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Rolls-Royce Ghost Series II
顧客からのフィードバックを反映
ゴーストは、グッドウッド時代のロールス・ロイスを代表する最重要モデル。新たな高級車ニーズが高まっていた2009年に初代が発表され、ファントムよりも若い世代のカスタマーに高い人気を集めることになった。2020年に発表された2代目ゴーストは、初代のコンセプトを変えることなく大幅に進化。一見シンプルなデザインの下に搭載される、6.75リッターV型12気筒ツインターボガソリンエンジンもアップデートされた。
2代目ゴーストは、美的感覚に訴えるデザイン性に加え、史上最も先進的なロールス・ロイスという称号を獲得。特に10年の歳月をかけて完成した「プラナーサスペンションシステム」は、まるで空を飛んでいるかのような乗り心地をパッセンジャーにもたらしている。
投入から4年を経た今回、大幅な改良を実施。ロールス・ロイスはゴーストのカスタマーからのフィードバックを集め、オーナーの個性を発揮できるビスポークプラットフォームとしてのポテンシャルと、ダナミックなエンジニアリングにあることが確認されたという。
ロールス・ロイスはこれらの要望を尊重し、「ゴースト シリーズ II」を開発。控え目でありながら重要なデザインの改良を実施し、V12パワートレイン、全輪ステアリング、4輪駆動に磨きをかけることになった。
「スペクター」から導入した新デザイン
ゴースト シリーズ IIは、ロールス・ロイスらしさを追求したモノリシックなデザインを採用。フロントセクションの中心にロールス・ロイスのデザインアイコンである「イルミネーテッド・パンテオン・グリル」を配置し、クリーンで現代的なデザインを実現している。
ヘッドライトとデイタイム・ランニング・ライトのデザインが刷新され、グリル下部からフロントフェンダーのエッジへと流れるラインが全幅2148mmのワイド感を強調。フロントセクション下部はパンテオン・グリルの土台となり、ここに新デザインのクローム仕上げが追加されたことで、スピリット・オブ・エクスタシー像を浮かび上がらせる台座としても機能する。
リヤセクションにも新形状のテールランプを採用し、サイドとリヤにより美しい調和を実現。リヤセクションのデザインは、ロールス・ロイス初のフル電動モデルとして投入された「スペクター」からインスピレーションを得ており、表情豊かな2基の縦型ライトパネルに、「RR」のモノグラムが控えめに刻まれた曲線のクローム・エレメントが描かれている。
足元には、新デザインの22インチ9スポークホイールを装着。ホイールのサーフィエスは全面ポリッシュ仕上げか、部分ポリッシュ仕上げからチョイスが可能となっている。
今回、既存の4万4000色を超える「プレタポルテ・カラー」と、カスタマー独自の色をつくり出すことができる「ビスポーク・カラー・サービス」に、デザイナーが考案したエクステリアカラーが導入された。写真の「マスティク・ブルー(Mustique Blue)」と名付けられたメタリック仕上げは、その名の由来となったカリブ海の島の色彩と華やかな魅力を表現。ガラスとマイカフレークを使用することで、熱帯の海に反射する陽光を思わせる煌めきを生み出している。
このカラーは、1929年型「ファントム II コンチネンタル(Phantom II Continental)」プロトタイプを参考に、同様のブルーが再現された。ファントム II コンチネンタルはヘンリー・ロイスが個人的に使用するために作られた1台で、当時、史上初となる魚の鱗を粉砕して作られたパールペイントを採用している。
洗練さを極めた極上のインテリア
インテリアは新デザインの「ピラー・トゥ・ピラー・ガラスパネル」に収められたセントラルインフォメーション・ディスプレイに、最新の「SPIRIT(スピリット)」オペレーティングシステムが組み込まれた。今回のシリーズ Ⅱから、デジタル・インスツルメントダイアルのカラーを、インテリアやエクステリアに合わせてカスタマイズすることが可能になった。
また「SPIRIT」に、ロールス・ロイスのオーナー専用のプライベートメンバーズ・アプリケーション「Whispers(ウィスパーズ)」を統合。カスタマーは車両に直接目的地を送信したり、車両の位置確認やキーの施錠をリモートで行うことができるようになった。
