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Mercedes-Benz Concept EQG
GクラスのピュアEVバージョン、EQG誕生
フランクフルトからミュンヘンへ舞台を移し、「IAAモビリティ」と名前もプチリニューアルした“旧フランクフルトモーターショー”。2021年9月7日〜12日に開催された同ショーでは、各メーカーのブースで積極的なEV攻勢が目立った。
メルセデス・ベンツのブースにも、SクラスとEクラスのEV版となる「EQS」と「EQE」、マイバッハ初のEVコンセプトなど電気自動車が目白押し。中でも注目必至とされるのがGクラスのEVコンセプトモデル「EQG」だ。
40年以上受け継がれるゲレンデヴァーゲンのDNA
Gクラスは“ゲレンデヴァーゲン(大地のクルマ)”の名前で1979年に登場。特徴的なプロポーションは40年以上にわたってほとんど変わらず、タフで屈強なオフローダーのアイコンとして40万台以上が生産されてきた人気モデルだ。
力強く道なき道を進むイメージの一方で、都心部におけるファッションアイコンにもなったGクラスは、2018年に実質「史上初めてのフルモデルチェンジ」を敢行。時代の流れに合わせて安全性能や環境性能、快適性を現代基準にアップデートしたものの、スタイルとムードはそれまでのものを頑なに守ったことで話題となった。
まごうことなきGクラス
そのGクラスのピュアEVバージョンの提案が「コンセプト EQG」。お馴染みのボクシーなシルエットに丸形のヘッドライトを組み合わせた風貌は、まさしくGクラスそのもの。空力性能が航続距離に直結するピュアEVの世界でこのスタイルを堅持するのはかなりの難題に思われるが、メルセデスは“GがGであるために”、あえてこのプロポーションにこだわった。
電気自動車専用のサブブランドとして展開する「EQ」シリーズとの共通項として、ブルーのアクセントカラーをグリル(といってもEVなので口は開いていない。正確にはパネル)に採用。また、印象的なヘッドライトの「○」モチーフをミラーハウジングに照明として仕込むなど、LEDを活用した演出が随所に散りばめられている。
ルーフラックに込められた“本気”
背負っているのはお馴染みのスペアタイヤ・・・ではなく、ロック可能な収納ボックス。メルセデス・ベンツが取り扱う家庭用充電システム「ウォールボックス」を模した角丸のデザインとし、充電ケーブルなど使用頻度の高いものをしまっておくことができる。
ルーフ上には、LEDライトを仕込んだグロスブラックのルーフラックが。真上から見下ろすと“G”のグラフィックがいかにも遊び心を感じさせるが、道なき道を行くGクラスだけに本気の機能性も付与。空力に配慮したフラットデザインを採用するとともに、前方にはサーチライトとして機能する白色のLEDを、後方には自車位置を周囲に知らせる赤色LEDを組み込んでいる。
ラダーフレーム+リジッドアクスルは健在
見た目だけがEQGの「らしさ」ではない。ボディは頑強なラダーフレームに支えられ、サスペンションはフロントに独立懸架、リヤにリジッドを採用。その一方で、4輪ホイールそれぞれの近くに個別にコントロールできる電動モーターを各1基ずつ搭載。Gクラスに求められる悪路走破性を、EVならではのテクノロジーで実現するという。ちなみにバッテリーはラダーフレーム内に統合するため、低重心化が可能。加えて最大トルクが瞬時に立ち上がるEV的特性もあいまって、そもそもEQGは理想的なオフローダーとしての資質を備えている、とメルセデスでは主張する。
量産化は確実か
今回発表されたEQGはあくまでコンセプトモデルだが、極めて市販モデルに近い仕様とみられる。ほぼ確実に量産を見据えているようで、Gクラス同様、グラーツ近郊にある標高1445mのシェクル山での走り込みも敢行する、と明言している。
最大60度の勾配をもつ5.6kmのテストコースは、世界で最も厳しいオフロードコースとして知られている。厳格なテストを経て開発を終えた暁には、W463(現行Gクラスのコードネーム)と同じく、電気の“G”にも「Schockl proved(シェクルのお墨付き)」品質が与えられることになるという。