新型人気SUV解説「メルセデス・ベンツ Gクラス」

人気SUV「メルセデス・ベンツ Gクラス」の新型を解説「シャシーは?」「電動モデルは?」

大幅にアップデートされた「W463」。
大幅にアップデートされた「W463」。
日本でも特に人気が高いSUVとして知られるGクラスが大幅にアップデートされた。型式こそ「W463」を踏襲しているが、空力性能、インフォテインメント、エンジン等、あらゆる性能が向上している。また新型のトピックとしてついにBEVが投入されることになった。新型Gクラスの詳報をじっくりとお届けしよう。(GENROQ 2024年6月号より転載・再構成)

Mercedes-Benz G-Class

期待に違わぬ広範なアップデート

日本でも特に人気が高いSUVとして知られるGクラスが大幅にアップデートされた。型式こそ「W463」を踏襲しているが、空力性能、インフォテインメント、エンジン等、あらゆる性能が向上している。また新型のトピックとしてついにBEVが投入されることになった。新型Gクラスの詳報をじっくりとお届けしよう。
日本でも特に人気が高いSUVとして知られるGクラスが大幅にアップデートされた。型式こそ「W463」を踏襲しているが、空力性能、インフォテインメント、エンジン等、あらゆる性能が向上している。また新型のトピックとしてついにBEVが投入されることになった。新型Gクラスの詳報をじっくりとお届けしよう。

説明不要のプレミアムオフローダーのアイコン、メルセデス・ベンツGクラスが改良を受けて登場した。1979年にデビュー。W463の形式名称を引き継ぎながら大幅な改良を行った現行モデルの登場からも、気づけば6年というタイミングでの、未来に向けた刷新である。

もっとも注目されるのは、待たれていた初のBEV仕様の登場だろう。その名はG580 with EQ technologyという。しかしながら標準モデル、そしてAMGモデルについても広範なアップデートによって実力が高められている。

まずは標準モデルから見ていこう。まさにアイコニックなそのフォルムに大筋では変更はない。しかしながらディテールを見ると、細かな変更が施されている。

デザインが改められたのはラジエーターグリル、バンパー、ホイールといったところだが、よく見るとフロントウインドウ周辺にも違いが隠れている。Aピラーに装着された樹脂製のクラッディングパネルの形状が変わり、ルーフ前端にスポイラーリップが追加されているのだ。

狙いは空力特性の改善。遮音材の追加もあり、Gクラスの弱点である走行中の風切り音を大幅に低減したという。外観の雰囲気を犠牲にしないこの進化、誰もが歓迎に違いない。

同じく見た目を変えない大進化がキーレスゴーの採用だ。特徴的なドアハンドルの形状はそのまま。開発陣のこだわりが反映されている。

インテリアではMBUXは最新世代となり、タッチパッドは廃止に。悪路走行中に役立つ情報を表示するオフロードコクピット、前方の路面状況を複数カメラからの合成画像で表示するトランスペアレントボンネットも装備リストに加わった。

追加された3つのオフロードモード

パワートレインは全車、マイルドハイブリッド化されている。G500のエンジンは3.0リッター直列6気筒ツインターボユニットに変更。最高出力449PS、最大トルク560Nmというスペックに、同20‌PS、200Nmを発生するISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)を組み合わせる。

同じく3.0リッター直列6気筒のディーゼル・ツインターボエンジンを積むのがG450d。こちらは最高出力367PS、最大トルク750Nmに、やはり20‌PS、200Nmのモーターアシストを加えるかたちとなる。

シャシーについては大きな変更はアナウンスされていない。ただし、ダイナミックセレクトに新たに「Trail」、「Rock」、「Sand」の3つのオフロードモードが追加されている。

メルセデスAMG G63は、まず見た目がさらに迫力を増した。フロントバンパーは左右に3本のルーバーが入ったインレットを採用。ホイールは6つのデザインが用意される。

