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Audi RS 6 Avant GT
2020年の「RS 6 GTO コンセプト」を製品化
シリーズ最強ワゴンとして開発された「アウディ RS 6 アバント GT」は、内外装に多くの専用ディテールを導入。パススルールーフエッジ・スポイラー、再設計された専用ディフューザー、専用デザインの22インチホイールが、最強ステーションワゴンであることを強烈に主張する。インテリアは専用バケットシート、斬新なカラーコンビネーション、センターコンソールにはシリアルナンバーも入れられている。
シャシーは専用チューニングが施され、軽量アジャスタブルコイルオーバー・サスペンション、リヤアクスルには「quattro」スポーツディファレンシャルを搭載。4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンは、RS 6 アバント performanceと同値となる最高出力463kW(630PS)、最大トルク850Nmを発揮する。
RS 6 アバント GTのアイデアは、2020年に行われた実習生プロジェクト「RS 6 GTO コンセプト」に遡る。アウディデザインのサポートのもと、ボディワークや車両構造のメカニック、自動車塗装工、工具工としての仕事を学ぶ12名の実習生が、6ヵ月間このプロジェクトに取り組んだ。
彼らは1989年に登場した伝説のレーシングカー「90 クワトロ IMSA GTO」から多くのインスピレーションを得て、RS 6 GTO コンセプトを作り上げている。今回、そのRS 6 GTO コンセプトのアイデアをベースに、660台の限定生産モデルとしてRS 6 アバント GTが完成した。
カーボン製ボンネットとフェンダーを採用
RS 6 アバント GTは、RS 6 アバントやRS 6 アバント パフォーマンスとは一線を画した専用エクステリアを導入。大胆な開口部が印象的なフロントセクションは、RS 6 GTO コンセプトからインスピレーションを得ている。
フロントセクションは、シングルフレームグリルと大型エアインテークがハイグロスブラックで仕上げられ、より低くワイドなアピアランスを実現。フロントエプロンのバーティカルブレード、新形状のインテークグリル、バンパー一体型フロントスプリッターが、シャープな外観をさらに強調する。
アウディスポーツが開発したカーボンファイバー製ボンネットは、バルジ部分を強調すべく、あえてカーボンファイバーを見せる仕様。ホイールアーチ後方に配置された新形状のエアアウトレットは、ホイールアーチ内の空気圧を下げ、ブレーキの冷却性能を向上させる効果を持つ。ボンネットと同様、大径ホイールを収めるフェンダーも初めてカーボンファイバー製が装着された。
エクステリアカラーは「アルコナホワイト」「ナルドグレー」「クロノスグレーメタリック」「マデイラブラウンメタリック」「ミトスブラックメタリック」の5色を展開。90 クワトロ IMSA GTOをイメージした専用デカールも用意された。
この専用デカールはアルコナホワイトをベースに、アウディスポーツの伝統色であるブラック/グレー/レッドを組み合わせた。フロントとリヤのモデルバッジもこのカラーで統一され、専用デザインの21インチホイールはハイグロスホワイトとなる。
ブラックにレッドとカッパーのアクセント
インテリアには「RSデザインパッケージプラス」を標準装備。コクピットはブラックで統一され、ステアリングホイール、センターコンソール、センターアームレスト、ドアアームレスト、「RS 6 GT」のレタリング入りフロアマットには、レッドとカッパーの専用カラーコンビネーションによるアクセントが入れられた。
レザーとダイナミカを組み合わせた新開発「RSバケットシート」も同じカラースキームで統一され、ヘッドレストには「RS 6 GT」のレタリングが入る。シート中央のハニカムステッチはエクスプレスレッド、バケットシート外側のステッチはカッパーで仕上げられた。
アームレスト、ダッシュボード、センターコンソール、ドアウエストレールは、ダイナミカブラックマイクロファイバー製。デコラティブインレイは、ダイナミカ・ディープブラック・マイクロファイバーを採用した。デコラティブインレイは、オプションでオープンポアのカーボンツイル製もチョイス可能だ。シートベルトは、クリムゾンレッド。また、センターコンソールには660台の限定生産を証明する、シリアルナンバーが刻印される。
30PSのパワーアップを果たした4.0リッターV8ツインターボ
RS 6 アバント GTに搭載される4.0リッターV型8気筒ツインターボは、最高出力463kW(630PS)、最大トルク850Nmを発揮。ベースモデルのRS 6 アバントと比較すると、出力は22kW(30PS)、トルクは50Nmも向上した。0-100km/h加速は3.3秒、0-200km/h加速は11.5秒、最高速度は305 km/hというスペックが与えられている。
8速AT(ティプトロニック・ギヤボックス)と「quattro」システムを介して4輪を駆動し、最新バージョンのロッキングセンターディファレンシャルを採用。通常時は強大なパワーを40:60の出力率で前後アクスルに配分し、スリップが発生した場合、最大70%がフロントアクスルへ、最大85%がリヤアクスルへと供給される。
今回、リヤアクスルに搭載された「quattro」スポーツディファレンシャルにも、RS 6 アバント GT専用チューニングが施された。新たなパラメーターは「ダイナミック」モードにおける敏捷性とリヤの安定性に重点が置かれている。
足まわりには初めてアジャスタブルコイルオーバー・サスペンションを標準装備。RS 6 アバントと比較して車高が10mmもローダウン化された。高いスプリングレート、トリプルアジャスタブルダンパー、引き締められたスタビライザーにより、ボディのロールが抑えられ、ドライビングダイナミクスが大幅に向上している。