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Volkswagen Passat Variant
片手間ではないモデルチェンジ
フォルクスワーゲン・パサートがフルモデルチェンジを受けて9代目に生まれ変わった。電動化を推進する同社から「新たなエンジン車」が登場するとは意外だが、彼らがヨーロッパ圏内で完全電動化を実現するとしているのは2033年から35年までのいずれか。それまでまだ10年近くもあるので、モデルチェンジを行うのは自然なことといえる。
もっとも、モデルチェンジの内容は「片手間の仕事」とはほど遠い本格的なもので、プラットフォームのMQBはMQB evoに進化してホイールベースの延長や新型ダンパー(伸び縮みの減衰力を個別に設定できる)の装着が可能になったほか、電気系プラットフォームも見直されてインフォテインメントが一新された。
試乗したのはミラーサイクル採用の1.5リッターガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせた1.5eTSIと2.0リッターディーゼルを積む2.0TDIの2台。グレードは、前者がエレガンスで後者はR-Lineだった。
1.5eTSIはミラーサイクル特有の「線の細さ」がなきにしもあらずだが、そこは48Vハイブリッドが巧みにカバー。静かで滑らかな回転フィールを含め、実用上はなんの不満も感じられなかった。
日本もヴァリアントのみとなるか?
乗り心地は、往年のフォルクスワーゲンらしいドッシリとした乗り心地のなかに、ゴルフVIII以降のニューモデルに見られる軽快さを織り込んだ新しいタイプ。ただし、どちらかといえばドッシリ感のほうが顕著で、私のような長年のVWファンにも納得の味付けだった。さらにいえば、足まわりに大入力が加わったときにもボディに微振動が残らない堅牢さが甦ったことも嬉しいポイントだ。
一方の2.0TDIはボトムエンドから力強いトルクを発揮。回転の上がり方も早いので、R-Lineのようにスポーティなグレードにもぴったりとマッチする。
注目のインフォテインメントは15インチタッチディスプレイを採用したほか、操作ロジックも根本から見直されて大幅に使いやすくなった。しかもキャビンは静かでインテリアの質感も向上。エクステリアもプレミアムカーと見紛うばかりの上質さなので、商品性は格段に高まった。
ちなみに、欧州ではセダン人気の低迷によりヴァリアントのみの設定となる国がほとんどというので、おそらく日本も同様の対応となるだろう。
REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/VOLKSWAGEN AG.
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン・パサートヴァリアントeTSI
ボディサイズ:全長4917 全幅1849 全高1497mm
ホイールベース:2841mm
車両重量:1572kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1498cc
最高出力:110kW(150PS)/5000rpm
最大トルク:250Nm(78.5kgm)/1500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後215/60R16
【問い合わせ】
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL 0120-993-199
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