500kmの試乗で見えてきたこと。スズキ・Vストローム1050、ビッグツアラーとしてさらなる進化を体感

スズキのフラッグシップモデルはHayabusaだが、人気のアドベンチャー系カテゴリーを代表するモデルにVストロームがある。今は250、650、800と豊富なバリエーションを揃え、その頂点に君臨しているのが今回の1050である。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 スズキ

ディテール解説

上下2段重ねのヘッドランプはLED式。「クチバシ」と呼ばれるフェンダーデザインは、アグレッシブなスタイリングを表現していると言う。

19インチ10スポークのキャストホイールにはブリヂストン製バトラックスアドベンチャーA41ラジアルを履く。フロントフォークはφ43mm倒立式のKYB製。φ310mmのフローティングローターをダブルで備えるブレーキは対向4ピストンモノブロックのトキコ製油圧キャリパーがラジアルマウントされている。

アルミ製ダイヤモンドフレームに抱えられる様にリジッドマウントされたエンジンは横置きの90度Vツイン。

右出し1本のアップマフラーは2into1方式。シリンダーの前バンクは前方排気、後バンクは後方排気方式で、クランクケース下方~後方でそれぞれのエキゾーストパイプは長さ調節しながら連結されている。

ボトムリンク式リアサスペンションはKYB製モノショックを採用。車体左側からプリロード調節できるリモコンダイアルがある。ショック下部には伸び側の減衰調節も装備されている。

リアブレーキはφ260mmのシングルローターが4点リジッドマウントされている。油圧キャリパーはトキコ製1ピストンのピンスライド式を装備。

ブラックのパイプバーハンドルはテーパードタイプ。ナックルガードが標準装備されている。

ハンドル左スイッチは一番下のベストポジションにホーン、直ぐ上にウインカー、セレクト&モードスイッチ。そして人差し指で扱うディマー&パッシングスイッチ。
右側スイッチは赤いのがエンジンキルスイッチ兼始動用スターター。その下にはスライド式ハザードスイッチ、そして一番下はクルーズコントロールスイッチ、

フルカラーのLCD(液晶ディスプレイ)が採用されている。両脇には11個の各種パイロットランプが並ぶ。デジタルメーターの照明は周囲の明るさに応じて輝度が自動調光される他、任意に3段調節も可能。白黒反転もできる。メーター左脇にはスマホの充電などに使える5.0V2AのUSB電源ソケットが装備されている。

DEよりも上下長が長く、デザインも少し異なるクリアスクリーンを装備。風防効果はなかなか優れている。
中央下部のレバーで固定解除すれば、スクリーンは11段階(50mm)の高さ調節ができる。
フロントフォークのトップエンドにあるアジャスターはスプリングプリロードと伸び側の減衰調節ができる。
圧側の減衰アジャスターは、フロントフォークのボトム付近後方に位置している。

段差のあるダブルシートはセパレートタイプ。後席クッションの裏側に収納されているアダプターを使うと、前席を20mmハイマウントすることもできる。

左サイドカバーにあるキー操作で後席クッションが脱着できる。前席は2本のボルトで固定されている。
シート下後方中央にはDC12Vのアクセサリーソケットが標準装備されている。ETC機器等を収納するスペースは十分。

後席とほぼ面一に続くリアキャリアは標準装備。灯火類はLED式。ナンバー灯は12V5Wの電球式だ。

乗車位置の車体はなかなかスマートな仕上がりが印象的。

主要諸元

型式:8BL-EF11M
全長 / 全幅 / 全高(mm):2,265/ 940 / 1,470
ホイールベース(mm):1555
最低地上高(mm):165
シート高(mm):850
装備重量(kg):242
燃料消費率(km/L):定地27.0 (60km/h)2名乗車時
WMTCモード値(km/L):19.3km/L 1名乗車時
最小回転半径(m):3.0

エンジン型式:U502/水冷・4サイクル・V型2気筒 
弁方式:DOHC・4バルブ
総排気量(㎠):1,036
内径×行程(mm):100.0 × 66.0
圧縮比:11.5:1
最高出力(kW):78〈106PS〉/8,500rpm
最大トルク(N・m):99〈10.1kgf・m〉/6,000rpm
燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム
始動方式:セルフ式
点火方式:フルトランジスタ式
バッテリー:FTZ14S(12V-11.2Ah)
潤滑方式:ウェットサンプ
潤滑油容量(L):3.5
燃料タンク容量(L):20
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速:2.666
 2速:1.933
 3速:1.500
 4速:1.227
 5速:1.086
 6速:0.913
減速比(1次 / 2次):1.838 / 2.647

フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター(度):25°40′
トレール(mm):110
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ(前/後):110/80R-19 M/C 59V /150/70R17 M/C 69V
舵取り角左右(度):36°
乗車定員:2名

試乗後の一言!

ロングツアラーとしての快適性が魅力的。純正アクセサリーの収納ケースを装備して旅を楽しみたい。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…