという間に最高速度の80km/hに達するという、極めて鋭い加速を発揮する。スロットルレスポンスも鋭く、スポーティそのものだ。
ボタン1つで怒涛の加速を発揮する、Sモード(スクランブルモード)もなかなか頼もしい存在だ。Sモードとは、ここ一番の加速が欲しい時に10秒間だけ大電流を流せるブースト機能。追い越し時など、急激に加速を獲得したい時に本領を発揮する、スポーツEVならではのシステムだ。
例えばシグナルGP(信号停止時からのスタート)でHモードとSモードを組み合わせた場合、バイクならスポーツタイプのリッターモデルでなければ、ついてこれないのでは? と思ってしまうほどの爽快感を覚えた。
コーナリングは変なクセもなく、非常に素直。リバーストライカー3.0が持つ安定感の高さゆえ、2輪ライター歴は長いもののライディング技術はそれほどの筆者としては、トリシティ125よりもリバーストライカー3.0のほうが、馴染みやすいのではないかと感じた。スポーツバイクのような「スピーディにバンクさせて楽しむ」というよりも、「一定のスピードでバンクさせても安定する」というニュアンスの、実用性と遊戯性の強いイメージ。
とはいえ、前輪が2輪による十分な接地感と、ダブルウッシュボーンタイプのスイング機構による路面追従性は、安心感が高い。また、前後輪ともにディスクブレーキを採用しているため、タンデム走行時でも高い制動動力を発揮してくれたことも好印象。停止時からのUターンなど、小回りの効きも抜群。高いスポーツ性能を保持しながらも、街乗りのしやすさなど、極めて実用性の高いモデルであると感じた。
ディテール解説
ビークルファン REVERSE TRIKER(リバーストライカー)3.0 主要諸元
全長×全幅×全高:1800mm×800mm×1185mm ホイール:前2輪、後1輪 前輪輪距:610mm 定格電力:1kw 最高出力:3kw バッテリー:72V40Ahリチウムイオンバッテリー 車体重量:97.5kg ブレーキ:前後ディスクブレーキ タイヤサイズ:フロント100/80-12/リア125/80-12 最高速度:85km/h 航続距離:70km 定員:2名 ※安全のため公道でのヘルメット着用を推奨 ※仕様は予告なく変更する場合あり