ヒョンデの新型BセグメントSUV「コナ」発表! 日本市場にはBEVモデルを導入予定!

昨年12年振りに日本市場に再進出を果たすやいなや、ハッチバックBEVの「アイオニック5」がいきなり「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得したヒョンデ。その売れ筋モデルとなるBセグメントSUV「コナ」の2代目モデルが発表された。日本に導入されるBEVモデルの詳細を報告する。
REPORT:MotorFan編集部

BセグメントSUVはまさに激戦区

Hyundai KONA コナは同じBセグメントSUVの競合車よりも大きい。全長4355mm、全幅1825mm、全高1575mmでホイールベースは2660mmを誇る。アイオニック5同様にピクセルデザインと呼ばれるグリル内にちりばめられたドットが特徴的だ。

百花繚乱の様相を呈しているBセグメントSUVは、トヨタC-HRや日産ジューク、ホンダ ヴェゼルなどの日本車だけでなく、輸入車でもボルボXC40やプジョー2008、ルノー・キャプチャーなどが存在感を発揮している。盤石の人気を誇るSUVと、燃費も価格も有利なコンパクトカーをミックスしたカテゴリーは、世界中でヒットが生まれやすい状況だ。

2017年、そんな激戦区のBセグメントSUVにヒョンデが送り込んだのが「コナ」である。昨年12年振りに日本市場に再進出して、水素燃料電池車(FCV)「ネッソ」とハッチバックBEVの「アイオニック5」を導入したヒョンデは、そのアイオニック5がいきなりインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したニュースが記憶に新しい。今年は2代目コナをワールドプレミアさせ、日本には時期は未定だがBEVモデル「コナ・エレクトリック」が導入される予定だという。

4種類のパワートレイン

オリジナリティ溢れるインテリアデザイン。12.3インチモニターを2枚並べたデュアルパノラミックディスプレイは低めにレイアウトされる。

2代目コナは、先代同様のアーマーデザインと呼ばれる、まるで甲冑を被ったような独創的なエクステリアが特徴のコンパクトSUVである。コンパクトとはいえボディサイズは前述した同セグメントの競合車よりも大きく、全長4355mm、全幅1825mm、全高1575mmでホイールベースは2660mmを誇る。当然初代コナよりもかなり大きく、全長が175mm長く、全幅が25mm幅広く、全高が20mm高い。ホイールベースも60mm延長されている。BセグメントSUVとしてはもはや規格外と言ってもいいかもしれない。

2代目コナのパワートレインは、プラグインハイブリッド(PHV)、ハイブリッド(HEV)、内燃機関(ICE)そしてBEVの4種類用意され、仕向地に応じて使い分けるという。ヒョンデは昨年トヨタ、VWグループに次ぐ世界第3位の販売台数を誇る自動車メーカーである。このコナも北米と欧州が販売の中心だそうだ。先に述べたように日本市場はBEVのアイオニック5とFCVのネッソという極端なラインナップである。ひょっとして次世代車メーカーというブランド戦略があるのかと、コナのFCVモデルの予定があるか質問したが、高圧水素タンクレイアウトのこともあり、現在予定はしていないという。

ちなみにコナのケースではBEVが最初に開発され、そこで得た知見をICEやHEVなどに反映したという。通常こういった多彩なパワートレインを搭載する場合、ベースとなるICEモデルから派生車種としてHEVが開発され、バッテリーを増強したPHVが追加されることが多い。BEVを優先することで、デザイン面で近未来的なデザインを実現したと謳う。なお、これはコナに限ったケースであり、関係者によれば、ヒョンデのモデルがすべてそういった開発をしていくわけではないという。

ヒョンデならではの独創的なデザイン

撮影車の19インチホイールにはクムホのプレミアムクラスタイヤ「マジェスティ9ソラスTA91」が装着されていた。サイズは235/45R19 99Vであった。

コナ・エレクトリックの動力性能は最高出力160kW(218PS)、最大トルク255Nm。電力量65.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は490km(WLTPモード推定値)という。65.4kWhは日本市場にすでに導入されているメルセデス・ベンツEQAとBMW iX1という一格上のセグメントの66.5kWhに匹敵する容量だ。急速充電は350kW充電が可能で10%から約41分で80%まで充電できるという。なお回生ブレーキはステアリング裏のパドルで4段階に調整可能で、ワンペダルドライブのiペダルが備わるのもアイオニック5と同じだ。

