KTMエンデューロマシン、「KTM 150 EXC TPI」は最小排気量ながらハイパフォーマンス!

KTM 150 EXC TPI
ハスクバーナのTE150iと同エンジンだが、サスペンションの形式が違うKTMの150EXC TPI。その違いを探るべく試乗した。オフロードマシンへの考え方が違う両メーカーの性能は如何に。

REPORT●村岡力
PHOTO●山田俊輔

KTM 150 EXC TPI……1,130,000円

KTM 150 EXC TPI
走りは文句無しに楽しめる。
KTM 150 EXC TPI
独特なパターンのMAXXISのエンデューロタイヤを履く。ブロックはかなり柔らかいコンパウンドを採用している。様々な路面でのグリップを優先しているのだ。
KTM 150 EXC TPI
KTM 150 EXC TPI
KTM 150 EXC TPI
ポジションは至極自然なオフロードマシンのもの。これが扱いやすさに繋がり、車体はスリムなのでシート高が高くでも不安は少ない。
KTM 150 EXC TPI
片足ステップでも、尻をずらさないと足べったりとはならない。最もシッティングでもスタンディングでもポジションは自然なものだし、走っている限りは何も問題無し。
KTM 150 EXC TPI
足着きなこんな感じ。ちなみにライダーは172cm85kgの重量級です。可能ならシート高の低いバージョンがあると嬉しいと思う。

 KTM2022年モデルのエンデューロマシンは、WP製サスペンションの設定を変更して安定性と応答性を向上。サスペンション内部のオイル循環を向上させ、より一貫したフィードバックを提供。様々な地形で卓越したグリップを発揮する新しいMAXXIS MaxxEnduroタイヤの採用。ファクトリーマシンにインスパイヤされた新しいグラフィック。となっている。

エンジンは2サイクル水冷単気筒、クランクケースリードバルブの150ccで6速ミッションの分離給油。セル&キックスタート。燃料噴射システムはデロルト製のスロットルボデイにコンチネンタル製のTPIとなっている。
 クラッチカバーのデザインは違うものの、内容はハスクバーナのTE150iと全く同じだ。
 フロントサスペンションはWP製倒立フォーク、リヤもWP製だがリンクレスとなっているのがハスクバーナとの大きな違い。なのでフレームやスイングアームも少々違う物となるが、キャスター角やトレール量が同じなのか違うのかは不明。
 車重は半乾燥で96.8kgとハスクバーナよりも2.8kgも軽量。つまりリンクレスのリヤサスペンションと車重の軽さが、同じ構成のハスクバーナTE150iとの差となっている。
 KTMのマシンは昔から軽量な物が多くなっているのは、メーカーとしてのオフロードマシンへの考え方の違いかもしれない。
 グラフィックが変わったといっても、オレンジがベースなのでひと目でKTMと分かる。オフロードマシンのデザインって大きくは変わらないけども、タンクカバーやフェンダーのデザインやグラフィックで、毎年ちゃんとカッコよくなっている。

 さて跨ってみると、やはりシート高は高い。今回試乗したエンデューロマシンは3車とも同じくらいのシート高。私が乗っても両足の半分は浮いてしまう。コースをハイスピードで走る場面も多いので、サスペンションストロークはモトクロッサーと変わらないので仕方ないことかも。平均的な日本人ライダーにはちょっと高過ぎかもしれないけど。

KTM 150 EXC TPI
とにかくアクセルを開けるのが気持ち良い。 

 セル一発で始動しスタートする。このエンジン、TE150iでも書いたけども本当に気持ち良い吹け上がり。パワフルでありながら低回転でのトルクも十分出ていて、クラッチ操作に気を使わないでもガンガン走れる。とにかく伸びが素晴らしくアクセル全開時間を長く取れるので楽しくてしょうがない。
 さてリンクレスのリヤサスペンションが特徴のKTMだが、普通に走っている分には過不足は何も無い。しっかり踏ん張るし衝撃もスムーズに吸収している。
 ただしジャンプの着地をミスった時は、私が重いのもあるかもしれないけど突き上げ感はあった。グッと踏ん張るというよりグシャっとショックがある感じ。でもそれで跳ね上げられるとか進路が乱れるような事は無かった。リンクレスでもしっかりグリップしているし、振られる事も無いしで極限な場面は経験していないが、リンクがあるとか無いとか何も意識せずに走れる。
 アクセル開ければ開けただけ前に進むグリップはしている。これがタイヤがMAXXISを履いているからなのかまでは分からなかった。またリンクレスはグリップの仕方が違うとか、リンクレスに合ったグリップをさせると、実はリンクありより速いなんて話も聞いたが、私はそこまでは試せなかったし正直良く分からない。
 とにかく普通に走れるし速いし、リンクが無い分メンテは楽だし、車重は軽いので何かの時は体力使わないで済むし、大多数のライダーには大きなメリットだと思う。

