アジアンバイク、GPX。見た目よしの198ccフルカウルスポーツ、 DEMON GR200R 4VALVESに乗ってみた!攻めてみた!

フルカウルスポーツモデルはカッコいいけど意外と高価。その常識を覆すのがタイのバイクメーカー、GPXだ。アグレッシブなスタイルのDEMON GR200Rは50万円を切る(!)価格ながら、サーキットで走りを満喫できる性能を秘めている。ワンメイクレースが開催されるほどのポテンシャルを持つマシンのインプレッションを紹介しよう。
REPORT●横田和彦(YOKOTA Kazuhiko)
PHOTO●関野 温(SEKINO Atsushi)

GPX・DEMN GR200R 4VALVES … 49万9400円(税込)

カラーリング:レッド/ホワイト、イエロー、ブラック

ほかとは異なる、個性的なレーシング・フォルムが目を引く

DEMON GR200Rは昨年から日本で発売が開始されたフルカウルスポーツモデル。レーシーなスタイルやコストパフォーマンスの高さなどにより注目を浴びた。しかし当初は細部の造りや走行性能などが懐疑的に見られることも。というのも目が肥えた日本のライダーには、一部のアジア圏のメーカーが製造した車両の仕上がりや性能に満足できないことがままあったからだ。ことニューモデルがデビューするたびに乗っているメディア関係者が厳しい評価を下すことも少なからずあった。
ところが昨年、GPXジャパンが開催したサーキット試乗会で GR200R(2バルブモデル)に乗ったジャーナリストたちの評価は高いものが多かった。車体と足回りのバランスが良く、ハイペースで走っても破綻することなく楽しめたからだ。私もそれに参加していたので今回の4バルブモデルの試乗にもかなり期待していた。
スタイリングは従来の2バルブモデルを継承。LEDヘッドライトが低い位置にセットされ、アッパーカウルがスラントしたレーシングマシンのようなフォルムは、細部の造型も凝っていて非常に個性的だ。シートやポジションも変わらず、またがると昨年の興奮が甦ってくる。

カッコいいフルカウルモデルは女性にも人気。このサイズ感なら思い通りに走れそう! モデル:桜井つぐみ

セパレートハンドルはトップブリッジの下にセットされているが、シートやステップとの位置関係が良いのでそれほど窮屈には感じない。ガソリンタンクは適度にボリュームがありフィット感は良好。スポーツライディングに向いているのはもちろんだが、シートの座り心地が良くヒザの曲がりもキツすぎないので、ツーリングも十分にこなせるだろう。

ライダー身長:165cm/体重70kg

高回転域でのエキサイティング感がさらに向上した4バルブエンジン

クラッチをつないで走り始めて最初に感じたのは高回転域での伸びの良さ。先代からの変更点であるエンジンの4バルブ化が効いている。同時に持ち込まれた2バルブモデルにも試乗させてもらったが、その差は明確。中回転域からのパンチはスポーツ走行時には強い味方になる。
だからといって2バルブモデルがダメかというとそうじゃないのがオモシロイところ。というのもタイトコーナーなどでエンジンの回転数が落ちてしまった時などは2バルブモデルの低〜中回転域にかけてのトルクの太さが脱出速度を補ってくれるからだ。

話を4バルブモデルに戻そう。
ハンドリングはスポーツモデルらしい軽快なもの。ライダーの入力に対して車体が即座に反応するので、狙ったラインに乗せるのが容易。また前後サスペンションの動きが良く接地感がしっかりと伝わってくる。そのためコーナーへのアプローチで不安なくバンクさせることができ、高めのコーナーリングスピードを維持できる。
コーナー出口でアクセルを開けると、200ccエンジンのパワー感がちょうどいい感じでリヤタイヤを押し出し、気持ちよく加速。すぐに迫る次のコーナーに向かっての切り返えしもスパッと決まり、クリッピングポイントを外さずにクリア。
一連の流れが上手くいったときの達成感がたまらない!

スポーツライディングの楽しさを再確認!

