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Porsche 911 GT3 “6MT”
あえて6速MT仕様でタイムアタックを実施

2024年10月19日、ワールドプレミアされた新型「ポルシェ 911 GT3」。フロントセクションとリヤセクションのエアロダイナミクスがブラッシュアップされ、4.0リッター水平対向6気筒自然吸気ガソリンエンジンは、最高出力510PSを発揮する。
ギヤボックスは7速PDKと6速MTが用意されており、どちらも最終減速比は、先代モデルから8%ショート化。今回のニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおけるタイムアタックには、ヴァイザッハ・パッケージを装備した6速MT仕様の911 GT3が投入され、7速PDKを搭載する先代モデル(992.1)を3秒633も上まわるタイムを記録した。
ポルシェAGにおいて、GTモデルラインのディレクターを務めるアンドレアス・プロイニンガーは、ニュルブルクリンクでのタイムアタックを終えて次のようにコメントした。
「新型911 GT3は、より多くのお客様が6速MTを選択しています。そして、お客様から『マニュアルトランスミッションを搭載した911 GT3は、ノルドシュライフェでどれくらいのタイムをマークできるのか?』という質問を多く頂きました」
「私たちはこの疑問に応えるべく、7速PDK仕様が圧倒的に速いことは分かっていますが、あえて6速MTで公式タイムアタックを行いました。PDKの自動化された超高速かつ正確な変速がなく、また電子制御式LSDの代わりに、従来型の機械式LSDを搭載していても、新型911 GT3はPDK搭載の先代モデルのタイムを約3.6秒も短縮したのです」
ターゲットタイムはMTで記録された「7分05秒800」

タイムタタックが実施されたのは、晴天に恵まれた午後遅く。気温12℃、路面温度27℃のなか、ポルシェのブランドアンバサダーを務めるレーシングドライバーのベルクマイスターが、ヴァイザッハ・パッケージを装着した911 GT3で、20.832kmのコースへと走り出した。
前回、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでタイムアタックを実施した先代911 GT3と同様、公道用のミシュラン「Pilot Sport Cup2 R tyres(フロント255/35 R20、リヤ315/30 R21)」タイヤが装着されている。
「マニュアルトランスミッションを搭載した新型911 GT3が、ニュルブルクリンクのタイムアタックを行うと決めた時、私たちリーダーボードのトップのタイムにに注目しました」と、プロイニンガーは振り返る。
20.6km時代に某メーカーのMT車両で記録されたラップレコードは「7分01秒300」。これは現在の20.832kmフルラップでは7分05秒800に相当する。今回、この記録がターゲットタイムに設定された。公証人による監視のもと、新型911 GT3のステアリングを任されたベルクマイスターは6分56秒294で走行。これまでの記録を実に9秒5以上も更新したのである。
アタックを終えたベルクマイスターは、次のように新型911 GT3の進化を讃えている。
「新型911 GT3は先代モデルよりも、さらに限界域における信頼感が向上しています。ほとんどすべてのコーナーでスピードアップできました。911 GT3 RSからシャシーに関して多くのフィードバックが導入されており、その進化は絶大です」
「ギヤ比が8%もショート化されたことで、同じエンジンパワーで加速したときの駆動力が明らかに向上しています。たとえ総合的なラップタイムでは7速PDKのほうが数秒速かったとしても、6速MTのほうが速く走れるコーナーがいくつもあったことを付け加えておきます」