お馴染み4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンの最高出力は585PS、最大トルクは850Nmで変更はないが、こちらもISGによる20‌PS、200Nmがアドオンされる。結果、0-100km/h加速は4.3秒と、0.2秒も更新された。

注目がシャシー。新たにAMGアクティブライドコントロールサスペンションが搭載されたのだ。スタビライザーバーの代わりに4輪の電子制御ダンパーに接続された油圧回路によって姿勢制御を行うこのシステムは、オンロードの操縦安定性と、オフロード性能、さらには快適性の全方位に貢献する。

新設定のAMGオフロードパッケージ プロとの組み合わせでは、2つの新しい走行モードが備わる。各輪独立の駆動、制動制御により最大のトラクションを発揮させ、深い砂中からの脱出なども可能にするAMG トラクションプロ、ロール剛性の制御で快適性と走破性の両立を図ると謳われるAMGアクティブバランスコントロールだ。

このAMGオフロードパッケージ プロは、20インチのオールテレインタイヤ&ホイール、リヤゲートと別個に開閉できるスペアホイールホルダー、プロフェッショナルルーフラックとラダーなどを装備。いかにもタフな外観は、G63に新たな魅力をプラスするものだ。

全体に強調された未来感

そして注目のG580 with EQ technologyだが、スペックだけでも胸躍るものだ。電気モーターは各輪に1基ずつの合計4基が搭載され、それぞれ最高出力108kW(147PS)、最大トルク291Nm、合計では432kW(588PS)、1164Nmを発生する。しかも各輪にローレンジが組み込まれる。

電子制御によるバーチャルデフロック、トルクベクタリングも搭載。その場で360°回転ができるGターン、狭い悪路での旋回を助けるGステアリングなど、BEVの旨味を活かした機能が加わっている。

外観はEQGで見せたようなライトの演出などにより全体に未来感が強調される。さらに、前述のフロントウインドウ周辺の改良に加えて専用の高く持ち上げられたボンネットを採用し、Cd値を従来モデルの0.53から0.44にまで大改善している。その効果もあり、116kWhのバッテリーで走行できる距離は470kmを実現。車重3085kgの巨体では健闘したと言うべきだろう。

進化は見た目から想像する以上。いわゆるフェイスリフトに留まらず、格段に実力を高めて登場した新しいGクラスが、そのカリスマ性に一層の磨きをかけたことは間違いない。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
PHOTO/Mercedes-Benz AG
MAGAZINE/GENROQ 2024年 6月号

SPECIFICATIONS

メルセデスAMG G 63

ボディサイズ:全長4873 全幅1984 全高1971mm
ホイールベース:2890mm
車両重量:2640kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc
最高出力:430kW(585PS)/6000rpm
最大トルク:850Nm(86.7kgm)/2500-3500rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後リジッド
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後275/50R20
0-100km/h加速:4.3秒
最高速度:220km/h

【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/

インフォテインメントシステム、空力性能、あらゆる性能を向上させた新型Gクラスはより一層魅力的なSUVへと進化を果たした。大注目のBEV版モデルを中心に海外試乗記をお届けする。

最強のGクラスは意外にもフル電動の「メルセデス・ベンツ G580 with EQ Technology」だった

空力性能、インフォテインメント、エンジン等、あらゆる性能を向上させた新型Gクラスが登場した。中でも注目はBEV版の「G580ウィズEQテクノロジー」に間違いない。1164Nmもの大トルクを誇る電動Gクラスは悪路走破性はもちろん、なんと360度ターン可能な「Gターン」という特技も有する。G580ウィズEQテクノロジーを中心に新型Gクラスの全貌に迫ってみた。(GENROQ 2024年7月号より転載・再構成)

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著者プロフィール

島下 泰久 近影

島下 泰久

1972年神奈川県生まれ。走行性能だけでなく先進環境安全技術、ブランド論、運転など、クルマ周辺のあらゆ…