併せて、エンターテインメントとコネクティビティも大幅にアップグレード。リヤシートスクリーンに最大2台のストリーミングデバイスを接続し、それぞれのスクリーンで独立してエンターテイメントを選択できるようになった。リヤシートスクーリンを介して、マッサージや冷暖房などのシート機能も管理可能。また、リヤシートのインフォテインメントシステムは、あらゆるタイプのBluetoothヘッドフォンとのペアリングにも対応する。
助手席側のセントラルインフォメーション・ディスプレイ横には、新デザインの「スピリット・オブ・エクスタシー・クロック・キャビネット」を配置。このガラスケースにはアナログ式時計とライトで浮かび上がるミラー仕上げのステンレス製スピリット・オブ・エクスタシー像が収められる。スピリット・オブ・エクスタシーのフィギュアは、反射効果を生むマットブラックのバックパネルと、高光沢のサイドパネルを備えた台座に配されている。
パッセンジャーシート側の全幅に広がるのは、2020年にゴーストから初導入された、「イルミネーテッド・フェイシア」。ゴースト シリーズ IIでは、星空からインスピレーションを得て、タイムラプスの天体写真を彷彿とさせる新デザインが採用された。また、ロールス・ロイスのビスポークデザイナーとともに、オリジナルのイルミネーテッド・フェイシアを作りだすことも可能となっている。
竹から作られた「デュアリティ・ツイル」を導入
今回、インテリア用として「グレー・ステンド・アッシュ」と名付けられた、新素材が開発された。この豊かな木目の天然オープンポア材は、手作業で染色され、微細な金属粒子を加えることで、個性的で現代的なきらめきを生み出す。ロールス・ロイスは、この新技術の開発に4年以上の年月を要したという。
ファブリックのラインナップには、竹から作られた新たなレーヨン生地「デュアリティ・ツイル(Duality Twill)」が追加された。ロールス・ロイスのデザインチームは、ヘンリー・ロイス卿がかつて冬季を過ごしたヴィラ・ミモザに隣接するコート・ダジュールの地中海の庭園「Le Jardin des Méditerranées」を開発中に訪問。この庭園の特徴である竹林が、この革新的な生地開発のインスピレーションとなった。
ツイル織りのテキスタイルには、ブランド創業者たちのイニシャルである「R」を重ね合わせて抽象的にデザインしたデュアリティ・グラフィックを刺繍。セーリングヨットのロープが織り成すラインを想起させるデザインにも、フレンチ・リビエラへのさりげないオマージュが込められている。
デュアリティ・ツイルは、現在グッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイスに拠点を置く熟練の織物職人とのコラボレーションによって誕生し、その開発は実に1年以上。インテリアの全域に施されたデュアリティ・ツイルには、最大220万のステッチと11マイル(約17.7km)に及ぶ糸を使用し、20時間もの非常に複雑な工程を経て完成される。
各パネルは糸のほつれを防ぐため特別に開発されたレーザーで裁断。すべてのパネルを慎重に配置し、継ぎ目なく全体を縫い合わせてから、座席の張地として使用される。ベースとなるテキスタイルは、ライラック、チョコレート、ブラックの3色で展開され、糸は51種類の異なる色から選択できることから、カスタマー自身の個性に合わせてカスタマイズすることができる。
広大なリヤシートを提供する「エクステンデッド」
最上級のリヤシート環境を求めるカスタマー向けに「ゴースト エクステンデッド シリーズ II(Ghost Extended Series II)」をラインナップ。ゴースト シリーズ IIのエレガントなシルエットはそのままに、リヤドアと開口部を拡張。リヤシートのスペースが170mmも拡大された。
ゴースト エクステンデッド シリーズ IIのカスタマーを対象に、プライベートジェットのキャビンをイメージしたリクライニング式「セレニティシート」も用意。リヤキャビには、ゴースト シリーズ IIと同様、専用のシャンパンクーラーを搭載することができる。最適なシャンパンの提供温度が6℃、ヴィンテージ・シャンパンの場合は11℃となっており、シャンパンクーラーは6℃と11℃の2種類の冷却モードで作動する。