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市場投入以降、これだけのスピード感をもってその名が浸透する例は希少だろう。夏冬の履き換えの必要がなく、四季を通して対応するという”オールシーズンタイヤ”そのもののメッセージが大きく貢献したのも事実だが、それまで馴染みがなかった日本市場にこの新たな概念を持ち込んだがゆえの話でもある。
走行機会の多い一般的な走行シーンで、より高品位にグレードアップ
オールシーズンタイヤといえば「ベクター」。このイメージは、日本市場でもすっかり定着したと言える。このジャンルの火付け役として最初にオールシーズンタイヤを日本市場に導入したばかりか、立て続けに新たなモデルを追加してきた積極展開も幸いしたと言えそうだ。
そのベクターが新たに提案するのが、オールシーズンタイヤにおけるプレミアムモデル「VECTOR 4 SEASONS GEN-3(ベクター・フォーシーズンズ・ジェンスリー)」。2022年に発売を開始された本モデルは、とりわけ乾燥路面での快適性で大きな飛躍を遂げている。
最大のハイライトは静粛性にある。パターンノイズにして36%、ロードノイズは31%と、その低減率はかなり大きい。これに大きく貢献したのはブロック配列の細分化で、さらに剛性を高めて接地形状を見直すことで偏摩耗の抑制効果も期待できるというから、一面的な性能向上という話に留まらない。
雪上性能はそのままに、快適性とライフ性能を大幅に向上
ただしあくまで”オールシーズンタイヤ”であるだけに、雪上性能もおろそかにはできない。大型化したサイプによって交差部を広げて効率よく雪を排出する改良が施されてもいる。
同様に、日本の四季には雨の多い季節も避けられないため、ウェット性能も引き上げが必須。向上率は8%に留まるものの、摩耗が進むことで溝が広がることで高められたウェット性能がより長く続くことも利点となる。
氷上性能こそスタッドレスタイヤと同等とはいかずとも、スノーフレークマークが刻印されることからも分かる通り、冬タイヤ規制にも対応。雪道への過信は禁物ながら、天候急変による降雪には十分耐えられるだけの性能を備えている。
プレミアムモデルの登場が、オールシーズンタイヤのユーザー層拡大に大きく貢献することは間違いなさそうだ。