【モントレー・カーウィーク】ロールス・ロイス・ドロップテール・シリーズ「ラ・ローズ・ノワール」が世界初公開

4台のみ製作されるロールス・ロイス「ドロップテール」シリーズ第一作「ラ・ローズ・ノワール」世界初公開

全長5.3m、全幅2mというラ・ローズ・ノワール。ロールス・ロイスとしてはコンパクトだが、同時に初期のロールス・ロイス車を思い起こさせるボディサイズだ。
全長5.3m、全幅2mというラ・ローズ・ノワール。ロールス・ロイスとしてはコンパクトだが、同時に初期のロールス・ロイス車を思い起こさせるボディサイズだ。
合計で4台が製作される予定のロールス・ロイス「ドロップテール」シリーズ。その第一作となる「ラ・ローズ・ノワール」が今年のモントレー・カーウィークで世界初公開された。コーチビルド・ストーリーの1台となるドロップテールのファーストモデルを紹介する。

ROLLS-ROYCE LA ROSE NOIRE

ワンオフのオートクチュール

着脱が可能なハードトップを採用。クーペとオープントップのロードスター、ふたつのスタイルを楽しめる。

ロールス・ロイス・モーター・カーズは、今年のモントレー・カーウィークで、かねてから予告していたコーチビルド・ストーリーの1台となる「ドロップテール」のファーストモデルを世界初公開した。

ロールス・ロイスにおけるコーチビルドは、ファッションの世界に例えるのならばオートクチュールのそれに等しく、同社のカスタマー部門とカスタマーの間で繰り返されるディスカッションの中でイメージされた最も深く先進的で、かつ洗練された1台が誕生するプログラムとなっている。

同社の最高経営責任者であるトルステン・ミュラー・エトヴェッシュ氏によれば、それを「真のラグジュアリー・パトロンが、自分のイメージで自動車を作ることができる世界で唯一の場所」であると表現する。今回発表された「ラ・ローズ・ノワール」は、そのコーチビルド部門が4年以上の時間をかけて製作した、もちろんワンオフのオートクチュールである。

基本的な考え方が見なおされたデザイン

ロールス・ロイスのドロップテール・シリーズは、この「ラ・ローズ・ノワール」を第一作として、合計で4台が製作される予定となっている。コーチビルド部門は同社のデザインにおいて一切の制限を持たない場所であり、そこでは最も野心的なアイデアを表現し、またそれによって何が可能なのかという未来志向のビジョンを実現することができる場所でもある。それは実際に今回披露されたラ・ローズ・ノワールのデザインを見れば一目瞭然なことだろう。

ラ・ローズ・ノワールのデザインは、これまでのロールス・ロイス車のデザインの基本的な考え方を見なおすところからスタートしている。それは言葉を替えるのならば開放感の表現ともいえるだろう。その象徴的なものはフロントのパンテオン・グリル。これまで直線にこだわっていたそのデザインにはきわめて先進的なデザインが採用されている。

ルーフはもちろん着脱が可能なハードトップを採用。クーペとオープントップのロードスター、ふたつのスタイルを楽しめ、コーチビルド部門がカスタマーの感性を深く反映させたラインを描いたそれは、十分すぎるほどに魅力的なシルエットを生み出してくれる。

シンプルさと絶対的な明瞭さを表現

全長5.3m、全幅2mというラ・ローズ・ノワールのボディサイズは、ロールス・ロイスの作としてはコンパクトだが、それは同時に初期のロールス・ロイス車を思い起こさせる。実際に製作にあたったコーチビルド部門は、1912年式のシルバーゴースト「スラッガード」を始め、1925年のシルバーゴースト「ピカデリー」、あるいは1930年式のファントム「ブリュースター・ニューヨーク・ロードスター」などを研究。それによってシンプルさと絶対的な明瞭さを表現することを可能としたのだ。

ドロップテールというプロジェクトの名前が意味するところであるリヤセクションの造形もまた、現代の最先端にあるエアロダイナミクスを考慮したものだ。それは一見高速域でのダウンフォースを生むには不向きなデザインとも思えるが、実際コーチビルド部門は2年の時間と20回にも及ぶテストによって、それを最適化することに成功したという。

はたしてこれから、ドロップ・テール・シリーズにはどのようなモデルが加わってくるのか。そのどれもが世界中のカーマニアの目を魅了する、ロールス・ロイスの頂点を具現したモデルであることは間違いないだろう。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…