V2L(給電)機能も備えており、V2Lの最高出力は欧州3.13kVA、北米1.63kVA、韓国3kVAで日本は未定だという。駆動方式はハッチバックのアイオニック5はRWDとAWDがラインナップされたが、コナはFWDのみとなる。

日本にはBEVモデル「コナ・エレクトリック」が導入される予定だ。

エクステリアデザインはかなり独創的だ。フロントとリヤはデザインが連動しており、前後ともに左右両端をつなぐ「ピクセレイテッド・シームレス・ホライゾン・ランプ」という細いLEDランプでつながっている。この細いホライゾンランプの下には兜の下から覗く目のようにヘッドランプがレイアウトされる。これが新型コナのアイデンティティともいえる特徴だ。

さらにアイオニック5同様の、ピクセルデザインと呼ばれるグリル内にちりばめられたドットや、ボディサイドのZ字のキャラクターラインも非常に複雑で独創的なデザインという印象を与える。オーバーフェンダーが勇ましいホイールアーチを手でなぞると、フロントタイヤ後方のドアパネルとの継ぎ目で様々なパネルが複雑に絡み合い、デザイナーの貪欲な追求を感じた。

充電口には欧州で主流のコンボ充電コネクタのみだが、日本仕様にはCHAdeMO充電コネクタも並べられる。充電リッドはさらに大きくなるという。

充電リッドは初代同様にフロントバンパー左に配置されている。充電口の位置は各社悩みどころだが、コナの場合、前述の複雑なデザインを考えると、もっと目立たない位置がなかったのかと感じてしまった。これも関係者に聞くと、他の位置も検討したが構造的な問題で位置を変えることはできなかったという。ちなみに今回取材した撮影車の充電口は欧州で主流のコンボ充電コネクタのみだったが、日本仕様にはCHAdeMO充電コネクタも並べられるそうなので、充電リッドはさらに大きくなるという。

快適な室内と充分な荷室容量

12.3インチモニターを2枚並べて配されるデュアルパノラミックディスプレイがインテリアのハイライト。

インテリアもオリジナリティ溢れるデザインとなっている。室内は低めにレイアウトされた12.3インチモニターを2枚並べたデュアルパノラミックディスプレイが印象的だ。低めにレイアウトされており、運転中の情報はヘッドアップディスプレイ(HUD)が重宝するだろう。特筆すべきはダッシュパネルの前後長の短さで、広い室内空間に貢献している。

助手席はくつろげる空間として使用可能で、スイッチの長押しでビジネスクラスのシートのようにリラックスしたポジションがとれるという。リクライニング可能な後席は、BEVのメリットを活かして席間を移動しやすいフラットな足元とベンチシートが自慢だ。さらに先代比で前席シート厚を30%薄くしており、Bセグメントながら前後長を最大化する工夫が凝らされている。荷室容量はリヤに466リットルと、フロントにも「フランク」と呼ばれる27リットルの収納スペースが用意される。

ドライブレンジセレクタレバーはコラムに装着される。レバー先端部をひねることで切り替わるのはアイオニック5と同じだ。

ADASも充実しており、緊急自動ブレーキ(AEB)や追従クルーズコントロール(ACC)はもちろん、レーンキーピングアシスト、ブラインドスポットアシスト、ハイビームアシストなどフルコースと言っていい内容が網羅されている。さらにリモコンキーで前進後退操作が可能なリモートスマートパーキングアシストまで備えているという点もBセグメントSUVとしては規格外だろう。

ヒョンデは2021年にアイオニック5、2022年にアイオニック6、2023年にコナを次々とデビューさせたが、来年もセブンと呼ばれる3列シートの新型BEVを登場させる予定だ。前述のとおりコナ・エレクトリックの日本市場導入時期は未定だが、昨年インポートCOTYを受賞し、世界3位の実力を示したヒョンデなだけにコナ・エレクトリックも高い性能を予感させる。

(※編註=本日配信のプレスリリースで年内導入予定であることが明らかにされた)

BEVのメリットを活かして席間を移動しやすいフラットな足元とベンチシートが自慢の後席。わずかながらリクライニングも可能。

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