目次
Mercedes-Benz VISION EQXX
EV普及促進のために欠かせない航続距離

電気自動車の普及を加速させるために、最も重要なのが航続距離だ。効率性の追求によってバッテリーサイズと重量の削減という好循環が生み出され、より小型で高効率なバッテリーの搭載が可能になった。
メルセデス・ベンツの最新EV「EQS 450+」は1回の充電で422マイル(約680km)の航続距離を確保しており、これは市販されているどのEVより77マイル(約120km)も走行できることが、アメリカの自動車調査会社のエドムンズ(http://Edmunds.com)で証明されている。
今回、発表されたヴィジョン EQXXに搭載されたバッテリーパックは、EQSのバッテリーパックよりも体積が50%少なく重量も30%軽いという。加えて最先端の電動ドライブトレイン、ルーフに装着されたソーラーパネル、軽量化技術や持続可能素材の積極採用など、現行の電気自動車から大きな進化を果たした。さらにヴィジョン EQXXは、先進的なソフトウェアを含む革新的でインテリジェントな効率化デバイスを採用したことで、これまでにないレベルの高い効率化を実現している。
ダイムラーAGとメルセデス・ベンツの取締役会長を務めるオーラ・ケレニウスは、ヴィジョン EQXXについて、次のようにコメントした。
「メルセデス・ベンツ ヴィジョン EQXXは、私たちが考えている電気自動車の未来そのものです。私たちはちょうど1年半前にこのプロジェクトを立ち上げ、100km走行あたりのエネルギー消費量が10kWh以下という、メルセデス・ベンツ史上最も効率的なクルマを実現しました」
「コンパクトカーにも搭載可能なバッテリーにより、1充電での航続距離は1000km以上を実現しています。ヴィジョン EQXXは、非常に多くの面で先進的なクルマであり、その外観も非常に未来的です。そしてこのクルマは、私たちの会社全体が目指すべき方向性を示しています。私たちは世界で最も魅力的な電気自動車を作り続けていきます」
F1やフォーミュラEの技術を市販車に導入

ヴィジョン EQXXは広範囲に及ぶ研究開発の一環として、最新のデジタル技術に加えF1グランプリやフォーミュラEの技術も積極的に採り入れた。エクステリアやインテリアに関しては、メルセデス・ベンツの基本理念であるモダンラグジュアリーとセンシュアル・ピュアリティを先進的に解釈し、エレガントなデザインを採用している。
走行距離の拡大に関しては、単にバッテリーのサイズを大きくするのではなく、長距離走行時の効率を最大限に高めることに注力。ドライブトレインの効率、エネルギー密度、エアロダイナミクス、軽量化など、あらゆる面で工夫を凝らしている。エアロダイナミクスに関しては、驚異的とも言えるCd値0.175を達成した。
メルセデス・ベンツは実際の交通状況下を再現したデジタルシミュレーションを実施し、ヴィジョン EQXXは1回の充電で1000km以上の走行が可能になった。これは100kmあたり10kWh以下という優れたエネルギー消費量により実現している。
サステナブルな素材を積極的に採用

ヴィジョン EQXXでは、サステナブル(持続可能)素材を随所に採用。リサイクル素材と植物由来の素材を導入することで、廃棄物を埋立地から取り除き「カーボンフットプリント」を大幅に削減した。カーボンフットプリントとは、商品の原材料調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量となる。
インテリアには、車幅いっぱいに広がる一体型ディスプレイを搭載。ここにリアルタイムのグラフィックを室内に生き生きと映し出す。また、クルマとドライバーの一体感を高めるため、人間の脳の働きを採り入れたテクノロジーも導入されている。
メルセデスにおいてチーフテクノロジーオフィサーを務めるマーカス・シェーファーはヴィジョン EQXXについて次のように説明した。
「ヴィジョン EQXXを支える様々な技術は、将来のメルセデス・ベンツのモデルや機能を先取りしています。このモデルは、メルセデス・ベンツがラグジュアリーとテクノロジーを組み合わせたブランドであることを、自動車業界だけでなく、それ以外の世界にもアピールするPR大使でもあるのです」
「開発プロセスもクルマと同様に革命的です。ヴィジョン EQXXは、当社のR&Dセンターの優秀なスタッフがF1やフォーミュラEプログラムのエンジニアと協力して開発しました。パワートレインが高度に電動化されているモータースポーツ技術が、ロードカーの開発にもすぐに役立つことを証明しています。私たちは、革新的な精神と既成概念にとらわれない思考で、現在の開発プロセスに挑戦しています。これこそ、真に進むべき道なのです」