ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ|お値段300万円超えのバイクは意外と乗りやすかった !?

オンでもオフでも道を選ばぬ機能性を備えるアドベンチャー・スピリット満載。ムルティストラーダの最高峰に君臨するモデルである。価格は約300 万円に迫り、撮影車に装備されたオプションのアクセサリーパッケージを加えると、ゆうに330万円を超える。そんな価格設定も含め、至高の逸材を求めるユーザーには目が離せない1台だ。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年11月24日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
ムルティストラーダ・シリーズ一連の個性的なフロントマスク。鳥のクチバシをイメージさせるデザインだ。LED式マルチライトは眼光鋭く前方を睨む他、両端には車体の傾きに応じて点灯するコーナリング・ランプも装備されている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
φ48mmの倒立フォークはフルアジャスタブルタイプで電子制御される。ドゥカティ・スカイフック・サスペンション(ESS)EVOを装備。ダブルディスクローターはφ320mm。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはブレンボ製対向4ピストンのM4.32モノブロックタイプだ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
搭載エンジンは水冷のテスタストレッタDVT。ディアベルと同じ1262cc。可変バルブタイミング機構とデュアルスパーク方式が採用されている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
右側に出された1本マフラーはステンレススチール製。排出口はツインテールタイプ。幅がスリムにデザインされた楕円断面形状は950と同様。大きなパニアケース搭載でも干渉が少ない。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
両持ちのアルミニウム製スイングアームにはフルアジャスタブルのモノショックをマッチ。フロントサスペンションと同様、統合電子制御される。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
先代の1200エンデューロと比較して少し低めにセットされたテーパードタイプのパイプバー・アップハンドル。フロントスクリーンは手動で簡単に高さ調節できる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
ハンドル左側の各種スイッチ。グレーの左側シーソースイッチはライディングモードやサスペンションのセッティング切り替えを担う。対称に位置する右側はオートクルーズコントロール用のスイッチだ。夜間はスイッチ周辺や文字がイルミネーションで綺麗に浮かび上がる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
右側は四つのスイッチが縦に並んでいる。一番上のグレーボタンはグリップヒーター用。赤いのがエンジンキルスイッチ、グレーの丸ボタンは始動用セルスタータースイッチ。そして一番下がイグニッション(メイン)スイッチだ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
5インチサイズのTFTカラー液晶ディスプレーを搭載。速度やエンジン回転計を始め、多彩な情報表示がなされる。コントラストのしっかりした画面はなかなか見やすい。各種モード表示はもちろん、その内容も多彩に対応してくれる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
多彩な情報表示の一例。ハンドル左手モードスイッチの下側を長押しするとこの画面が登場する。切り替える事で、乗車人数や積載荷物に応じた荷重設定変更が簡単にできる。電子制御サスペンションならではの便利機能である。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
モードスイッチの中央を長押しするとライディングモードの選択画面が現れる。基本的に4種のモードが選べるが、こだわり派にはさらに深い階層に入って好みの設定組み合わせができる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
赤いステッッチが入れられた上質な雰囲気が漂う。十分な厚みと腰のあるしっかりした座り心地のシート。前後セパレート式で、後席はキーロックの解除で脱着できる。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
リヤのシートクッション下部にはETC機器を収納できるスペースがある。またゴムキャップ付きの12Vアクセサリー電源ソケットと、USB電源ソケットも標準装備されている。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
専用サイドバック(オプション)用取り付けステーの組み込まれたリヤ周り。右側はマフラーの干渉を避けるデザインだ。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
角形デザシンのシンプルなアルミニウム製サイドケース。前方ヒンジ部分も脱着できる。グリップヒーター等を含めたパッケージオプション設定されている。専用ステーには簡単に脱着でき、キーロックでセキュリティも確保される。
ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
グンと膨らみの大きな燃料タンクデザイン。その容量は30Lと巨大。長距離(冒険)ツアラーとして心強いポイントだ。

主要諸元

シート高:860mm(オプションシート:840/880mm)
軸間距離 :1,592mm
渡河高(水深):465mm
乾燥重量:225kg
車両重量:254kg
燃料消費率:5.5L/100km(18.2km/L)

原動機型式:テスタストレッタDVTデュアルスパーク
原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ(デスモドロミック可変タイミング)
気筒数配列:L型2気筒
総排気量:1262cc
内径×行程:106.0mm×71.5mm
圧縮比:13.0:1
最高出力:116kW(158ps)/9,500rpm
最大トルク:128Nm(13.1kgm)/7,500rpm
始動方式 :セルフ式

燃料タンク容量:30L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・ボッシュ製電子制御燃料噴射、楕円スロットルボディ(φ56mm相当)
点火方式:デュアルスパーク

1次減速比/2次減速比:1.840/2.867
クラッチ形式:湿式多板 油圧セルフサーボ/スリッパー・クラッチ機構付
変速装置/変速方式:6速
変速比:
 1速:2.466 
 2速:1.764 
 3速:1.350 
 4速:1.090 
 5速:0.958
 6速:0.880
フレーム形式:スチールパイプトレリスフレーム
キャスター/トレール:25°00′/112mm
タイヤサイズ(前/後):
 120/70 ZR19(チューブレス)/
 170/60 ZR17(チューブレス)
制動装置形式(前/後):
 油圧式ダブルディスクブレーキ(ボッシュ製コーナリングABS)
 油圧式シングルディスクブレーキ(ボッシュ製コーナリングABS)
懸架方式(前/後):テレスコピック/アルミニウム製両持ち式スイングアーム
ホイールトラベル(前/後):185mm/185mm
乗車定員 :2名

ライダープロフィール

ドゥカティ・ムルティストラーダ1260エンデューロ
近田茂
元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。(※:写真は1260S)

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…