綿棒でゴシゴシ! スズキ アドレスV125Gのメンテナンス|フロントブレーキパッドの交換手順|YouTube『moto medico TV』005

東京都中野区にあるバイクショップ「モトメディコ」が運営するYouTubeチャンネル『moto medico TV』では、スズキ アドレスV125Gを題材にしたメンテナンス動画を多数配信中! 今回はその中から「フロントブレーキパッドの交換」をピックアップ。モーターファンバイクス読者に向けて、その内容を細かく紹介していきます!

ブレーキキャリパーを取り外す

まずはブレーキキャリパーをローターから取り外すところからスタートします。

最初にブレーキホースを固定しているクランプを広げます。固いので、まずはプライヤーを使用。ある程度広がったら、手でホースを外します。
キャリパーとフロントフォークを繋ぐボルト(2本)を外します。使用するのはヘキサゴンレンチ(#6)。
キャリパーを抜くときは、少しこじりながら後ろにズラすと抜けますよ。キャリパーに段差ができているときはちょっと抜きにくいので要注意。あんまり強くこじると、ローターが歪んでしまいます。
キャリパー裏にあるクリップを、マイナスドライバー等でこじるようにして外します。そして、パッドピンをヘキサゴンレンチ(#4)で外します。
これでブレーキパッドが抜けました!
続いて、キャリパーブラケットを抜きます。これで、ブレーキキャリパーの取り外しは完了。

キャリパーの洗浄

ここですぐにパッドを交換しないのがモトメディコ! キャリパー周りの汚れをしっかりと落とします。特に「ピストン周りの汚れを落とさないと先には進めません!」とメンボー山根さんは強く言います。

まずはバケツに熱湯を用意。キャリパーを20〜30分ほど浸けて、汚れを浮かせます。ちなみにキャリパーはホースに繋いだままなので、動かせる範囲に限界があります。そこで、ジャッキを使ってバケツをキャリパーに近づけるのが有効ですよ!
中性洗剤をたっぷり吹き付けて、歯ブラシでこすり洗い。細かい箇所が多く、頑固な汚れが多いですが、めんどくさがらずに地道に落としていきましょう。
ピストンは、キャリパーピストンツールで回しながら全周の汚れを落とします。
最後に洗剤をしっかり洗い流します。

キャリパーピストンの酷い汚れや腐食を落とす

キャリパーの汚れをある程度落としたら、次はキャリパーピストンについた頑固な汚れを落とします。

ピストンの腐食はオイルシールを傷つけて、オイル漏れの原因にもなります。そのため、しっかり落としておくことが大切なんです!

ウエスでキャリパーについた水分をしっかり拭き取ります。
まず、真鍮ブラシでピストンのしつこい汚れや腐食などを落とします。真鍮ブラシはピストンに傷をつけずに汚れだけを取りやすいので最適。もしくは「ナイロンたわしでもOK」と山根さん。
パーツクリーナーをつけたウエスでピストン側面の汚れ取りと脱脂をおこないます。キャリパーピストンツールを使って、必ずピストン全周でおこなうこと!

ピストンの潤滑とダストシールの汚れ除去

ここではピストンの潤滑性アップとともに、ダストシールに噛んでいる汚れを『もみ出し』によって掻き出します。

ブレーキオイルをピストンとキャリパー本体の間に挿して、潤滑性をアップ。ピストングリスを使う人が多いですが、モトメディコではブレーキオイルを使用します。
ブレーキオイルをある程度挿したら、キャリパーピストンツールでピストンを回して馴染ませます。
次にピストンを手でゆっくりと押し込みます。奥まで押したら、次にブレーキレバーを握って、ピストンを押し出します。
押し戻したら、ピストン側面に汚れが付着しているのが確認できます。これがダストシールに詰まっていた汚れなのです。これをウエスで拭き取ります。もちろん、キャリパーピストンツールを使って全周おこないます。この工程を数回繰り返します。

ブーツのメンテナンス

キャリパーについているゴム製の『ブーツ』にはなかにグリスが入っています。これも洗浄し、新たにグリスを注入することで、よりスムーズな動きになります。

キャリパーにはゴム製の蛇腹状のブーツが2個ついているので、両方とも外します。
先程の写真、左上側にあったブーツは簡単に取れます。問題は……
右下のブーツ。こちらは貫通していて、抜くのが大変。そこでブーツとキャリパーの間にパーツクリーナーを吹き付け、ブーツを細くすぼめれば、簡単に抜くことができます。
ブーツのなかには古いグリスが溜まっています。綿棒を使って取り除きましょう。
ブーツが入っていたキャリパー側の穴もウエスで綺麗にしましょう。
ブーツを元に戻します。左側のブーツは簡単に装着できますが、右側はちょっと厄介。写真のように細く潰して、ブーツ外側にパーツクリーナーを吹き付けて潤滑剤代わりにして入れます。この際、ブーツ内側にパーツクリーナーが入らないように注意!
ある程度入ったら、最後は綿棒をブーツの中に入れて押し込めばOKです。ドライバーはブーツを破ってしまうのでNG!

ブーツにシリコングリスを充填

古いグリスを取り除いたので、当然新品グリスを充填しなければなりません。ここでもモトメディコ流が光りますよ!

