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Joby Aviation eVTOL
実用化に向けた重要なマイルストーンに
トヨタは創業以来、誰もが自由に移動できるモビリティ社会の実現に向けて、空のモビリティの開発を続けてきた。今から100年前の1925年、トヨタグループの創始者である豊田佐吉は懸賞金を寄付し、「飛行機に載せて、太平洋をひとっとび」できる性能を持つ蓄電池の開発を推奨。現在のeVTOLに通ずる、動力源としての電池の可能性を見い出している。
その後、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎は航空機事業にも強い関心を抱き、ヘリコプターや航空機の部品の試作なども行った。戦後、豊田章一郎は、トヨタの航空開発発祥の地である東富士研究所において、米国企業と世界初となる電子制御のエアロ・ピストンエンジンの共同開発を行うなど、空のモビリティへの挑戦は脈々と受け継がれてきと言えるだろう。
現在、トヨタはジョビー・アビエーションというパートナーと共に、eVTOLの実用化に向けて開発・研究を続けている。エンジニアのスタートアップ企業として始まったジョビー・アビエーションに、トヨタ自動車が持つ自動車生産や技術開発の知見を加え、今回ジョビー・アビエーション製「eVTOL」が、日本において初のテストフライトを成功させた。
「日本でのフライトは、我々が長い間待ち望んできた瞬間であり、クリーンな空の旅を実現するための重要なマイルストーンになります。当社はトヨタの空のモビリティに対するビジョンに共感しており、その未来の一端をお披露目する機会を得たことを光栄に思います」と、ビバートCEOは喜びを語っている。
早ければ2025年に商業運行を開始予定
eVTOLは、短距離・多頻度運航用に設計されており、都市圏にて通勤者や出張者、旅行者によるオンデマンド利用を想定した「空飛ぶタクシー」市場のニーズに向けて開発。ヘリコプター/ドローン/小型航空機の要素をもちながら、信頼性、環境性(ゼロエミッション)、静粛性、コストパフォーマンスなどに優れた特徴を持つ。
今回のテストフライトは、ジョビー・アビエーションが、米国以外で初めて実施した飛行試験となった。トヨタはこれまでジョビー・アビエーションへ積極的に投資、生産面でのサポートも行っている。生産部門でのツール設計や、ファクトリーのレイアウトについて支援を行うだけでなく、eVTOLに搭載するパーツの供給も行っている。
ジョビー・アビエーションのeVTOLは早ければ2025年にも商業運行を開始する予定だ。Uber、デルタ航空、ANAなどをグローバルパートナーとして持ち、すでに日本の国交省航空局、認証取得の申請を行っているという。トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長は今回のテストフライト成功を受けて、次のようにコメントした。
「空のモビリティは『距離と時間の感覚』を変える可能性を秘めております。空のモビリティという新しい選択肢が加わる未来は、多くの人たちの生活をさらに豊かにしていくことでしょう。トヨタもモビリティカンパニーとして、空と陸のシームレスな移動を実現し、あらゆる人たちが自由に移動できる社会を目指していきます。ジョビー・アビエーションはこの新しいモビリティ社会の実現に向けた重要なパートナーです」