 いいじゃないこれ!エンジンのフィーリングは最高だし、35馬力以上は出てるとのことで速さも十分だし、シート高は高いけど軽くて扱いは楽だし、レースに出ないまでも遊びで乗るには最高のマシン。
 極限を突き詰めるレースライダーでは違う意見かもしれないが、ほとんとのライダーにはお薦め!
 提案ですけど、これもシート高をグッと下げたバージョンがあると、ファンライドマシンとして売れるんじゃないかと思う。
 今回2サイクル150cc 2台、4サイクル250cc 1台のエンデューロマシンに試乗したが、他のマシンもきっと最高に楽しいと思われる。全体的に扱いやすい特性なので怖さが無く、乗る事に集中出来るから。
 そして国産車では無くなってしまった2サイクルに乗れるのも最高じゃないか。2サイクルの気持ちよさを経験したことが無いライダーも多いだろう。是非一度この150に乗ってみることをお薦めする。

ディテール解説

KTM 150 EXC TPI
コンパクトにまとめられたエンジン。油圧クラッチやセル、分離給油と有難い装備満載だ。
KTM 150 EXC TPI
2サイクルエンジンなのでチャンバーは当然ある。エンデューロマシンなので、障害物を超えたり岩場だったりも走るだろう。このチャンバーだけはぶつけて潰さないように気を付ける必要がある。
KTM 150 EXC TPI
リヤショックユニットはWP製。かなりレイダウンされているのが分かる。
KTM 150 EXC TPI
KTMのリヤサスペンションは見ての通りリンクレスで、スイングアームへ直結となっている。よってハスクバーナのTE150iとはフレームもスイングアームも別物で、KTMだけの特徴だ。
KTM 150 EXC TPI
フロントフォークもWP製のφ39の倒立フォーク。ストロークの数値は不明ながら300mmはありそうだ。
KTM 150 EXC TPI
フォークは勿論アジャスタブル。今回の試乗では試せていないものの、その調整範囲は大きいようだ。
KTM 150 EXC TPI
標準のセッティングでも十分な性能を発揮。サスペンション内のオイル循環が向上している。
KTM 150 EXC TPI
油圧クラッチのマスターシリンダー。ブレーキテック製となる。そして保安部品のスイッチは標準装備。ただしウインカーは無いので後付けの必要がある。
KTM 150 EXC TPI
KTMもハスクバーナもガスガスもエンデューロマシンには同じメーターが装備されている。必要最低限の表示だが、非常に軽量な液晶の物。

主要諸元

トランスミッション:6速
スターター:キックおよびセルスターター
ストローク:54.5mm
ボア:58mm
クラッチ:Wet multi-disc DS clutch, Brembo hydraulics
排気量:143.99cm³
EMS:Continental EMS
デザイン:単気筒、2ストロークエンジン
重量 (燃料なし):96.8 kg
燃料タンク容量 (約)9L
フロントブレーキディスク径:260mm
リアブレーキディスク径:220mm
フロントブレーキ ディスクブレーキ
リアブレーキ:ディスクブレーキ
チェーン :X-Ring 5/8 x 1/4"
フレームデザイン:セントラルダブルクレードルタイプ 25CrMo4 スチール
フロントサスペンション:WP XPLOR-USD, Ø 48 mm
最低地上高:370mm
リアサスペンション:WP Xplor PDS ショックアブソーバー
シート高:960mm
キャスター角:63.5°
サスペンションストローク(フロント):300mm
サスペンションストローク(リア):310mm

ライダー紹介

村岡 力

1956年生。

 70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪メインですが4輪もし時々航空関係も。モータースポーツは長年トライアル1本で元国際B級。現在は172cm85kgの重量級。業界ではジッタのアダ名で通ってます。

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著者プロフィール

村岡 力 近影

村岡 力

1956年生。

70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪…