モンキー史上初の5速ミッション採用! これで遊びの幅はさらに広がります。

実はツアラーなモンキー125。エンジン一新でストレスなしの走りに進化!

2018年4月に登場したモンキー125を目の当たりにして、「これがモンキー?」と猜疑心に満ちた反応を示す人は多かったと思います。公道走行できる世界最小のバイクで、ハンドルを折り畳めば車に積載することもできる。小さなボディであることがモンキー最大の特徴である魅力だったからです。しかし徐々にではありますけどモンキー125の存在も浸透し始めてきました。新たなレジャーバイクとしての良さが理解されてきたのです。そして3年目の今年、モンキー125は初のモデルチェンジを受けました。エンジンがロングストルーク化されて出力特性を変更すると同時に、マニュアル5速ミッションを採用したのです。モンキー史上初の5速ミッションは走りをどのように変えたのでしょうか?
REPORT●栗栖国安(KURISU Kuniyasu)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ・モンキー125……440,000円

5速化したニューエンジンが走りの楽しさを高めて、レジャーバイクとして行動範囲をさらに広げた

 かつての50㏄モンキーはとにかく愛らしくていまもなお不動の人気車です。一方125は排気量に見合った大柄なボディが与えられたこともあって、デザインはモンキーでも愛らしさは希薄になってしまいました。でも走るという観点で見てみると、50㏄モンキーの場合は、車に積んでいって目的地付近の限られた範囲を行動するのに高い機動性を発揮するのが特徴でした。125はというと、自宅から自走でツーリングしたりキャンプや釣りなどのレジャーを楽しめる要素が強くなったのが特徴です。同じモンキーの名前でも用途は異なったものになったわけです。
 ボクも何度となくモンキー125でツーリングしてきましたけれど、片道200㎞なんていう長距離移動もラクラクできてしまいました。峠道だって予想外に元気でスポーティに走れてしまい、若さを取り戻したような気になったものです。しかも60㎞/L以上の低燃費を実現してくれたので、ガソリン残量を気にせず走れたのもありがたかったです。以前、群馬の最奥部へツーリングしたときにはなんと70㎞/Lも走ってくれました。荷物の積載性に不満はあるものの、ツーリングバイクとしての適性が高いことは実感しています。
 前置きが長くなってしまいましたが、そのモンキー125が発売から3年を経てモデルチェンジされました。同型のエンジンを積むグロム、スーパーカブC125も同様にモデルチェンジされたのですが、もっとも大きな変更は、そのエンジンが新しくなったことです。

 新型エンジンはPGM-FIの空冷SOHC2バルブ単気筒で、ボア×ストロークが50.0×63.1㎜、圧縮比は10.0となっています。従来型ではそれぞれ52.4×57.9㎜、9.3でしたから、ロングストロークの高圧縮エンジンになったということになります。排気量は124㏄から123㏄へと少なくなりましたが、最高出力、最大トルクともに変化はありません。ただし最高出力は250rpm低い6750rpmで発生し、最大トルクは逆に250rpm高い5500rpmで発生する特性になっています。いずれにしても低中速型であることに変わりはありません。そしてもうひとつ大きな変化があります。それはマニュアル5速ミッションを採用したことです。50㏄時代を含めて5速ミッションとなったのは初です。さらにフロントブレーキのABSは標準装備となりました。
ポジションにゆとりがありシートの座り心地も快適なので、足を延ばしたツーリングにも積極的に使いたくなる
 モンキーらしさをボディデザインに具現化した車体は、ずんぐりとしていてこれはこれで愛らしいとボクは思います。ひと回り大柄になったことで決して足つきが良いとはいえなくなってしまったけれど、ポジションにはゆとりが生まれ、「ちょっと遠出してみようかな」という気にさせてくれるのも好印象です。50㏄モンキーでは遠出しようとは思わなかったですから。

