スクーターなのに過給器やNOSってアリ !?  XMAXターボ仕様+マジェS NOS仕様をテスト! 【動画・モトチャンプTV】

楽しくなくちゃバイクじゃない!」が合言葉のモトチャンプ。純正のままでも楽しめるバイクを過激に、そして楽しくカスタムすることを何度もお伝えしてきた。今回はなんと、スクーターにターボやNOSなどの過激なチューニングを施した2台を紹介しよう。
大阪府摂津市で長年2輪車の販売から修理、カスタムを手掛けてきたサワダサイクルで製作した2台を紹介する。

スクーターに速さを求めるなら、ボアアップなどのチューニングが一般的だろう。国内だけでなく台湾などのメーカーがリリースしているボアアップキットがたくさんあるため、手軽に楽しめるチューニングであるともいえる。ただ、ボアアップだけでなくストロークアップやヘッドチューニングを繰り返してきたヘビーユーザーなら、その先に突き進みたくなるはず。ターボやスーパーチャージャーなどの過給機や、ニトロなどと呼ばれる亜酸化窒素をエンジンに噴射して燃焼室内の効率を大幅に引き上げるNOSなどが存在するからだ。大阪府摂津市にある2輪車の販売から修理、カスタムまで手掛けるサワダサイクルは、このように過激なチューニングも引き受けてくれる老舗ショップ。そこで今回は同店が製作した過激なスクーターを2台紹介したい。モトチャンプが取材して誌面に掲載しつつ、ユーチューブで無料配信しているモトチャンプTVにも2台を紹介する動画がアップされている。今回は「XMAXのターボ仕様とマジェスティSのNOS仕様をテストライド」という動画から、どのようなチューニングが行われたのか探ってみたい。

マジェスティS+NOS!

ヤマハ・マジェスティSに水冷ヘッド+NOSを搭載したマシン。
オーナーから直接カスタム内容を聞いている。

まず紹介しているのがマジェスティSにNOSを搭載したマシンからだ。なぜNOSを搭載することにしたのかを、ライターのHIDE川島がオーナーから直接聞き出している。オーナーは過去にもさまざまなカスタムを楽しんできたが、人と違うことがしたいと考えているところに、映画『ワイルドスピード』を観てマジェスティSにNOSを搭載してみようと決意された。ところがNOSを搭載するにも加工を請け負ってくれるビルダーやショップがない。どうやら金額の問題ではなく、装着した結果にまで自信が持てないという技術的な面から、オーナーの依頼を断るケースが多かったようだ。そこでオーナーがワラにもすがる思いで辿り着いたのがサワダサイクルだった。

メカチューンをやり尽くした後にNOSへ辿り着いた。
NOSはドライを試してからウエットへ進化させた。

NOSとはナイトラス・オキサイド・システムの略で亜酸化窒素(N2O)をインテークに噴射することで大幅なパワーアップを実現させるシステム。N2Oは通常の空気より酸素分圧が高いため、燃焼室内で爆発する混合気の燃焼効率を引き上げることが可能になる。ターボなどにより多くの空気を過給するのと似た効果が得られるもので、N2Oは気化する際に温度を下げる特性があることから、冷却装置を必要としない利点がある。システムにはインテークマニホールドへN2Oガスを噴射するドライショット、ガスと燃料を同時に噴射するウエットショット、シリンダーを加工してエンジン内へ直接ガスを噴射するポートショットなどの方式がある。今回のマシンでは当初、ドライを試して思った以上の効果が得られなかったことからウエットに切り替えられた。

走行シーンを撮影できなかったが、ボタンを押すと怒涛のパワーを発生する。
NOSボタンを押していられるのはわずかに3秒だけ。

爆発的なパワーを得るには理想的なシステムだが、デメリットとしてガス自体が高価であることに加え、専用設計されたわけではないエンジンに追加装備すると長い時間NOSを使えないという点が挙げられる。このマシンでもNOSボタンを押していられるのは3秒だけ。とはいえゼロヨンなどでここ一番!という時に使うシステムであるなら非常に効果的なシステムだろう。オーナーもメインの使い方としてゼロヨンでのパワーを狙ったとのこと。また普段乗る時でも、NOSを使った爆発的なパワーは楽しめるという。残念ながら収録時に電気系トラブルが発生したため映像として楽しむことはできないが、まるでゲームのようにパワーが得られるのは病みつきになりそうだ。

XMAXにターボをボルトオン!

ヤマハXMAXにターボを搭載したマシン。
サワダサイクルオリジナルターボキットを装着。

続いて紹介するのがヤマハXMAXにターボを装着したマシンだ。車体右側面にタービンが剥き出しに取り付けられているため、迫力のルックスへ仕上がっている。ターボは排気系の圧力を利用してタービンを回転させ、その空気を吸気側へ送ることで大気圧より大幅に高い圧力をシリンダーヘ送れるため、充填効率が高まり通常エンジンより大幅なパワーアップが実現できる。配管などの追加装備が必要になるほか、タービンのサイズを排気量に合わせる必要があり、小排気量バイクへの装着例は少ない。ところがサワダサイクルでは250ccスクーターのXMAXをターボ化してしまったのだ。

試乗している動画を見るだけでも圧倒的なパワーであることがわかる。

動画ではマシンの説明をする前に、いきなり試乗シーンから始まる。ライダー目線のカメラなためブーストがかかった時の様子までは分かりにくいが、速度の伸びが普通の250ccスクーターの比でないことは一目瞭然。試乗しているHIDE川島が興奮気味に「なにこれ」「気持ちいい」と語りターボによるパワーアップが伝わってくる。

オーナーは以前にもマジェSにターボを搭載して楽しんでいた。

試乗シーンを終えて、ようやくマシンオーナーから製作の経緯やカスタム手法について話を聞くシーンになる。以前にも125ccのシグナスXをターボ化していたオーナーだが、次は高速道路に乗ることができるマシンをベースにしたことが語られる。そこで選んだのがXMAXだったというわけだ。先に紹介したNOS仕様マジェスティS同様にサワダサイクルで製作されたマシンだが、ショップからは一緒に作ることが条件だったという。確かにターボチャージャーを追加するだけならショップだけでも可能だが、その先のセッティングや煮詰めはオーナー抜きでは不可能。ショップに任せっきりでは完成しないマシンなのだ。

軽自動車用タービンを流用したキット。
完成後はオーナー自らスマホでセッティングを繰り返した。

使用したタービンは軽自動車用を利用したサワダサイクルオリジナルのキット。250ccであれば軽自動車用で十分であり、それ以上大きなタービンだと排気圧力が足りないためタービン自体を回すことができない。またXMAXの排気量に合わせて過給圧を調整するアクチュエーターのセッティングが不可欠になるため、独自のノウハウが必要になるキットといえるだろう。またターボ化により燃焼温度が上がるため、安定してハイパワーを得るならインタークーラーも必需品。ステップ周囲に取り付けて違和感なく効果的な冷却性を得ている。組み上がったターボマシンはaRacerにより制御しているが、当然セッティングが不可欠。そこでオーナー自ら走るたびにスマホでセッティングを繰り返して完成させた。ターボ化によりメンテナンスの頻度は高くなるものの、もたらされる喜びはそれを上回るものだろう。以前はリッターバイクに乗っていたこともあるオーナーだが、ターボ仕様XMAXはシフトチェンジ不要でラクなうえに速いと良いこと尽くし。これは楽しそうだ!

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…