これほどの性能、どこへ出かけようかと悩んでしまう。|KTM1290 SUPER ADVENTURE S試乗レポート

“READY TO RACE”のフレーズで良く知られているKTM。今でこそネイキッドスポーツやスーパースポーツモデル等も多くラインナップされているが、元々同ブランドを象徴していたフラッグシップモデルはアドベンチャーモデルに他ならない。その頂点に君臨する最新鋭の最高峰モデルが今回の1290 SUPER ADVENTURE Sである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●KTM Japan 株式会社●

ディテール解説

前方の状況に睨みを効かすレーダーユニットがフロントマスクの中央にセットされている。

WP製セミアクティブテクノロジー採用のフロントフォークはφ48mmの倒立式。ボトムにラジアルマウントされた油圧キャリパーはブレンボ製の対向4ピストン。フローティングマウントされたダブルディスクローターのサイズはφ320mm。

160hpの最高出力を発揮。ツインプラグ点火方式が採用された水冷VツインのLC8エンジンはフレームにリジッドマウントされている。

新設計の右アップマフラーはステンレス鋼製。三つのO2センサーと二つの触媒コンバーターが組み合わされ、緻密な空燃比制御と排出ガスの浄化が成されている。

ホワイトのコイルスプリングが印象的なモノショックは、WP製の新世代SAT(セミ・アクティブリアショック・テクノロジー)を搭載。可変式の減衰機構を持ち電子制御される。

装着タイヤはチェコのagridirect製MitasのTERRA FORCE-R。ブレーキはフローティングマウントされたφ267mmのディスクにブレンボ製2ピストン油圧キャリパーが採用されている。

ブラックアウトされたハンドルバーは、高強度アルミ製テーパードタイプ。空力特性が追求されたヘビーデューティなハンドガードが標準装備されている。クリアのウインドシールドは簡単な手動(ダイヤル)操作で高低差55mm(9段階)の高さ調節ができる。給油口の前方に防雨構造のスマホ収納ポケットが装備されている。

それぞれ適度な大きさのスイッチが並ぶ。透過光式照明付きなので、夜間でも見やすい。下から順にクルーズコントロール用+RES(裏側に−SET)とホーン、その上がウインカー。十字キーと左上がメニューと戻しボタン。右上がアダプティブクルーズコントロール、向こう側に人差し指で扱うディマー&パッシングスイッチがある。
赤とグレーと白で色分けされたハンドル右側のコンビネーションスイッチ、上の赤がハザード、グレーがイグニッションスイッチ、KTMでは“レースオンキー”と呼ばれている。下の赤白がエンジンキルスイッチと始動雨用スターター。右上には人差し指で扱うカスタムスイッチがあり、好みで設定できる2種のメニューにクイックアクセスできる。

様々な多くの表示を担うフルカラーTFT液晶の7インチディスプレイを採用したコンビネーションインストルメント。ナイトモードでは暗転表示に自動切り替えされる。大きな警告灯デザイン(写真の黄色表示部分)が特徴的。

段付きシートは前後セパレートタイプ。前シートは、20mm差の高低2ポジションが選択可能。
スマートキーに対応し、左脇のボタンをワンプッシュするだけでシートロックが解錠される。

テールもウインカーもクリアレンズで仕上げられたリヤビュー。ストップランプも含めて光源はLED式である。

主要諸元

車名:KTM・1290 SUUPER ADVENTURE S
軸距(mm):1,557
最低地上高(mm):223
シート高(mm):849-869
車両重量(kg):227(半乾燥)
乾燥重量(kg):220
乗車定員(人):2
燃料消費率(L/100km):5.7(17.5km/L)

エンジン種類:水冷4ストローク75度V型2気筒
動弁形式:DOHC4バルブ、チェーン駆動
総排気量(㎤):1,301
内径×行程(mm):108×71
圧縮比:13.1:1
最高出力(kW[hp]/rpm):118[160]/9,000
最大トルク(N・m /rpm):138 /6,500
始動方式:セルフ式
バッテリー:YTZ14S (MF 12V 11.2Ah)
燃料供給装置形式:Keihin製電子制御燃料噴射式
点火装置形式:非接触制御電子式点火(ツインプラグ式)
燃料タンク容量(L):23.0(含む予備5L)
潤滑方式:ドライサンプ(3ポンプ式)
潤滑油量(L):3.6

クラッチ形式:湿式多板式(油圧操作式パワーアシストスリッパークラッチ)
変速機形式:常時噛合式6速
変速比:
 1速 : 2.917 (12:35)
 2速 : 2.133 (15:32)
 3速 : 1.667 (18:30)
 4速 : 1.350 (20:27)
 5速 : 1.125 (24:27)
 6速 : 0.914 (35:32)
1次減速比 : 1.900 (40:76)
2次減速比 : 2.471 (17:42)

キャスター角(度):24.7°
タイヤ(前/後):120/70ZR-19 M/C 60W TL/ 170/60ZR-17 MC 72W TL
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式 / スイングアーム式
サスペンションストローク(前/後mm):200/200
フレーム形式:クロムモリブデン鋼管製トレリスフレーム。パウダーコート塗装

試乗後の一言!

ダイナミックなポテンシャルを秘めて走る雄大な乗り味が快適。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…