 肉厚で大きなシートは座り心地が良くてとにかく快適。ソフトな作動性を見せる前後サスペンションと合わせて、実に乗り心地がいいのです。しかもただフワフワしてるのではなく、たとえば峠道をちょっとばかり攻めてみると、しっかりとダンパーが効いてタイヤを路面に押し付けてくれます。12インチと小径ながら極太タイヤのグリップ性はけっこう高いと感じました。またこのタイヤはブロックパターンなので、ダート道での走破性もまずまずです。ツーリングではよく道路工事などで未舗装となっている箇所を走らなくちゃいけない場面に遭遇しますが、そんな場面でも不安を抱くことなく涼しい顔で走り抜けることができます。
12インチの小径タイヤながら、ブロックパターンタイヤのおかげでちょっとしたダートへも躊躇なく進入できる
 小径タイヤにショートホイールベースの組み合わせはとにかく小回りが利きます。多くのライダーが苦手なUターンもラクラクできてしまいますし、狭いスペースでの向き変えも楽勝です。車重も104㎏なので取り回し性は抜群です。反面、直進安定性はどうなんだろう?という懸念もあります。しかし、重量車のような直進性はさすがに持ち合わせていませんけど、変にフラついたりするなんていうことはありません。おそらく低重心も利いているのだと思います。
 さて注目のエンジンですが、極低速から不足のないトルクを発生して確実に加速していくエンジン特性を受け継いでいます。従来型と並べて競争してみないと正確なことはいえませんが、5速ミッションの採用もあってよりスピーディな加速ができるんじゃないかなと感じました。ツーリング派のボクは4速のままのほうがイージーに走れて好きなのですが、今回、市街地から一般道、ワインディングと走ってみて、5速でも操作の煩わしさは感じませんでした。むしろワインディングではより適切なギヤが選択できてストレスのない走りができました。トータルで考えると、いい方向に進化していると思いました。
 個性派のレジャーバイクであるモンキー125は、スポーツライクな走りも楽しめてさらに、快適なツーリングもできるコンパクトバイクとしてもっと注目されていいと感じました。カスタムパーツも豊富にありますから、自分のスタイルに合ったモンキー125に仕上げていくのも楽しいですね。
新たに5速ミッションが採用されたことで、より適切なギヤ選択ができるようになった。ワインディングでの走りも一段とスポーティになり楽しさを広げた
大柄になったボディはゆとりあるポジションをもたらしてくれ、街乗りはもちろん、ロングツーリングさえも楽しむことができる
シート高は776㎜とコンパクトボディの割に高めの設定。そのため足つき性は取り立てて良いわけじゃないが、現実的に不安を感じることはない
グロム、スーパーカブC125と共通の124㏄空冷OHC2バルブ単気筒エンジンは、5250rpmで最大トルクを発生する低中速重視型へと独自の特性へ変更グロム、スーパーカブC125とともに新型となった123㏄空冷SOHC2バルブ単気筒エンジン。ミッションは従来の4速から5速へと変更された。しかも70㎞/Lという低燃費も達成している
12インチアルミキャストホイールにブロックパターンタイヤを装着。2ポットキャリパーを持つフロントディスクブレーキにはABSを標準装備
倒立フロントフォークの採用でバネ下重量を軽減
50ccモンキーとは異なり、ハンドルは折り畳み式ではなくアップタイプのパイプハンドルが装備。快適なポジションをもたらしてくれる
外周にポジションランプを配した丸型ヘッドライトは明るく夜間走行にも安心
120/80-12サイズのフロントに対してリアタイヤはワンサイズ太い130/80-12を装着する。リアディスクブレーキにはABSは装備していない
ボディカラーと同色のスプリングを装備したツインショック式リアサス
丸型のデジタル単眼メーターは視認性良好で、イグニションON時にはウインクで迎えるアニメーション演出がされている
スタイリングイメージに合わせて灯火類はすべて丸型で統一。テールランプにもLEDが採用
タックロールデザインを採用したワイドなソロシートは良好なクッション性を実現していて、長時間走行にもお尻の痛みは少ない。アップライトなポジションともども、高いツーリング性を発揮してくれる

主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BJ-JB03
全長(mm) 1,710
全幅(mm) 755
全高(mm) 1,030
軸距(mm) 1,145
最低地上高(mm) 175
シート高(mm) 776
車両重量(kg) 104
乗車定員(人) 1
燃料消費率*1(km/L)
国土交通省届出値:
定地燃費値*2(km/h) 70.5(60)〈1名乗車時〉
WMTCモード値(クラス)*3 70.0(クラス 1)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 1.9
エンジン型式 JB03E
エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm³) 123
内径×行程(mm) 50.0 × 63.1
圧縮比 10.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 6.9[9.4]/6,750
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 11[1.1]/5,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 5.6
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式5段リターン
変速比
 1速2.846
 2速1.777
 3速1.315
 4速1.034
 5速0.843
減速比(1次/2次) 3.040/2.642
キャスター角(度) 25° 00′
トレール量(mm) 82
タイヤ
 前:120/80-12 65J
 後:130/80-12 69J
ブレーキ形式
 前:油圧式ディスク(ABS)
 後:油圧式ディスク
懸架方式
 前:テレスコピック式
 後:スイングアーム式
フレーム形式 バックボーン

著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…