檜原村・兜家旅館|旅館なのにカフェ、泊まらずコーヒーを飲むだけでも最高の気分。【東京・奥多摩ツーリング/第三十一回】

島しょ部を除いた東京都唯一の村である「檜原村(ひのはらむら)」は全体のおよそ9割を森林が占める自然豊かな村でありながら、都心から1時間ちょっとでアクセスできるエリア。今回はかやぶき屋根の旅館に併設される渓谷展望カフェをご紹介します。

REPORT●村上 菜つみ(MURAKAMI Natsumi)
PHOTO /ILLUST●高橋 克也(TAKAHASHI Katsuya)
檜原村・兜家旅館
どっしりとした兜造りの母屋が印象的な兜家旅館。渓谷が見えるカフェを併設しています。

今回は自然豊かな檜原村にある築300年の旅館、兜家旅館を訪れました。旅館の母屋は歴史を感じるか茅葺き屋根の建物で、日帰り客も利用可能な完全予約制のカフェが併設されています。窓から望む秋川渓谷が絶景なのだとか。入る前からワクワクです。

檜原村・兜家旅館
前庭にはきれいに刈り込まれた庭木と小さな池があり、落ち着いた雰囲気です。

 駐車場にバイクを停めてはじめに目を引くのは、やはり兜作りの母屋です。どっしりとした茅葺き屋根の厚さは、薄いところで60cm、厚いところで120cm。内部は4階に分かれていますが、かつて養蚕を営んでいた頃は最大で7層に区切って使われていたそう。

檜原村・兜家旅館
手入れが行き届いている茅葺き屋根。端までピシッと整っていて美しいです。
檜原村・兜家旅館
渓谷に突き出るように建っているテラス部分にカフェの席があります。
檜原村・兜家旅館
囲炉裏の宿としても有名な兜家旅館。囲炉裏付きの客室は全6部屋用意されています。

 ロビーに入ると正面に受付があり、頭上には歴史を感じさせる大きな梁が渡っていました。ライトは和紙のランプシェードで囲まれており、柔らかな光で落ち着きます。渓谷展望カフェは完全予約制なので、まずは受付を済ませてからカフェのある広間へと向かいます。

檜原村・兜家旅館
館内の天井は高く梁が見える造りになっており、木の温もりが感じられます。
檜原村・兜家旅館
採光の窓からは柔らかい光が降り注いでいました。
檜原村・兜家旅館
エントランスではパチパチと燃える炭が訪問客を優しく暖めていました。

 昭和48年に開業したという兜家旅館。周囲を緑深い山々に囲まれた静かな場所のため、窓の外からは木々の葉擦れの音や川のせせらぎ、鳥のさえずりが聞こえてきます。「みなさまの“ふるさと”に」という宿のコンセプトの通り、日本人の心の原風景のような佇まいです。

檜原村・兜家旅館
周囲に柔らかな影を作るランプ。暖色の光が温かい雰囲気です。
檜原村・兜家旅館
東京都とは思えない静けさで、山の自然が作り出す音がよく聞こえます。
檜原村・兜家旅館
お宿の大広間兼食堂がカフェとなっていました。畳に座ってリラックスできますね。

 提供されるコーヒーはフェアトレードのもの、紅茶は地元で無農薬栽培された「ひのはら紅茶」を採用。また、“健やかな暮らしを”という思いから水にもこだわっており、お茶を淹れる際は異なる地層がぶつかる場所から湧き出ている「ひのはら露頭水」を使っているそう。

檜原村・兜家旅館
軽食のスープセットは、野菜と豆がたっぷり入ったスープとケークサレ2種を頂けます。
檜原村・兜家旅館
盛り付けが美しい人気のチーズケーキは要予約。絶品です。
檜原村・兜家旅館
こだわりのコーヒーは1杯ずつハンドドリップ。沢の水出しアイスコーヒーもあります。
檜原村・兜家旅館
ノンアルコールスパークリングワインはサッパリとした辛口で食事に合う味わいです。
檜原村・兜家旅館
秋川渓谷の自然を感じながら、ゆったりと過ごすことができました。

 完全予約制の渓谷展望カフェで心穏やかなひとときを過ごせる兜家旅館。オーガニックにこだわった飲みものと美味しい軽食で、すっかり心と身体が癒やされました。周辺には奥多摩周遊道路などのツーリングスポットもある檜原エリア。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

兜家旅館 渓谷展望カフェ

190-0221
東京都西多摩郡檜原村数馬2612番地
TEL:042-598-6136
営業時間:10:00~15:00
定休日:木曜日

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村上菜つみ