Q:「ホンダDAX125はガソリン満タンでどこまでイケる?何日かかる?」 東京・日本橋から京都をめざしてみた。|東海道ガス欠チャレンジ第5弾![1日目]

人気の小型短足犬DAX125を駆るAFO RIDERタカハシが、東京・日本橋から京都をめざし、満タンきっちり使い切りの東海道ワンウェイ・アタックに挑む!
泰平の眠りをさますジョーキセン、たった4ℓ(弱)で京都に行ける?

REPORT●AFO RIDER タカハシ(AFO RIDER Takahashi)
PHOTO●高橋克也(KATSUYA Takahashi)
ILLUSTRATION●高橋克也(KATSUYA Takahashi)

短足犬は東海道をゆく!

AFORIDER ホンダ DAX125 東海道 ガス欠
あいかわらずの日本橋。赤いボディがキュートなホンダDAX125を道連れに、またもや東海道ガス欠旅に出撃だ!

日本橋出発はやっぱり正午前になった。毎度、早出を誓うのにきまって寝坊してしまう。ガチで楽しみなイベントだったら寝坊しないタカハシだが、東海道なんか走りたくて走ってるわけじゃないから、つい寝坊するんだろう。(←「おれ本気だしてない」系の言い訳)

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日本橋でトリップメーターをリセット。モンキー125と同型のシンプルな丸いメーターにはまるでケレン味がないが、玄人好みのグラフィックは視認性が高く、ひじょうに使いやすい。

東海道ガス欠チャレンジも、PCX、ハンターカブ、モンキー125、シグナスXに続いて、もうこれで5回目だ。いつもどおりに混みあう東京市街を、いつもどおりに京都をめざし、平常運転で走り出した。

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都内を走り始めたDAX125。リアビューのポイントともなっているテールライト&ウインカーユニットは、メーター同様モンキー125と同じもの。共通パーツが多いので、モンキー125も持ってるオーナーだとちょっとつまらないかもしれないが、そんな奴めったにいないから気にすることもないだろう。

復活ののろしをあげたDAX125

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ホンダ DAX125。全長1760mm、車両重量107kg、2人乗り。最高出力9.4PSの空冷4ストローク単気筒を搭載する。燃費に定評のあるエンジンだが、東海道を走破するには、タンク容量が3.8ℓというところが気にかかる……。

今回の東海道旅の相棒、ホンダ DAX125は、2022年に発売されたレジャーバイクだ。カブ系123cc空冷シングルに、クラッチレバーレスの4速リターン(だけど停止時はロータリー式なので、体感的には単なるロータリー)ミッションを備えている。
そろそろ払う年金の額よりも、貰う年金の額が気になる年頃のライダーなら、誰もがよく知るとおり、1960年代から原付ファニーバイクとして長らく人気を誇っていたDAXシリーズのリバイバル&スケールアップ版だ。

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愛らしいダックスフントをあしらったボディサイドのステッカー。

そしてDAX125に乗っていると、通りすがりの人にやたらと話しかけられる。彼らの第一声は、たいてい「新しく125が出たんですよね?」だ。

AFORIDER ホンダ DAX125 東海道 ガス欠 高橋克也 イラスト
注目度の高いDAX125に乗ってると、道端でよく質問ぜめにあう。その意味では急ぐ旅には不向きなバイクかも。

もともとDAXシリーズは、鋼板バックボーンフレームの短足胴長ボディを小型愛玩犬のダックスフントになぞらえて名付けられた原付バイク。1969年に発売されたダックスホンダ ST50がその嚆矢(こうし)となった。
その後、DAXはモデルチェンジを重ねつつ販売されたが、1981年型をもって生産を終了。1995年、50ccエンジンのまま「ホンダDAX」としていったん復活し、さらに27年を経た2022年、125エンジンを積んで華々しく2度目のカムバックを果たした。それが現行DAX125だ。

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ホンダ本社に展示されていた旧型2台。手前が1969年製の初期型ダックスホンダST50。4.5PSの49ccエンジンを載せた自動遠心クラッチ3段変速のマシンだ。現行のDAX125は、排気量と車格は大きくなったものの、デザインはそっくり。

黒船撃破をねがった砲台跡

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品川区東大井町の新浜川公園内にある砲台跡。2004年、住宅地の造成中に発見された、わりと新しい史跡だ。幕末、ペリーの黒船迎撃を目的として土佐藩がつくった砲台で、大小8門の大砲を備えていたという。

混みあう都心の道を抜け、パラつく小雨を衝いて国道15号を西へ。品川区の浜川砲台に立ち寄った。
この砲台は、幕末、ペリー提督ひきいる黒船の二度目の来訪が戦争になるだろうと踏んで、幕府があちこちに作ったもののひとつ。住宅地にある小さな公園にぽつんと大砲の原寸模型が置かれていた。

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2015年に復元された「30ポンド6貫目ホーイッスル砲」レプリカ。仰角15~45度くらいで擲射(てきしゃ)する大砲で、別名を榴弾砲(りゅうだんぽう)と呼ばれるタイプ。全長3000mm、ホイール径は1800mmつまり約70インチだから、インチ表記のホイールサイズに慣れたライダーなら、その巨大さが身にしみてわかるだろう。(わかる必要はないが)
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旧東海道に面した北浜川児童遊園には坂本龍馬像も立っている。いかにも古っぽくみえるが、じつは2010年に建てられたばかり。にしても龍馬はいつもお腹が痛そうで心配だ。

湘南はすでに夜

浜川砲台をあとにすると、陽はみるみる落ちて、気の早い冬の夕暮れが迫ってきた。吐く息でヘルメットシールドが白い。
横浜市戸塚区を西へ渡り、神奈川県道30号へそれて海岸線をめざす。まもなく道は藤沢市に入った。

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相模湾に出る直前、トリップ55.2km時点でフューエルメーターは1目盛り減って残5に。

すっかり陽が落ちた頃に辻堂海岸に着いて小休止。薄明りでもあるうちは、季節を問わずキャッキャうふふなムードをまき散らしまくっているクソむかつく湘南の海だが、さすがにとっぷり日暮れた冬の夜となれば、寂しく冷たい波打ち際にすぎない。海をひきあげ、そばを通りがかったイケメンサーファーすらも、ついイキるのを忘れ、寒そうに背中を丸めていた。

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暗闇の辻堂海岸にたたずむ犬バイクDAX125のサイドビュー。その後にうっすら写る霊的存在は、犬より下等なサル、俗にいうホモサピエンスの一匹だ。
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真っ暗な海岸線を西へ進む。

辻堂海岸をあとに、平塚まで国道134号を一気走り。駅前のバイク駐車場にDAX125を放り込むと、安宿までは徒歩5分。部屋に転がりこむとシャワーを浴び、コンビニ飯を掻き込んだ。ちょっと横になったとたん睡魔に襲われ、そのまま朝までぐうぐう眠り続けた。

AFORIDER ホンダ DAX125 東海道 ガス欠
平塚市街、公営バイク駐車場にDAX125を格納。
AFORIDER ホンダ DAX125 東海道 ガス欠
フューエルメータは1目盛り減って残5、日本橋からの走行は71.8kmだった。
AFORIDER ホンダ DAX125 東海道 ガス欠 高橋克也 イラスト
■東海道ガス欠チャレンジMAP/ホンダ DAX125/日本橋~平塚

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AFO RIDER タカハシ

イラストレーター、カメラマン、ライター、ムービークリエイターなど、世間をあざむく幾つもの顔をもつが…