ナニが? ドコが太いのか? 乗って満足、ハーレーダビッドソン ファットボーイの「太さ」の利点

ハーレーダビッドソン ファットボーイ試乗レポ|極太リヤタイヤは意外なほどにナチュラルだった。

男はサイズにこだわる、らしい。大きい方がいい、太い方がいい。そんな気持ちに応えるファットボーイもミルウォーキーエイトエンジンを積み、各部もさらにファットになっている。

TEXT●ノア セレン
PHOTO●山田俊輔

※2019年12月03日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
ハーレーダビッドソン・ファットボーイ

ハーレーダビッドソン ファットボーイ…… 2,720,300円〜

ハーレーダビッドソン・ファットボーイ
ハーレーダビッドソン・ファットボーイ
ハーレーダビッドソン・ファットボーイ

大きいことは良い事だ。大は小を兼ねる。

 大きいことに越したことはない的な風潮がかつてはあった。ところが今の世の中、コンパクトでスマートであることや、身の丈に合った、エコなライフスタイルなどが声高に語られるように。大きくて無骨で力強いべらんめぇ父ちゃんよりも、家事もそつなくこなすイクメンがもてはやされる時代である。

 ファットボーイを見ると、そういうのに真っ向から立ち向かうようなボリュームである。どうだ! デカいだろう! 太いだろう! カッコ良いだろう! と。風潮なぞ知らぬ、カッコイイとはこういうことだ! と。どうにも男心を刺激してくるバイクなのだ。

 この型になったファットボーイは新しいソフテイルフレームや大きい方の114キュービックインチ(1870cc)ミルウォーキーエイトエンジンを搭載するなど進化しているが、そんなことよりもさらに太くなった足周りがインパクトである。フロントタイヤで160幅、リアに至ってはかつての200からさらに240幅に太くなっているのだ。もはやバカバカしいほどの太さ。たまらないのである。

240幅タイヤのど迫力に、ニヤニヤしながら跨る

ハーレーダビッドソン・ファットボーイ

 そんなことを考えながら乗るわけだから、エンジンをかける前から何だかニヤニヤしてしまう。またがって視界に入る各パーツを見ても、みんなタイヤ同様に極太なのだ。アメリカのモンスタートラックのようなイメージだろうか。ハンドル周りも妙に太く、ゴツイ印象。フォークは正立なのにライト周りと一体化した三又部分周辺はものすごくマッチョだ。そしてそのライトも典型的な丸ではなく、流線型でしかも発光部もリング式のポジション灯など個性的だ。

 エンジンをかければ、同時に試乗したストリートグライドスペシャルと同じ、静かでスムーズなフィーリング。極低回転域でリズムよくアイドリングする様はハーレーエンジンの進化を感じさせると共に、相変わらず唯一無二の感覚であることも実感する。

 車体を起こして走り出すと意外やコンパクトに感じるから面白い。300kgを越える重量ながら、全体的に重心が低く足もベタベタに付くおかげだろう、路面に近い所でストレスなく滑っていくような感覚で走らせられる。唯一危惧していたのはファット(過ぎる?)タイヤの操舵感だ。というのも、以前のファットボーイでは交差点を右左折するだけでも思うようにバイクが曲がってこずに「ヨットット……」なんてことがあったからだ。ところがタイヤがさらに太くなっているにもかかわらず、あの時の感覚は和らいでいてストレスなくストリートライドができたのは嬉しい誤算だった。新ソフテイルフレームにはこんな常識外れの極太タイヤでも無理なく曲げられる許容度があるということか。

一気にイチオシハーレーに

ハーレーダビッドソン・ファットボーイ

 失礼な話、ファットボーイは見た目重視のちょっとゲテモノモデルという印象もあったが、試乗した結果これがけっこうおもしろい。見られた時のインパクトは相当なものだし、跨った時に視界に入る景色もクロームたっぷりで高級感溢れ、同時にメーターやライトなどデザインに未来的な要素もあって新鮮だ。正直、すっかり気に入ってしまったのである。

 文句なしにカッコ良いものを妥協なく求めるようなべらんめぇ父ちゃんにももちろん乗って欲しいが、家事もこなすイクメンパパにこそ、このワイルド感を味わってほしい。「俺のバイク、カッコ良いだろう!」と男が胸を張りたくなるバイクである。

追伸:親しみやすさは高い方なので女性の方も十分楽しめるモデルだと思います!

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著者プロフィール

ノア セレン 近影

ノア セレン

実家のある北関東にUターンしたにもかかわらず、身軽に常磐道を行き来するバイクジャーナリスト。バイクな…