【フォーミュラE】東京E-Prix初開催「DHLが担うレース機材380tの輸送」

明日開幕のフォーミュラE東京E-Prixを下見「DHLで運ばれる全チームレース機材は380t」

有明の東京ビッグサイト敷地内に建てられたピットレーン。土曜のレース開催前の水曜にはDHLによって輸送されたマシン、スペアパーツなどが並べられる。
有明の東京ビッグサイト敷地内に建てられたピットレーン。土曜のレース開催前の水曜にはDHLによって輸送されたマシン、スペアパーツなどが並べられる。
3月27日、日本初開催となるABB FIAフォーミュラE世界選手権を目前に控えた東京・有明で国際エクスプレスとロジスティクスで世界的に有名なドイツ企業「DHL」が記者発表会を開催した。DHLは10年前の発足以来、フォーミュラEをロジスティック面でサポートしている。

ABB FIA Formula E World Championship
2024 Tokyo E-Prix

DHLが後押しするサステナブルモータースポーツ

シーズン10を迎えた電動レーシングカーによる世界選手権「フォーミュラE」の第5戦「2024 Tokyo E-Prix」開催(3月30日決勝)が今週末に迫っている。日本初のフォーミュラE開催、しかも東京・有明の一般道を走る初の公道レースということもあって俄かに注目が集まっている。

その10年目を迎えるフォーミュラEのコースサイドには、DHLのバナーが掲示されているが、これは単なるスポンサーだからではない。世界12都市16レース開催されるフォーミュラEのレースを、DHLはオフィシャルロジスティクスパートナーとして物流面で支え続けてきたのだ。

小包から大型輸送まで様々な物流をカバーするグループ企業からなるDHL。この日、会見を行ったDHLジャパンのトニー・カーン社長が流暢な日本語でプレゼンテーションを行った。アメリカにおける優良企業の指標とも言えるフォーチュン500の常連であり、昨年のグループ全体の売り上げは約818億ユーロにも達するという。近年、大企業が担う責務としてサステナビリティにも積極的で、輸送用の航空機やトラック、小型車などを電動化したり、あるいは代替燃料などを積極的に用いたり、あるいは施設にソーラーパネルを導入していることなどが、DHLサプライチェーンのジェローム・ジレ社長から披露された。DHLはこれらの様々な手段で2050年までにCO2排出を実質ゼロを目指す「MISSION 2050」を宣言している。

開催国ごとに輸送される貨物は380t

この日の記者会見の後、フォーミュラEのサステナビリティ部門ディレクター ジュリア・パレ氏と、DHLグローバルフォワーディングのモータースポーツ部門ヘッドであるマヌエラ・ジャンニ氏によるピット解説ツアーも行われたが、まさにDHLが輸送してきたレース用の貨物が搬入されているところだった。

第4戦ブラジルが開催されたサンパウロからの貨物は、すべてのフォーミュラEマシンが含まれる。これはレースにおける公平性を保つために、主催者側がマシンを管理しているためだ。貨物の開梱タイミングにまで制限があり、取材した水曜の昼まで貨物を開けることは許されないという。他にもバッテリーや充電装置、放送機器などの装備一式まで、まさに移動式サーカスのようにすべてがパッケージ化されていた。

今シーズン10ヵ国(全16戦)で開催されるフォーミュラEで、DHLが輸送する貨物は1ヵ国あたり輸送機3機分の380tに達するという。ただし、これでも5年前と較べて重量は8%も削減しているといい、2014年の初開催以来30%のC02削減を目指して精力的に取り組んでいるフォーミュラEにとって、その貢献は決して小さなものではないだろう。

野田樹潤選手がアンバサダー就任

さらに、この日は女性レーシングドライバーのJujuこと野田樹潤選手のDHLブランドアンバサダー就任を発表した。若干18歳のJuju選手は、昨年イタリアを中心とした欧州で開催された「Zinox F2000 Formula Trophy」というF3マシンのシリーズ戦で女性初のチャンピオンを獲得し、今年はスーパーフォーミュラ初の女性かつ史上最年少ドライバーとして参戦している。

日本国内でも険しい道であるモータースポーツの世界で、海外に出て、女性初あるいは史上初を連発していくことは並々ならぬ苦労があったことは想像に難くない。今シーズンはさらなる飛躍を求めて、スーパーフォーミュラ以外にも海外のレースへ出場する計画を明かにした。

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吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

ゲンロクWeb編集長。趣味はクルマを用いたラリーやレースなどモータースポーツ活動だったが、現在はもっぱ…