最高級、最高峰。430万円超のBMW・M 1000 RRは、街でも峠でも持て余す実力者である。|306km/h・212馬力

BMWのフルラインナップ中、とびきり高価なモデルとして君臨する超プレミアムな1台がこれ。“Sport”カテゴリーに属しているのはボクサーエンジンを搭載する伝統的モデルのR 1250 RSと、スーパーバイクシーンに直結する高性能なS 1000 RRを含む全3タイプがリリースされている。その中でひときは目立つM 1000 RRの存在感は別格である。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ビー・エム・ダブリュー 株式会社

ディテール解説

カーボンフェンダー&Mウイングレットを装備。状況によっては16.3kgのダウンフォースを発生すると言う。精悍なフロントマスクからは、超高性能モデルを象徴する勇ましさが感じられる。

倒立式フロントフォークはφ45mmのマルゾッキ製。タイヤはミシュラン製POWER Cup。ブルーの対向4ピストンキャリパーは、世界スーパーバイク選手権マシンレベルのポテンシャルを誇るモノブロックの“Mブレーキシステム”を装備。ブレーキレバー及びマスターシリンダーはNISSIN製。

Shift Camテクノロジー(可変バルブリフト&タイミングコントロールシステム)を採用。212psを発揮するインライン4気筒エンジンは、最高15,100rpmを許容する。

アンダーチャンバー出口には排気バルブが採用されている。青いステップやブレーキペダルは、Mビレットパッケージオプションにある削り出しのMライダーフットレスト。
取り付け位置がアジャストできるMビレットパッケージオプションのフットレストを装着。シフトは踏み込み操作でシフトアップする逆パターン式も選べる。

フルチタニウム製、AKRAPOVICブランドの軽量マフラー。なんと3,657gもの軽量化に貢献している。

Mカーボンパッケージを装備。フェンダーやチェーンガード等、随所にドライカーボン製品が奢られている。

いかにも高剛性なトラス構造のアルマイト加工済みスイングアームを採用。カーボンホイールに装着のスリックライクなタイヤはミシュラン製POWER Cup。Mブレーキのディスクローターサイズはφ220mm。油圧キャリパーは対向2ピストン式。

ステアリングアッパーブラケットと一体構造を成すセパレートハンドルを装備。低く身構えるライディングポジションを構築している。

フロントフォークのトップエンドではコンプレッション側のダンピング調節ができる。10種ものコントロールスイッチが居並ぶハンドル左側。下の赤いホーンスイッチはベストポジションにあり扱いやすい。ウインカースイッチは長押しでパーキングライトスイッチにもなる。グリップ脇のマルチコントローラーも含めて、多彩な制御が可能。
スイッチは下から順にエンジンキルスイッチ兼用始動用スターター、走行モード切り替え、ハンドルグリップヒーター用。フロントフォークトップエンドではスプリングプリロードとリバンドのダンピング調節ができる。作業には専用の車載工具を使用する。

TFTカラーディスプレイが採用されたメーター。ハンドル左のマルチコントローラーやメニューボタンを使用して各種設定等、多彩なコントロールが可能。純正ヘッドセットを利用するとスマホとの連携機能も使える。

Mの刺繍が入れられている。シートクッションも上質な仕上がりを披露する段付きの前後セパレートシート。

後席クッション直前のキーロックを解錠するとリヤシートが脱着できる。ご覧の通り少しの収納スペースにはETC2.0機器を標準装着。M GPSラップトリガーインターフェースも装備されている。

シンプルなフィニッシュを見せるリヤエンドビュー。LED式のウインカーランプにテール&ストップランプも一体化デザインされている。

主要諸元

エンジン型式:油冷/水冷4ストローク並列4気筒
動弁型式:DOHC 1気筒あたり4バルブ(チタン製)可変カムシャフト
ボア×ストローク(mm):80×49.7
排気量(cc):999
最高出力(kW/rpm):156(212PS)/ 14,500
最大トルク(Nm/rpm):113 / 11,000
圧縮比:13.5 : 1
点火 / 噴射制御:電子制御インジェクション、可変インテークパイプ長

最高速度(km/h):306
燃料消費率(km/L)WMTCモード値:15.38(1名乗車時)

燃料タンク容量(L):16.5(リザーブ容量約4L)
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
エンジンオイル容量(L):約4.0
オルタネーター(W):450
M 軽量バッテリー:13.2V/5Ah、リチウムイオン、メンテナンスフリー

クラッチ:湿式多板(アンチホッピング)、自己倍力機能付き
ミッション:常時噛み合い式6速リターン
駆動方式:チェーン式
1次減速比 / 2次減速比:1.652(76/46)/ 2.706(17/46)
ギヤ比:
    1速:2.647(45/17)
    2速:2.091(46/22)
    3速:1.727(38/22)
    4速:1.500(33/22)
    5速:1.360(34/25)
    6速:1.261(29/23)

フレーム:アルミニウム製ブリッジタイプ
サスペンション(前/後):φ45mm倒立式テレスコピック / アルミニウム製ダブルスイングアーム
サスペンションストローク(前 / 後mm):120 / 117

全長(mm):2,075
全幅(mm):740(ミラーを除く)/795(レバーガード付き)
全高(mm):1,205(ミラーを除く)
軸距(mm):1,455
シート高(mm):832
乾燥重量(kg):170(Mコンペティションパッケージ:169.8)バッテリーを除く
車両重量(kg):192(Mコンペティションパッケージ:191.8)走行可能状態(燃料90%)
トレール(mm):99.8
キャスター:23.6°
ホイール:M Carbon Wheels
リム(前/後):3.50-17/6.00-17
タイヤ(前/後):120/70 ZR-17/200/55 ZR-17
ブレーキ(前/後):φ320mmダブルディスク/φ220mmシングルディスク
ABS:Race ABS パーシャリーインテグラルブレーキ

試乗後の一言!

公道試乗だけど、敬意を表してレーシングスーツを着用しました。言うまでもなく性能は凄いレベルの仕上がり。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…