スペシャルパーツ武川から発売されているエアフローシートカバーを試してみた。

スペシャルパーツ武川・エアフローシートカバー(S)……3300円(消費税込み)

とにかく暑い。猛烈に暑い。ここ数年の暑さは過去に見た覚えがないくらいの最高気温を観測しているが、2023年はもう異常じゃないかと思えるほど暑い。35℃を超える猛暑は昨年にも記録されたが、今年は何というか体温を超える日が続出しているように思える。これだけ暑いと水冷エンジンの大型バイクなんて乗る気にすらならない。でもカブなら大丈夫。レッグシールドによりエンジンが隔てられているので、エンジンの熱気がライダーに伝わらないから。とはいえ、これだけの猛暑だとカブですら乗りたくならない。そこで今回は猛暑を乗り切るためのグッズを探してテストしてみることにした。まず取り上げたのがスペシャルパーツ武川から発売されている「エアフローシートカバー(汎用)」だ。

エアフローシートカバーとは?

着座面は立体メッシュを採用している。
着座面をアップでみると表面側の繊維が太く裏側が細い構造になっている。

エアフローシートカバーはスペシャルパーツ武川のWEBサイトで確認すると、純正シートの上から被せるだけで通気性とクッション性に優れたシートへ変更させることが可能とある。今回テストに使ったリトルカブだと汎用/Sサイズがジャストフィットで、カバー全体のサイズは600mm×530mm。座面には立体メッシュを採用して臀部とシートの間に空間を作ることで走行風が流れる。座面サイズは350mm×300mmで、表側と裏側のメッシュサイズを変えることでスプリング効果を実現。暑さ対策だけでなくクッション性を向上させたことで、ロングツーリングにも最適なシートカバーと言えそうだ。

リトルカブに被せてみると

今回はリトルカブ50周年スペシャルを使ってテストする。
使ったのはSサイズ。汎用ながらあつらえたようにフィットした。
純正シートを後ろから見たところ。熱さの面では、黒い表皮よりも少しはましかと思われる。
エアフローシートカバーを被せるとうっすら純正の赤いシート地が見える。
シートを持ち上げ面ファスナーで固定する。

エアフローシートカバー(汎用/Sサイズ)は12Vモンキーやスーパーカブ50、リトルカブのほかスーパーカブ110、クロスカブ、CT125、C125、さらにはレブル1100やエリミネーターにも適応する。カブ系だと純正シートを持ち上げつつエアフローシートカバーを被せ、表皮のシワなどを調整してからシート下で面ファスナーを張ってテンションをかける。作業としてはたったこれだけで、座面とサイド面のメッシュ構造を変えたことによるデザイン性の高さを手に入れられる。何も知らずにみたらカスタムシートへ変更したのかと思えるほど。なお、今回テストに使ったリトルカブ50周年スペシャルだと純正シートが赤い。そのため着座面だけうっすらと赤く見えるので、思ってもみないカスタム効果が得られた。

エアフローシートカバーの実力をチェック!

猛暑の中、エアフローシートカバーの実力を試してみた。

軟弱モノの極みなので、正直なところテスト日だけ気温が下がってくれることを前夜寝るまで祈っていた。戦々恐々として迎えた当日は前日の天気予報より気温が上がり、昼前なのにシートの上に置いた温度計は37℃を示していた。嗚呼、これだけ暑い日でバイクに乗るなんて考えただけ気が遠くなりそうだ。とは言えエアフローシートカバーを試すには絶好のコンディションと言えるだろう。

テスト日はシートの上に置いた温度計で37度に達した。

ちなみに気温が37℃と体温以上になると、たとえば休憩時にバイクを直射日光の当たる場所へおいて30分もすると、シート表皮の温度は50℃以上になることが考えられる。例え44℃程度だとしても熱せられたシートへ直接腰をおろせば低温火傷の可能性が高まる。44℃だと6〜10時間ほどで低温火傷になると言われ、50℃なら約3分、60℃だと約5秒で低温火傷になってしまう。バイクを止めて休憩するときは、くれぐれも日陰を探して駐車したい。もし火傷になってしまったら、衣服は無理に脱がず流水で15分から30分ほど冷やすことが何より大事。無理に服を脱ぐと皮膚が衣類に張り付いて皮膚や水疱が剥がれてしまうことも考えられる。十分に冷やしたら即座に病院で受診しよう。

シートカバーを使わずに走ると股間が蒸れる。

それでは気を取り直してエアフローシートカバーのテストだ。まず純正シートのまま走行すると、予想通り股間はムレムレ、臀部はアツアツなホット状態を生み出す。いかにエンジンの熱が伝わらないカブだとしても、ライディング用のズボンは生地に厚みがあるしニーパッドが装着されている。気温が37℃もある日に走れば暑くないわけがない。ここまでは誰しも想像できるだろうし経験した覚えがあることだろう。まさに夏場のライディング地獄、酷暑修行のようだ。

シートカバーを被せたところ、股間の下を流れる風が体感できた!

あまりに暑いので木陰を探してエアフローシートカバーをリトルカブに被せる。そのまま跨ってみてオヤッと感じた。やはり立体メッシュの効果が感じられ、純正シートより臀部に伝わる感触が柔らかい、というかクッション性が高い。短足オジサンとしては足付き性が悪化するのを危惧したが、こちらは杞憂に終わったようでしっかり両足が着地してくれる。足付き性を犠牲にせずクッション性が高まるのだから、目からウロコが落ちる思いだ。

純正シートのままだと熱の逃げ場がないので体温と気温が交わり暑いことこの上ない。
シートカバーを使うと臀部の下に風が通り熱がこもらない!

跨っただけで効果を感じられたが、走り出してみると思わず笑ってしまった。極低速でしか走っていないのに、いきなり股間を風が流れていくのをハッキリ感じられるのだ。そのまま速度を上げていくと股間を流れる風が強まり、臀部とシートの間に熱がたまる気配がまるでない。これは素晴らしい! 股間を風が流れると、驚いたことに太ももの内側まで涼しく感じられ、ズボンの生地が薄くなったかのように快適だ。実は以前、エアフローシートカバーを装着したカブ主を取材したことがある。その時に「一度味わったら2度と純正に戻れませんよ」とお話しされていたことを思い出した。確かに夏場、しかも気温が体温を上回るような環境でこれだけ快適に過ごせるのだから、寒いと感じられる時期以外は被せっぱなしにしてしまいそうだ。

Uターンなど極低速でもシートカバーの効果が感じられた。

もちろん速度が落ちると股間を流れる風は弱まる。とはいえ少しでもマシンが動いていれば風が感じられるので、純正シートのままだった時に感じたムレムレな状態にはなりにくい。信号待ちで止まったとしても、動き出してしまえばこちらのモノ。股間のムレと無縁のまま、臀部に熱がこもらず快適なライディングを楽しむことができた。

また走行時のクッション性についても触れておきたい。カブの純正シートで1時間以上走り続けると徐々にお尻が痛くなる。2時間もすると「もうイヤ!」となるのだが、エアフローシートカバーを被せていれば1時間は楽勝だろう。何しろ風が通り抜けるほどの空間があるため路面のショックが直接お尻に伝わることなく過ごせるからだ。ロングツーリングを楽しむカブ主は数多い。まだエアフローシートカバーを未体験なカブ主なら、ぜひ試してほしいと思える快適グッズだった。

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