試乗したのは桶川スポーツランド。全長840mのコースで、有名ライダーを数多く生み出してきたテクニカルコースである。今回の試乗会はコーナーの数を減らした特別コースで走行。
全開で駆け抜けるメインストレートの先にある1コーナーは進入速度が高め。前後サスペンションのバランスが良いので姿勢は安定している。体重移動したとき、ガソリンタンクの形状が外側のヒザでホールドしやすいのにも好感をもった。
立ち上がって加速したあと、ヘアピンコーナー手前で急ブレーキをかけ一気に減速。倒立フォークがググッと沈み込むが底付きはせず車体のブレもない。すばやく左に寝かし込むとクルリとタイトに回り込み、アクセルを開けると次の右コーナーへ向けてダッシュ。右に切り替えしてラインを選び立ち上がり、次のコーナーへ……。僕はいつしかその操作に没頭していった。

車体バランスの良さが多くのライダーに好まれる理由

GR200Rに乗っていると「もっとコンパクトに曲がれないか、立ち上がりでもっとアクセルを開けられないか」という追求心が芽生えてくる。そんな気持ちにさせてくれるのもGR200Rがエンジンパワーや車格、ハンドリング、足まわりの設定などのバランスが優れていて思い通りに動いてくれるから。幅広いスキルのライダーが、自分の技術にあわせてスポーツライドできるのだ。
さらに秀逸なのは、全体のセッティングが硬すぎないこと。そのため街での乗り心地もよく、ツーリングにも気軽に出かけられる。ビギナーであっても緊張しすぎずに走り出せるのではないだろうか。
昨年乗ったスポーツライディングの醍醐味を味わわせてくれたスポーツバイクが、取っつきやすさや親しみやすさはそのままに、エンジンのパフォーマンスを高めて帰ってきたのだと実感。
毎日の交通手段からスポーツライディングの相棒まで、多くの用途に使えるマルチなスポーツバイクだ。

もて耐用にモディファイされたレーサーにも試乗!

保安部品を外し、シングルシート&バックステップでレーシーなポジション設定に。抜けの良いマフラーとインジェクションコントローラーでエンジンのパフォーマンスを引き出し、リヤサスペンションを交換しフロントフォークをリセッティング。と必要最小限の変更といった感じのモディファイ内容だが、その走りは一変。シングルレーサーらしい元気な排気音を響かせるエンジンはトルクが一回り上乗せされた印象でストレートに吹け上がっていく。これは気分が盛り上がるねぇ!
車体に一本筋が通ったような剛性感が感じられ、ハンドリングはよりシャープに。挙動もより軽くなり、バンク時の安定感やライン取りの自由度も向上。見た目以上に変化が大きく、走りは完全にレーサーだ。これは本当に楽しいぞっ!

これだけの変更でここまで走りが変わるのはベースとなるGR200Rの素性が良いからであろう。それはレースへの参入がしやすく、ランニングコストが抑えられることにもつながる。この車体を使ったワンメイクレースも開催されているので、興味のある方はGPXジャパンのSNSを検索してもらいたい。

ディテール解説

多くの情報を表示するフルデジタルメーターを採用。画面は大きく情報を読み取りやすい。バー式のタコメーターもレーシーな雰囲気だ

ペタルローターディスクに片押し2ポットキャリパーをセット。タッチはよくスポーツライディングにも十分な制動力を発揮する。

セパレートハンドルはトップブリッジ下にセット。前傾度は適度にスポーティなもので、絞り角が適正なので上半身に無理な力が入らない。

スチール製のフレームは適度な剛性感を持つ。エンジンカバーがレッドなのもインパクトあり。

跳ね上がったマフラーがレーシー。排気音は単気筒モデルらしいもので、アクセル操作にリニアに反応する。

ライダー側のシートは前が絞り込まれていてタンクへとスムーズに続く。体重移動がしやすい形状だ。タンデムシートは小ぶり。

大胆なデザインのテールランプにより、ひと目でGR200Rだとわかるリヤビュー。前後ウインカーもLEDを採用している。

リンク式のリヤショックは路面追従性が高く、接地感がリアルに伝わってくる。乗り心地の良さと、アクセルを開けたときの踏ん張り感を両立させている。

SPECIFICATION

車名:DEMN GR200R 4VALVES
全長×全幅×全高:2020mm×747mm×1145mm
最低地上高:159mm
シート高:815mm
車両重量:155kg
排気量 : 198cc
冷却方式 : 水冷
内径 x ストローク:65.5mm x 58.8mm
最大出力:14.3 kw/9000 rpm
最大トルク:17.5Nm/7500 rpm
ヘッドライト&テールライト : LED
エンジン始動方式 : セルモーター
燃料供給装置形式:フューエルインジェクション
クラッチ形式:湿式多板
変速機形式:リターン式 6段変速
ブレーキシステム(前): シングルディスク
ブレーキシステム(後): シングルディスク
フロントサスペンション :倒立フォーク
リヤサスペンション : YSSサスペンション
燃料タンク容量:11 L
タイヤ(前): 110/80 R17 (チューブレス)
タイヤ(後): 140/70 R17 (チューブレス)

著者プロフィール

横田 和彦 近影

横田 和彦

学生時代が80年代のバイクブーム全盛期だったことから16歳で原付免許を取得。そこからバイク人生が始まり…