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Porsche 963
F1を引退したベッテルが963に興味
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、2024年シーズンWEC第4戦ル・マン24時間レースに向けてスペインのモーターランド・アラゴンにおいて、36時間のロングランテストを実施する。今回、テストへの参加が決まったベッテルは、すでにシミュレーターを経験し、ヴァイザッハにあるポルシェR&Dセンターのテストコースでポルシェ 963もドライブ。ハイブリッドプロトタイプレーシングカーで初のラップを刻んだ。
F1グランプリにおいて4度のドライバーズチャンピオンに輝いたベッテルは、今回のロングランテストで初めてWEC用プロトタイプレーシングカーでの経験を積むことになる。2023年以降、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWECにおいて、ポルシェ 963を走らせており、2024年シーズンは両シリーズの開幕戦で勝利を挙げた。
今回はロングランテストのみに参加
現在36歳のベッテルは、レッドブル、フェラーリ、アストンマーティンなどからF1に参戦し、数多くの勝利とタイトルを積み上げてきた。2022年シーズンを最後にF1から引退。今回、アラゴンで963の本格的なテストを経験することになったベッテルは、次のように意気込みを語った。
「これまでも他のレースシリーズを追いかけてきたし、耐久イベントへの好奇心が今回のテスト参加を後押ししてくれました。今はアラゴンでのロングランに向けて興奮していますし、じっくりとステアリングを握る時間を楽しみにしています。調整と慣れが必要なのは確かですが、チームのみんなはとてもオープンで、私を助けてくれるでしょう。私にとっては新しい経験です。この点に関しては、これからどうなるか様子を見ていきたいですね。ただ、現時点ではテスト以上の予定はありません」
ポルシェ・モータースポーツの副代表を務めるトーマス・ローデンバッハは、ベッテルのテスト参加について次のように説明を加えた。
「セバスチャン・ベッテルがポルシェ 963に興味を持ってくれたことを嬉しく思います。テストの機会を求める彼のリクエストに応え、ハイブリッドプロトタイプをドライブするため、十分な準備と時間を提供することに何の疑問もありませんでした」
「彼による貴重なフィードバックから、私たちも多くを学べることは間違いないでしょう。モーターランド・アラゴンでのポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとワークスドライバーたちによる36時間のロングランテストは、そのための完璧な環境を提供してくれるはずです」
テストに向け入念な準備を進めるベッテル
ベッテルはポルシェ 963でのテストに向けて、計画的に準備を進めてきた。3月14日、彼はマンハイムにあるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの施設でオペレーションクルーとミーティングを実施。翌15日には、ポルシェ・モータースポーツで大規模なシミュレーターセッションを行った。ここではエンジニアたちと仲を深め、ポルシェ 963の特別な機能や複雑な制御システムにも慣れることができたという。
3月21日、彼はヴァイザッハR&Dセンターにある社内テストコースにおいて、初めてポルシェ 963のステアリングを握った。36歳の彼にとって、これは非日常的な体験となったようだ。 シングルシーターのF1マシンで299戦のグランプリに出走したベッテルにとって、屋根のあるレーシングカーに乗るのは本当に久しぶりのことだったのだ。
来週、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、アルカニス近郊のモーターランド・アラゴン(5.078km)に向かい、36時間のロングランを実施。このテストには、セバスチャン・ベッテルとともに、ポルシェ耐久チームの全ワークスドライバーが参加する。この耐久テストは、今シーズンのハイライトとなる6月のル・マン24時間の勝利に向けた重要な準備となる。
ル・マン24時間レースにおける成功の可能性を高めるため、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、2024年のル・マン24時間レースに4台目の963の投入を決定。すでにフランス出身のマシュー・ジャミネが4台目の963をドライブすることも明らかにされた。