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Triumph TR25 by Makkina
1953年の速度記録車をオマージュ
1998年、マイケル・アニによって英国・ロンドンに設立されたデザイン企業「マッキナ」は、世界中の自動車メーカーをクライアントに持ち、ワンオフモデルや限定モデルのデザインを行ってきた。
今回、ロンドンで発表された「トライアンフ TR25」は、偉大なブリティッシュロードスター文化を称えるべく製作。1953年5月、2.0リッター以下の市販速度記録を塗り替えた「ジャベック トライアンフ TR2 MVC575」へとオマージュを捧げている。
記録達成から70年、トライアンフの名前が初めて市販モデルに付けられてから100年を記念し、「トライアンフ TR25」は、当時のトライアンフ・ブランドを現代的に解釈した新たなプロポーションを採用。現在トライアンフの商標を保有するBMWの「i3S」に採用されていたフル電動パワートレインを搭載する。
1953年にベルギーのジャベックで記録を樹立
1953年、ベルギー北部のジャベックで行われたスピードトライアルにおいて、テストドライバーのケン・リチャードソンがステアリングを握り、トライアンフ TR2 MVC575が124.889mph(202.58km/h)という、2.0リッター以下の市販車地上速度記録を樹立した。
登録番号「MVC575」を持つこのTR2は、アンダーシールド、リヤウイング・スパッツ、金属製コクピットカバーなどの特別なパーツを装着した、量産前プロトタイプだった。そして、淡いブルーグリーンのボディカラーは、トライアンフ TR2 MVC575の代名詞となっている。オリジナル車両は、今も英国ゲイドンのブリティッシュ・モーター・ミュージアムに所蔵されている。
BMW i3Sのフル電動プラットフォームを採用
マッキナは「トライアンフ TR25」をデザインする際、TR2 MVC575の特徴を現代的に解釈することを決定する。特徴的な2基のヘッドライトを持つフロントセクションは、その後のトライアンフ製スポーツカーの代名詞となったデザイン。流麗で空力学的に最適化されたエクステリアだけでなく、パッセンジャー用の跳ね上げ式ジャンプシート(オプション)を備えたシングルシーターも「MVC575」から継承されている。
フル電動モデルのBMW i3Sのプラットフォームを採用したことで、TR25は50対50の重量配分を実現。英国製スポーツカーに求められるコーナリング性能を手にしている。マッキナの創業者であり、ディレクターを務めるマイケル・アニは、トライアンフ TR25について次のように説明を加えた。
「かつて記録を打ち立てた初代『ジャベック TR2 MVC575』の個性を、私たちのデザインで現代に蘇らせることを目標に掲げました。今回、BMW i3Sプラットフォームを使用することで、TR2にインスパイアされたフォルムと、多用途性を持った現代的な電動パワートレインという、新旧融合を実現しています」
ミニマルに徹したシングルシーター
ドライバーを雑念から解放することを目的としてデザインされたミニマルなTR25のコクピットは、最小限の計器類と操作系により、純粋なドライビングエクスペリエンスに焦点を当てている。TR2 MVC575と同様にシングルシーターレイアウトが採用され、新たにデザインされた「Triumph Motor Company」のロゴが角部に配置された。
ステアリングホイールの奥に配置されたビナクルには、速度、充電レベル、バッテリー残量などを表示。TR2 MVC575をイメージした3スポーク・ステアリングホイールは、ドライビングモードや様々なデータ、カーナビゲーションシステムなどに、手を離さずアクセスできる。