ブーツの中にグリスを補充。モトメディコではWAKO’S『耐熱シリコーンブレーキグリース』を使用。スプレー式が便利とのことです。補充方法は、まず奥に差し込んでひと吹き、真ん中でひと吹き。
最後は手前部分の側面、蛇腹部分に入れるイメージでスプレーします。ここは対面側にももうひと吹きしましょう。もうひとつのブーツも同様です。

パッドピンを入れるネジ穴を清掃

細かい箇所にも抜かりはありません! モトメディコでは、基本的に外したボルトやネジ穴はすべて清掃しますし、視聴者や読者にもおすすめしています!

真鍮製のネジネジブラシでネジ穴の腐食を取り除きます。タップでもOK。最後にパーツクリーナーで汚れを取り除きます。これでキャリパー本体のメンテナンスは終了!!

キャリパーブラケットなどのメンテナンス

キャリパー本体だけでなく、周辺パーツもしっかり洗浄します。

キャリパーブラケット、パッドピンとクリップ、ピストンのキャップ、ボルト類の腐食や汚れを取り除きます。
まず、パーツクリーナーをつけたウエスで各パーツをおおまかに拭き上げます。
パッドピンの腐食など、しつこい汚れは真鍮ブラシをつけた電動ドリルを使います。電動ドリルがなければ真鍮ブラシでゴシゴシ落としましょう。
汚れが取れました!

キャリパーブラケットとピストンパーツの取付

すべての清掃・洗浄が完了し、いよいよパーツを組み付けていきます。まずはキャリパーブラケットとピストンのキャップから!

まずは鳴き止めとして、パッドグリス(WAKO’S『ブレーキプロテクター』を使用)をピストンキャップの頭部分に少量塗布。軽く指で馴染ませて、ピストンに装着します。
キャリパーブラケットを装着。すでにブーツ内にはグリスを充填しているので、そのまま差し込みます。奥までググッと!
ブーツが溝にハマっているか、奥までしっかり入っているかを確認しましょう。手でブラケットをスライドさせて、スムーズに動くかも要確認。問題なければ終了です!

ブレーキパッドの下準備

新品ブレーキパッドを装着しますが、こちらも下準備が必要です。

パッドのエッジ部分をサンドペーパー(#80〜100)で軽くならす。本当に“軽く”でOK!! ガツガツ削らないこと。
パッド裏側に鳴き止めを塗るのが定石ですが、アドレスV125Gにはバックプレートがついているため、鳴き止めは不要です。
というわけで、古いパッドについていたバックプレートを、マイナスドライバーでこじって外します。パーツクリーナーで汚れを拭き落としましょう。
新品パッドにバックプレートを装着。ツメが3つあるので、パッドにハメればOK!

ブレーキパッドの装着

ブレーキパッドの装着手順にも、細かいポイントでモトメディコのこだわりが見られます!

パッドピンのネジ山にパッドグリス(鳴き止め)を塗布。これはモトメディコ流のこだわりで、ホコリなどの侵入防止、腐食予防のため。パッドグリスには粘着性があり、しかしネジロックほと強い固着力がないのが、山根さんお気に入りのポイントなんだとか。スプレーしたあとに、指でしっかり馴染ませましょう。
ピストン(奥)側のパッドを装着します。
手前側のパッドはブラケットに穴を通して、グルッと回転させて装着します。
この状態でパッドピンを挿し、ヘキサゴンレンチ(#4)で締めます。トルク値は約0.8kgm。
最後にクリップを入れれば、パッドの組付けは終了です。

キャリパーの装着

いよいよ最終章!! ブレーキキャリパーを車体に装着します。

キャリパー取付ボルトにロック剤を塗布。塗るのはネジ山先端のみ。たまにネジ山全体に塗る人がいますが、NGです!
ブレーキホースをクランプに通し(写真上部)、2枚のパッドをしっかり開いて、キャリパーを装着します。
キャリパー取付ボルトを入れます。まずは手締めでボルトを締め、そのあとヘキサゴンレンチで仮締め。
本締めする前に、キャリパーをアクスルシャフトに向かって軽く押し込みます。押し込みながら、手でボルトを締められるだけ締めます。
本締め。規定トルクは2.5kgm。ただし、一気に規定トルクまで締めるのではなく2回に分けて、1本ずつ交互に締めるのがベター。
現状ではパッドは開いたままで、遊びがかなりある状態です。そこでブレーキレバーを何回か握って、パッドのアタリをつけましょう。最初はレバーを握ると奥までいきますが、何回か握ることでアタリが出ます。
フロントタイヤを少し浮かせて回転させます。引っ掛かりがなく、綺麗に回るかをチェックします。
問題なければ、すべての作業が完了!

以上で、moto medico TV『フロントブレーキパッドの交換手順』は終了です。

ちなみに動画ではブレーキパッド交換直後の注意点をはじめ、各手順をさらに詳しく解説している箇所もあって、見どころたっぷりの内容となっています。

当記事でも十分に手順を追うことはできますが、さらに詳細を知りたい場合はぜひ、YouTubeもチェックしてみてください!

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著者プロフィール

佐賀山敏行 近影

佐賀山敏行

学生時代からの乗り物好きが高じて、 雑誌『カスタムバーニング』やムック『ハーレー・バガースタイル』な…