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The 92nd Le Mans 24 Hours
参加23台というゴージャスなラインナップのハイパーカー
32万5000人もの観客が詰め掛け、ル・マン24時間耐久レースの100周年という今世紀最大のモータースポーツの記念の年を、「フェラーリ 499P」の歴史的勝利と共に祝ってから1年が経過した。次の100年へ向けての新たなページを開く、2024年のル・マン24時間レースの決勝レースが間もなくはじまろうとしている。
現地では、全参加車がル・マン市内の公開車検を受けた後、テストデーを経て、いよいよ本格的なセッションに入る。2021年から導入されたWEC(世界耐久選手権)およびル・マン24時間のトップカテゴリとなるハイパーカークラスは、2022年まではトヨタGazooレーシングの独壇場だったが、昨年はフェラーリ、キャデラック、プジョー、ポルシェが加わり一気にそのフィールドは広がり、モータースポーツ新時代の幕開けとなった。
今年はアルピーヌ、BMW、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニも加わり、ル・マン24時間レースに参加するハイパーカーは23台となり、ゴージャスな強豪が揃った。ル・マン24時間レースの新たな歴史のページが始まる101年目の頂点に立つのは一体どのマニファクチャーだろうか。
6台参戦のポルシェが必勝体制
イソッタ・フラスキーニは1台、トヨタ、BMW、アルピーヌ、プジョー、ランボルギーニはカスタマーチームなしのワークスのみで2台体制。フェラーリはワークスの2台に加えて、元F1ドライバーのロバート・クビサらが駆るプライベーターの黄色いフェラーリ 499Pの3台体制、キャデラックもワークス2台にプライベーター1台を加えての3台体制だ。ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツはワークス3台にプライベーター3台の計6台体制で厚い壁を作り、団結してライバルメーカーに挑む。
BMWワークスがル・マンのトップクラスへカムバックを果たすのは、実に1999年以来となる。片山右京らトヨタ勢と死闘を繰り広げた末、悲願の総合優勝を遂げた後に撤退した。GTクラスへのワークス参戦は、その後にも行っていたものの、トップカテゴリへのワークス参戦復帰は実に25年ぶりとなる。エチオピア生まれのデザイナーのジュリー・メレトゥが手掛けたBMW史上20台目となる「BMW MハイブリッドV8」のアートカーが、ゼッケン20を掲げてル・マンに姿を現した。
一方、ランボルギーニはその60年の歴史の中で初めてル・マンへの参戦を果たす。美しいイタリアンカラーのグリーンを纏った2台の「ランボルギーニ SC63」。そのエースカーのナンバーも63。1963年の創業の年に敬意を表して初ル・マンへ挑む。
日本人ドライバーは合計8名が参戦
日本勢に目を移すと、ハイパーカークラスはトヨタGazooレーシングから「GR 010ハイブリッド」が参戦し、7号車に小林可夢偉、8号車には平川亮が乗車する。LMP2クラスには37号車のクールレーシング「オレカ07-ギブソン」を宮田莉朋がステアリングを握る。LMGT3クラスは、82号車のTF スポーツの「コルベットZ06.R」に小泉洋史、87号車のAKKODIS ASP チームの「レクサス RC-F GT3」に木村武史、95号車のユナイテッドオートスポーツの「マクラーレン 720S EVO」に佐藤万璃音と浜口弘、777号車のD’ステーション レーシングの「アストンマーティン ヴァンテージAMR」は星野敏が乗る。プロアマ併せて合計8名の日本人ドライバーが、2024年のル・マン24時間レースに参戦する。
WECでは廃止となったLMP2クラスだが、ル・マン24時間レースでは参戦可能だ。今回のル・マン24時間耐久レースにはLMGT3クラスと含めて3クラス合計62台が参戦する。決勝は6月15日(土)現地時間16時(日本時間23時)にスタートする。
REPORT&PHOTO/池ノ内みどり(Midori IKENOUCHI)